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30 穢れ

お久しぶりです、お待たせしました。

 穢れが溜まっていく、魂に蓄積されていく。

 己の欲望が、うずきが自身を飲み込んでいくのが体感でわかる。


 恋しい、愛しい、ああ。ああ・・・


また、夢を見た。喉を潜る熱い血潮、凄く美味だった。


 魔族の一派が戦いに倦み、平和を求めその膨大な魔力を手放し地上へ。

その末裔が我々、人類だったのだ。

この秘密に気づいた者はまだ居ないが、いずれこの戦いに意義を見いだせなくなるだろう。


 役所に勤める平凡な男が顔を洗っていた。歯を磨いていた、いつもの食後の習慣だ。

 平凡な男のただの習慣だ、ただこの男の世界との関りが異常なだけだった。

 彼は、歯を磨くときに大変リラックスし、普段とは変わって至極平静な状態になる。

 そしてこの時、宇宙の平和を乱す者が現れたとき無意識に変身し悪を退治していた。

人知れず、いや彼自身すら知らずに宇宙の危機を救っていたのだ!



「そう、仕方ないのかも知れないわね。神にも匹敵する力を持つあのお方なのだから。退屈まぎれに無聊をお慰めしようとしたけれど、それすら無用のことなのかもね。でも、わたくしには放っておくことなどできはしない」


 とりあえず、今日のお菓子を仕入れに行こうか。


 「わー、美味しそう。これと、あれと、こっちもみんな二つね、おじさん」

 「まいど、チェリーパイ、あんドーナツ、パンプキンパイを二個づつで1320レイスなんだが、おまけして1300レイスだ」


 カードをおじさんに見せると、おじさんは1300レイスだけ受け取りにっこり笑った。この国では、レイス(霊子)のやり取りで決済が済まされる。そして、お役所はレイスの移動の際に、手数料として移動したレイスの1パーセントだけ受け取る。

 とても効率が良く回避不能で手間いらず、わざわざ役人が帳簿を調べたりする必要もなく安上がりなシステムのおかげで安定した税収を得ている。

 

「ありがとうな」

「ううん、こちらこそありがとう。またね、おじさん」


 私は、カードをちらっと確認するとわずかに残高が減ったの確認する振りをしながらその実、見もしないでしまいこんだ。




 しかし、掃いても掃いても無くならない落ち葉のように。


 また刈り取ってみせましょうか!

 

 街の片隅で少女は、両手に炎を灯すと力まず軽く静かに放った。

 凄まじい速度で飛んで行った炎は、やがて業火となり半径20kmもの面積を焼き払ってしまった。


 「見つけました、神様!」

 空から一筋の光と共に、白い鳥が叫ぶ。


 「!」

 何?

 

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