レセプションにて光のスピーチが始まる。
ルシェールに遅れて光の近くに戻ってきた巫女たちは、様々。
春奈
「うー・・・忘れてた・・・葉唐辛子のおにぎり」
ソフィー
「母ニケに、光君の特効薬って言われていたのに、つい・・・」
楓もルシェールの機転に満足。
「ふむふむ、さすがルシェールだなあ、好みを知り抜いている」
「ただ文句を言って、年食っている人とは違う」
春奈とソフィーは、その言葉で、ますます落胆する。
由香利も落胆しながら、光に尋ねた。
「ねえ、光君、あの女神様は・・・まさか?」
光はにっこり。
「気がついた?さすが由香利さんだね」
「春日様の比売神様、天照大御神とも言われている」
華奈も気がついていた。
「私は、春日様のお神楽って聞いた時に、光さんなら、お呼びするかなあって思ったの」
由紀は、大満足。
「とにかく、拝めただけで幸せ、全ての女性の神、五穀豊穣、健康長寿の神様だもの」
柏木綾子は、まだ涙が止まらない。
「うれしい、本当にありがたい、また浄化されたような気がする」
「諏訪様も、喜ばれて、いつか、御恩返しをと・・・」
キャサリンは、感激で声が震えている。
「きれいな女神様で・・・どことなく東大寺で見た光君のお母様に似ている」
サラは胸を押さえている。
「まだ、動悸が・・・美しくて・・・はぁ・・・癒やされた」
春麗は、満面の笑顔。
「うん!元気をもらった!身体が熱い、まだまだ光君をあきらめない!」
さて、ホテル直行のバスに、光たちの一行は乗り込んだけれど、東京駅と日比谷のホテルは至近の距離、あっという間に着いてしまった。
そして、ホテルの支配人自らに誘導されて入ったレセプションホールでは、すでに今日の演奏者、合唱者が全員そろって、光たちを大拍手でお出迎え。
レセプションの進行も担当する望月梨花が光に耳打ち。
「光君がご挨拶、小沢先生が乾杯のご発声、当財閥の当主岩崎義孝が締めの挨拶となっております」
光は、その耳打ちでビクッとなるけれど、ルシェールが腕を組んで支える。
「光君が指揮者で、ソリストだもの、みんなに思いを伝えるだけでいいよ」
「不安だったら、私にだけ、話しかけて」
光は、そのルシェールの言葉で、落ち着いたようだ。
「ありがとう、僕を支えて」と、そのまま大拍手の中を壇上に歩いていく。
レセプションは、望月梨花の司会で始まった。
「皆様、大変、お待たせいたしました」
「ただいま、我らが指揮者、そしてソリストの光君が到着いたしました」
「まず、光君より、ご挨拶をいたします」
光は、その顔を赤らめて、マイクを握る。
「皆様、本日は、本当にお疲れ様でした」
「第九のストリート演奏、フラッシュモブ」
「それから皇帝協奏曲」
「素晴らしい演奏を行うことが出来ました」
「とにかく演奏を聴いている皆様の顔が輝き、また演奏をしている皆様の顔が輝き、ミューズの神もことのほか、喜ばれたと思います」
光は、ここで少し間を置いた。
「思いがけず、美しい御神楽に乗り、女神様まで・・・」
光のスピーチに、全員が引き込まれている。




