うたと、かぞく
蝶々がみちびくあの里へ
いそいで走って追いかけて
だれにも見られちゃいけないよ
さぁさぁしずかに時を待て
蝶々がみちびくあの森は
この世のものとは思えない
よろこびたくさんあふれてる
さぁさぁ友だちいっしょだよ
──とある里に伝わった童謡。一番と二番を抜粋。
突然だが、うちの弟はとてもかわいい、そして良い子だ。
村の子供たちもみんな良い子でかわいい。男の子も、女の子も。
おれと年が近いのは、おれを含めて二人だけ。十二歳が二人っていうのも寂しいが、上にも下にもいっぱいいる。
弟の代は、五人くらい。たまーに増えたりするんだけど。
まぁ、友達が急に増えるなんて、子供時代にはよくあることだ。集落も近いと思うし。
たまに十人くらいで遊んでいるときもある。
ちびっこたちはだいたい、昼過ぎから集まってる。
おれやカイが薪を拾ってる間も、遊び倒している。
集落のまん中の広場か、山の入り口か、滝つぼか。
まぁ見かけるのはいつもこの辺だ。
大人から離れちゃいけないとは言われるが、大体はみんな冒険する。おれもカイもそうだった。
だから大人たちは、年が近いおれたちに、今日はここ。と、教える役目を与えている。
カイも、
『俺が見てるのも、大体そこ』
といっている。
だから、その辺りにいるだろうって思ってた。