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132 逢瀬

 乱導竜は気になる気配を感じてベッドから出ると明かりを点けた。だが、そこには誰もいなかった。


 ふう、こういうときだけは勘がいんだからリュラーン皇子、愛しい男、最愛の弟にして夫でもあり憎らしい奴。


(ふーん、まあ今のところは見なかったことにしてあげますか)


 ふはあ、まだ寝足りないなあ。竜は再びベッドに潜り込むと ・・・・・・


 柔らかい温もりと香しい香りに包まれた。え?!


「こういう時に、言葉は無粋よ。リュラーン、ただ私を抱きしめていて」

「・・・・・・ わかったよ、姉さん」


 どういう手を使ったのか瞬く間に竜は裸にされキリュウ・グツチカ・シトゥール女王に抱きしめられていた。彼女も既に惜しげもなくその美しい肢体を愛する男にさらけ出していた。


(アルド、情報提供は感謝しますが我が主人のプライバシー保護のためこれ以後の動画保存は禁止します!)

(そんなあ!アラク! 頭が固すぎるよ。これは人間を観察、いや保護対象の安全を確保するための立派な保全措置だよ。

 人間の生殖行為を生で見る機会なんて、そうそうあるもんじゃないんだからさぁ)

 月にいるアラクと地球のアルド、いずれも美形人工知能姉妹が月と地球間において超光速通信を用いて情報交換している中身を開発者が知ったらテクノロジーの無駄遣いを嘆いていたことだろう。



~~~


「満月の夜は、月読の血が騒ぐものなのよ。だってそうでしょ、私は普段月に居るから影響されないんだけど。こっちに来るとどうしてもね」

「月読のって、預言かい?」

「そう、あの黒魔導師がとても残酷なことをするから ・・・・・・

 つい、かぁっとなって殺しに行っちゃった。無駄だったけどね、てへっ」


 舌を出して笑う女王の仕種に笑いを堪えながら。


「そりゃあ、ジョージさんに敵う訳無いよ。いくら姉さんでも、あの人は権威に慮って手を抜く人じゃないし」

「まあ、そうなんだけどね。でも、お茶にナノマシンを入れておいたからコンマ何秒か位なら動きを止められるはずよ」


 秘密の呪文は、もう一度私を愛してくれてからね ・・・・・・


「もう、姉さんは。気を失っても知らないよ。あ、こら!」


 近親相関がタブー視されるのは、遺伝的な欠陥を子孫に残さない為とある種の特権階級の独占的優越の手段だからである。この二点において高度な遺伝子制御技術を持ち、生まれながらにして高貴な二人には特段の妨げではなかった。


 結局この後、アラク達の秘蔵動画は二パターン増えたのであった。


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