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140 牢獄

『くっ、どけ!月の女王に報いを受けさせてやるのだ。

 乱導 竜、邪魔をするならお前も女王もろとも宇宙の塵と化せ』


 虚無の空間エネルギーがあらゆるものを蝕んでいく。だが、黄金の鎧は表面がわずかに腐食していくが、薄膜がボロボロに崩れ去る度に新たな輝きと共に再生されていく。


「生憎、この黄金の矛盾スィラーフ・ディルアは無敵なんでね。そんな物質崩壊攻撃など効きはしないのさ」



「火星衝突まで五秒!」



月の制御AIであるアラクが律儀に秒読みを始めたようだ。まあ、こっちはそんなこと気にしている場合じゃないんだが。なにしろ、面白い程急激に霊子の残高が減っていっている。



~~~

『ふぅ、キリがないわね』


 黄金の矛盾の右腕が、空を切る。ぎりぎりにスウェーバックで躱し際に踵落としを極める。が、華麗に躱す黄金の矛盾・・・・・・


『これが、地獄の下僕どもにサボタージュさせた理由か?一対一なら、私を止められるとでも?

 ならば、電撃魔導で動きを鈍らせて?!

 な、なに?』


 やばい、これは結界を全力で固めねば(途中まで練り上げた魔導を全て結界構築に振り当てた。ふぅ、間に合ったか)


 冷や汗をかきながら乱導 竜のギリギリの攻防を繰り広げるソローンは傍から見る分にはただ月面で佇み黄金の矛盾とにらみ合ってるだけであった。




~~~


「四、三、二、一、・・・・・・」

「アラクの任務続行が不可能となったため私、アルドが状況報告を引き継ぎます。現在、月は火星の表面を削りながら約半周して予定通り木星衝突軌道に乗りました」

 一瞬のノイズのあと、地球の制御AIであるアルドが状況報告を引き継いだようだが、その内容は驚天動地、火星地表面でのスイングバイによりソローンの意識と薄皮を刈り取りながら木星へ強制送還させるという企てらしい。



「アルド、リュラーンは無事なの?」


 詐欺魚雷改修二型《スキャム・トゥピドーMODⅡ》二号機によって無事月から脱出した月の女王が竜の安否を問う。



「・・・・・・ 現在 牢獄作戦アマリィヤ・セジュン進行中、黄金の矛盾スィラーフ・ディルアに搭乗中である限り、リュラーン皇子の生存率も高いと推測します。

 ですが、もしもの時の覚悟はお持ちください我が主!」


「にゃあ、誰も気づいていないのね。竜さんが、命よりも大事な霊子レイスを削ってまで薄氷を踏む思いでホムンクルスを一人で牽制していることに・・・・・・」


 いつの間にか管制室に入って来た白衣姿のネコさんに、気付くことも無く皆は大型モニタの画像に映る木星に凄まじい速度で突っ込む月を見つめていた。


 木星に衝突した漆黒の月は木星の中心でヘリウムを燃料に核融合を開始し、その過程で生成したマイクロブラックホールを月の周囲に展開した。

 これにより超巨大宇宙船、太陽系マンズーマ・シャムセイヤ内部に侵入した高脅威度の敵を安全に隔離収容するのが牢獄作戦の全容である。今回の対象者は言わずと知れたソローンである。


 元々の牢獄作戦では、敵性勢力を木星の重力圏で無効化するという可愛いものだったが俺が少し内容を変更したのだ。

 俺の詐欺スキャムによって、牢獄の強度は十倍リバレッジを三段の多段階掛けしている。つまり高温耐性と圧力耐性が十の三乗倍で元の強度の実に千倍にも達している。


『くう、離せ。このまま木星くんだりで朽ち果てるつもりは無いぞ!』


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