東京駅丸の内南口広場に到着
光の一行の東京駅までの移動は、ルシェールが手配した教会の魔除け結界術を施したサロンバス。その前後を江戸の大親分一家のキャデラック二台が囲む。
望月梨花は、ここでも驚くばかり。
「誰も手出しが出来ない、首都高では、あおり運転どころか、幅寄せも出来ない」
「逆に怖がって、かなりな車間距離、交通事故が起きようがない」
そんな望月梨花に春奈。
「当の本人は、スヤスヤと」
確かに、光はルシェールに身体を預け、眠ってしまっている。
小沢氏も、そんな光が面白いらしい。
「まあ、出番は途中からだけど、実に大物だなあ」
「緊張して眠れないプロも多いけれど」
内田先生は、ルシェールに声をかけた。
「ありがとうね、光君を癒してあげて」
ルシェールは、胸を張り、しっかりと頷く。
「お任せください、それが私の本望でもあります」
他の巫女も、「今の時点では、仕方がない」と、誰も文句も行動も起こさない。
華奈のスマホに、楓からメッセージが入った。
「今、品川を通過した、もうすぐ東京」
「斎藤さんが出迎えてくれるから、心配ない」
華奈は、その楓に確認。
「お勉強と、春日様のお札は?」
楓は即答。
「お勉強は進んだ、お札は宮司みずからの特別の御祈祷のもの」
「巫女衣装も全員分」
そのメッセージで、巫女全員に気合が入る。
サロンバスは東京駅丸の内南口広場に到着した。
光たちが全員降りると、警備担当の警察官がソフィーの前に。
「全て計画通りに進んでいます」
ソフィーが頷く。
「聴衆が増えることもあるので、それは臨機応変に」
「不用意な接触事故だけは起こさないようにね」
警察官は、頭を下げ、自分の配置に戻っていく。
次に江戸の大親分が、光たちの前に。
「光さん、任せてくれ、子分が数多く見張る」
「絶対に、この祭りを成功させたい、命かけても」
光は、江戸の大親分に頭を下げる。
「奈良から、春日舞も来ます、最後は御神楽になります」
「八部衆も来ます」
江戸の大親分は、破顔一笑、光と拳を合わせる。
「実に楽しいじゃねえか、始まる前から」
大財閥の当主岩崎義孝と孫娘岩崎華も光たちの前に歩いて来た。
岩崎義孝は光と握手。
「思いっきりやりましょう!」
光もにっこり。
「思いっきり鳴らします」
岩崎華も光と握手。
「光さんの指揮で歌えるなんて、最高です」
光は苦笑。
「出会いは、難しかったれど?」
岩崎華は、真っ赤。
「もーーー!光さん!」
結局、思いっきり抱き着いて、特に巫女たちはムッとした顔になっている。
光が空を見上げると、実に快晴、まさに音楽の祝宴にふさわしい空になっている。