表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/303

光のプロデヴューに新たな動き

音大の学長、大指揮者小沢、名ピアニストの内田は、光のゴールドベルク変奏曲演奏を聴き、また別の考えを持つ。


音大学長

「プロデヴューで、他の音大生と一緒のステージにと思ったけれど」

小沢

「そうですね、レベルが違い過ぎる、学生のレベルではない」

内田

「そのまま単独でリサイタルにしましょうか」

音大学長

「ドイツ物も、ドビュッシーもこなす、至上の音楽にしてしまう」

小沢

「ジャズもロックも上手です、まさにミューズ神の化身」

内田

「ショパンを弾かせても泣かせられます」

音大学長

「菜穂子さんか・・・生きていてくれれば、どれほど喜ぶかなあ」

小沢

「彼の悲しみと苦しみの原因でもあって・・・」

内田はため息をつく。

「いつかは乗り越えさせたいんだけどね、繊細な子で」

音大学長

「もう、スポンサーが挨拶に来たよ、それもすごいスポンサー」

小沢

「その不安がないだけでも、幸せだな、光君は」

内田

「とにかく光君と、マネージャーの意見も聞きましょう」

小沢が難しい顔。

「時々、引っ込み思案になるなあ、他人に気を使いすぎることがある」

音大学長

「でも、他の音大生とレベルが違い過ぎる、とても新人披露コンサートにならないよ、逆に他の出演者が気落ちする」


光のゴールドベルク変奏曲は、最後に夢見るような儚さの中、終わった。

少し顔を伏せながら、光が立ち上がると、レセプションホール全体に拍手、そしてアンコールの声。

ただ、光は、疲れているようで、顔がまた青い。


その光にルシェールが耳打ち。

光は、素直に頷き、またピアノの前に座る。

そして弾きだしたのは、ショパンのノクターン第一番。


まず、楓が泣き出した。

「菜穂子おばさんが、よく弾いてくれた曲、光君が菜穂子おばさんをずっと見ていて・・・」

華奈も、涙を抑えられない。

「光さん、お母さんを思って、感謝して弾いている」

ルシェールが楓と華奈の隣に立った。

「光君、かなり疲れているけれど、この曲なら弾くと思ったの」


音大学長は、またため息。

「コンクールもいらないかな、そのままデヴューでいい」

小沢

「順位の対象にしたくないな、音楽が汚れる」

内田

「今は、内容勝負の時代です、こんな至高の音楽に順位は不純で無粋」


光は、ショパンのノクターン第一番の演奏を終え、また大きな拍手に包まれるけれど、やはり体力、気力の限界が来たらしい。

立ち上がって少しよろける。

その光を、ルシェールがさっと支える。


結局、光に近づけなかった望月梨花が司会。

「それでは、光君の素晴らしい演奏に、再び拍手を」

「これにて、本日のストリート演奏、及びレセプションを全て終了いたします」


光は、ルシェールに身体を支えられ、恥ずかしそうに大拍手を受けている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ