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136 真価

 数十基の超光速飛翔体が、配下の魔人に一斉に着弾した。ふふ、そのようなたかが長さ三メートル、幅0.六メートル、重量七00キログラム程度の物体(そう、ミサイルとか言うのね)で我が配下の魔人に傷一つ付けられようはずもないのに ・・・ ・・・


『やった! 休暇なんて久々だよな。地獄の様に溜まった積みプラでも完成させるかな』

『なんだか寂しい休みだな。俺は、彼女と二人で旅行に行くわ』

『三人で、旅行に行きましょうか』

『俺は、兆利人を十遍くらい読み直すわ』

『拙者は、忍者の聖地を巡礼すると参ろう』

『しかし、今回の長期休暇の取得ってメイちゃん。いや、キメイエス様が率先してご主人様に交渉してくれたそうだぜ』

『あんなロリッ子の恰好していても、なんだかんだ言っても年の功だよな。俺たちとは何億年も長く生きてるだけに色々考えてくれているんだなあ。

 やっぱ、メイちゃん最高!』


 だというのに月面を攻撃中だった魔人どもが、それぞれの個性を象徴する色取り取りの煙となって消えてしまった。それも倒されて悔しいとか痛いとかではなく、歓喜に包まれて歓声を上げる声が聞こえた気がした ・・・ ・・・


「ふふ、やはり嘘の中に少しの真実を混ぜ込むと詐欺スキャムの効きがいいよなあ。実際、魔人キメイエスが長期休暇を取得しているのは事実だしな。

 種明かしをするとアラク謹製光子魚雷のコピー品、通常は弾頭内の反物質と物質を衝突させその対消滅を利用するところを俺の独自能力である詐欺で嘘と真を利用して着弾した魔人どもに幻想を植え付けることに成功したということだ。

 まあ、俺の口座が軽くなっていまったが、それはまたカモを見つけて稼げばいいだろう」


 アラクが呆れたような顔で俺を見ているが、今は気にならない。姉さんが喜んでくれているから。


「おお、やりましたね。リュラーン、愛しの弟にして我が夫の策略は一石二鳥ですね」

「それは、どういうことですか、我が主?

 あの光子魚雷擬きで魔人どもを追い払っただけでは?あのホムンクルスには、たしか七十ニ柱の魔人とそのそれぞれが指揮する多数の悪鬼魔族の軍団という大戦力を擁しているとか。

 まだまだ、相手の戦力を少し減らしただけなのでは?」


「ほほ、リュラーンがたかが魔人の五柱や十柱を追い払う為だけにあれほど多額の霊子レイスをみすみす失うはずなどありませんよ。

 まあ、ホムンクルスの様子を今しばらく見ていればお前にもわかります」


 月の女王がうっとりとした顔で乱導 竜にしな垂れかかる。


「まあ、バカップルの安全確保と観察も私の業務の内ですから ・・・ ・・・ もう少しだけ見守っていましょう」


『こうなったら、もう一度攻撃を掛けるわよ。サミジナ、ガープ、バルバスだけだとまだ戦力が足りないか?

 アスタロト! 黒いシャム猫なんかといちゃついてる暇があったら月の女王討伐に手を貸しなさい!』


『うるさいなぁ、ホムンクルス。童は今大事な任務を遂行中だ。そのような雑事は、地獄で暇しているブエル、パイモンとかアモンなんていいんじゃない。そうね使えるものならバアルなんかも相当暇してるでしょう?最近お呼びが掛からなくて、あはは』


 地獄の序列二十九位、四十の軍団を指揮する魔人アスタロトは船長席で居眠りするネコの姿を愛でるのに前のめりになり過ぎており、青い瞳のビスクドールの身体は座席から今にも転げ落ちそうだった。


『アン、地獄から適当に暇そうなのを二十か三十柱引っ張って来て!』

『ご主人様、お言葉を返すようですが私を含めてみんな長期休暇中ですので召喚にはしばらく誰もお応えできませんよ。

 あれ?なんでさっきまで月の裏側にいたんだろう。でも、休暇の裁可はご主人様が皆にお与えたになったではないですか』


 いつの間にかどこかの惑星の砂浜でビーチチェアに身を預け寛ぎながらフローズンカクテルを楽しんでいる腹心の魔人アンドロマリウスの声にいつもの忠誠心は欠片もなかった。


 こ、これは一体どういうことなの?



~~~


「なるほど、先ほどの詐欺魚雷には洗脳効果のあるウィルスのようなものを仕込んでいたのですね。

 さすがです、リュラーン皇子」


 アラクの目が少しは俺を見直してくれているようだ。

「まあね、魂に刻む改変不可能な信頼性、安全性に優れたブロックチェーン上に構築された仮想通貨、霊子の力は魔族にだって効くんだぜ。

 光速をも超える速度、距離、時間、次元すら超越する霊子の真の力を知ったら、みんなぶっ魂消るぜ!」

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