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130 死闘の果てに

 微かな違和感を覚えながらも、双子魔人セーレと同様に衝動を抑えきれずに魔幼女の肢体を貪るように嘗め回す斎酒に理性の欠片すら残っていなかった。


『のっぽのお姉たん、耳も舐めて。いやん、噛んじゃ。だめぇ』


 魔幼女キメイエスの嬌声が双子の魔人だけでなく斎酒の理性をも狂わせる。


『ご主人様!メイちゃんが、あ奴らに汚されてしまいます。早く助け出すようにご命じください!』


 ソローンの腹心魔人アンドロマリウスが焦れったそうに主人に伺いを立てるが一向に許可が下されず、焦燥感が募ってくるのかしきりに腕に巻いた大蛇を握っては離すを繰り返していた。


『フッ、アンいい加減に目に見えるものだけに惑わされるのを止めたらどうなの。キメイエスは、お前よりも何億年も昔から魔道を究めし古強者よ』


『そんな馬鹿な!あんなにも愛らしいメイちゃんが ・・・・・・』

 魔人アンドロマリウスがようやく、キメイエスの異常さに気付き愕然とした顔で蹲る。

 たった今まで、幼女をさんざん辱め嬲っていた双子の魔人セーレが恍惚とした顔で頭をかじられている姿がうっすらと重なっていたからだ。


『やっと、気付いたようね。そろそろ、斎酒に引導を渡すときね。アンは、左から斬りなさい。私は右から同時に掛るわよ』


 魔人アンドロマリウスが腕の大蛇を桃源郷を彷徨う斎酒の左手から振り下ろす。大蛇の牙が、女忍者くのいちを切裂くと思われた一瞬懐から抜いた苦無でかろうじて斬撃を払いのける斎酒は迫りくる恐怖に我を取り戻していた。


「どうやら、妖女の罠に嵌っていたようね。でも、何故?

 そんな雑魚に初撃を任せなければ、隙だらけの私の首を取れていたでしょうに ・・・・・・」


『まあ、不出来な弟子の育成も仕事の内とマスターに言われているからね。これほどの強者との一合を経験させとくのも悪くはないわ』


「ふっ、体よく弟子の練習指南をさせられた訳か。笑えるな、数百年ぶりに ・・・・・・ まあ、それもよかろう。真陰流、参る!」


『本来ならば、魔導の冴えたる技をもって相手するところだが。

 剣でも闘えねば、真の強者たりえんか?最後の手向けだ!』


 ソローンは左手の薬指を噛み切ると、滴る血から魔導の流れる劔を産み出して右手に構えた。


「やあっ!」

『はっ!』


 斎酒が剣を縦横に閃かせ、その悉くを血の劔で流すソローン。

 そして、常人にはなんの変哲もないただの籠手打ちが勝敗を決した。


「むっ、見事!真陰流の奥義まで会得するとは。数々の卑怯な所業、それほどの腕を持ちながら ・・・・・・

 惜しいな、其方なら新陰流の剣を究めることもできように」


『そんなものには、興味はないわ』


 斎酒の身体は、紅い花びらが散るようにわずかの時間光を発してやがて消えていった。


『ソローンお姉たん、やったね。約束通り、たっぷりと休みちょうだいね』

『ふっ、考えておこう』


(な、なんと禍々しい ・・・・・・)

 魔人アンドロマリウスは、一瞬だけだがキメイエスの真の姿を見たため本能的に恐怖した。

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