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66 招待状

 そう言えばこの国の神様は何て言うんだ?


 宿屋で朝食をとった後の何気ないキールの問いに宿屋の娘は呆れた顔になった。「ええ、神様に名前なんかないわ。だって神様は独りなんだから神様を名前で呼ぶ必要もないし、友達みたいに名前で呼び合うのも失礼だし。

 ほんと、他所の大陸の人はおかしいよね。何十人もいるという所もあるし、多い所だと八百万も神様がいるって話だから。それも冗談ではなく真顔で言うもんだから最初は凄く驚いたわ」

「ふーん、神様が一人きりだと寂しいから普通はもっと何人もいると考えるんだけどね。独りぼっちの寂しい神様がこの辺りの担当なのか」

「担当とか違うし、神様以外の神様がいると信じている方がおかしいんだし!

 もう、そんなこと言うならさっさとテーブル空けてよ。掃除したいんだけど、さっさと仕事に行きなさいよ!」


 自分の常識を覆されるのが嫌な宿屋の娘はキール達を邪魔物扱いして、心の平穏を保とうとした。そして、件の手紙を今思い出したかのようにキールに渡した。

 と、いうことで隣町に招待されて素直に出向いたキール達である。


「しかし、お宝を俺たちより先に集められているとはな」

『そのスマートフォンとやらの情報でもこの町にあるということなら、手紙の内容も嘘ではないのでしょ?

 招待を受けたんだから堂々と乗り込みましょう』

 キールの悪態に付き合っている魔人アンドロマリウスの表情も硬い。

「そうだな、だけど何だって教会がパーティー会場なんだ?」


「招待状を拝見いたします。ようこそいらっしゃいませ、お客様。ご案内します。どうぞ、こちらになります」

 キール達を案内するのは、十代前半の若い修道服を着た女の子だ。彼女が案内してくれた礼拝堂に入ると若い修道服姿の女性が十人前後集まっていた。

 彼女等は普段は商家の娘、宿屋の娘、八百屋の店員、市場の売り子などが今回のイベントにかき集められたらしい。

 中央には神父の服を着た少年が待っていた。


「ご足労頂いて恐縮です、私はザキエルと呼ばれています。あなた方のお探しの物はほれ、あの祭壇にあります。お確かめください」

 若い神父が振り返ると祭壇の上に女性の右腕と左足が浮かび上がった。魔導の波動から正しく己が身体の一部であるとホムンクルスには解った。

『どうやら、本物のようね。で、ただで頂けるのかしら?』

「それは、あなたがた次第ですね・・・・・・」

 若い神父がほくそ笑む。


「まずは、世界の摂理。力が上の者が全てを手に入れる。示していただきましょうか、あなたがたがそれに相応しいのかを」

 神父の合図で修道服の女性たちが一斉に細い剣を構えた。

「ふん、力ずくか。シンプルだな。ではホムンクルス、アン頼んだぞ」

『いいのですか、キール?あの娘たちは、普通の人間が操られているだけですよ』「そいつは、参ったな。気絶させるだけとか、動きを封じるとかで戦闘不能にできるか?」

『難しいですね、それなりに魔導の力で強化されてますから・・・・・・』


(やはり困ったことになったわね。キールのガラスの精神(ハート)が砕けるのが先か、私の魔導が敵を殲滅するのが先か?

 まあ、どの道避けて通れぬは魔導の(ことわり)ゆくべき道をゆくのみ・・・・・・)


 ホムンクルスが苦りきった顔でいるのは、つまりキールに頼まれたアンドロマリウスが苦手な手加減を無理にでもやり通すだろうと彼女の心を読んだからだ。

『アン、万一のときは非情の心を忘れるな!相手がどんなにか弱く見えてもな』

『はい、ご主人様・・・・・・』

 

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