あなたのことなど好きになりません
ルソリア国の第一王女 リースティア・ソレア・レショードの専属騎士で元王立騎士団副団長だったルーシェ・ティア・レニリアはいつもと同じように中庭で剣術に励んでいた。
朝の光がルーシェの青い髪を照らしルーシェはそんな眩しい光に手をかざし空を見上げた。
そしてまた剣術を再開したのであった。
「はあ、今日もこんなにチェックしなければならない書類があるわ。でも余裕よこのくらい」
ソレアがそう言うと机の横に立っていた己の騎士ユウヤ・シャーナは言った。
「殿下、今日サクヤ王子殿が殿下と話をしたいと言っておりましたがどうしますか?」
「そう、珍しいわね。私と話をしたいなんてどういう風の吹き回しかしら」
ソレアがそう言うと開けていた窓から春の心地よい風が入ってきた。一方、ルーシェは剣術の練習を終え寮に戻るところだった。
「はあ、まだまだだな。もっと強くならなくちゃ大切な人を守れるように」
ルーシェはそう言い歩き出した。
ルーシェが王立騎士団元副団長だった頃ある人と付き合っていた。王立騎士団では結構噂になっていたが王の耳に届くほどではなかった。
その人とルーシェには身分の差があった。
その為、反対する者も多くいた。
ある日、王立騎士団の1人の男がルーシェに聞いてきた。
「王立騎士団で結構噂になっているけど、おまえ恋人いるのか?」
男がそう言うとルーシェはまさかと言い言った。
「恋人いないわよ。男に興味がないわ」
ルーシェは嘘をついた。
本当は恋人いるし噂も本当だ。
だけどルーシェはあえて嘘をついた。
あの人の為に…
「そうか、ならいいんだが」
男は少し安心したようにそう言いその場から去って行った。恋人いないルーシェが言ったその言葉はあっという間に王立騎士団に伝わった。
そんな噂を耳にしたルーシェの恋人はどうしてそんなことを言ったんだと怒りルーシェは別れを切り出さざるを得なかった。
「ごめんなさい。私あなたのこと恋人として見れない」
ルーシェがそう言うと男は深く傷付いた顔をした。
「そんなふうに思っていたのか?俺のこと、噂になるぐらいどうでもいい、俺と一緒に入れればそれだけでいいって言ったのはルーシェおまえだろう。なのに、なんで…」
男は声にならないと言ったように涙を流した。
ルーシェはそんな男を見て思った。
なんて恋は残酷なのだろうと傷付けたくない相手を私の言葉で傷付けてしまった。私はこの人の為に嘘をついた。それが間違っていたのだろうか?
「ごめんなさい」
ルーシェはそう言って去って行った。
(つらい、こんなことなら恋なんてしなければ良かった…)
この時、ルーシェは決意した。
もう、二度と身分違いの恋はしないと、そう思っていたのにまた出会ってしまう。




