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128 決闘3

 人面瘡の少女が憎々し気にソローンを罵った後、口角を上げて笑う。

「あっはは ・・・・・・ 時は満ちたな、今度はこちらのターンだ。

 覚悟しな!」


 木に吊るされた少女と人面瘡の目が合った。少女の身体がどろどろと膿溶けていき、どす黒い液体状の物質となった肉体が人面瘡の口に吸い込まれていった。


『あ、やばい。セーレ、そこから立ち去れ!サミジナ何をしておる構わんから即刻人質の娘を斬り捨てよ』

『え、この女は俺が貰うはずですよ。またですか、折角の獲物をお気に入りに下げ渡せと言われるのですか?俺の人生こんなんばっかしですよ。美味しい所は誰かに持ってかれるし・・・・・・』

『主様、斬ってしまったら人質の役に立ち申さぬぞ』



(くう、この役立たずの色ボケ親父が・・・・・・ああ、そんなことを言ってるのではないわ、判らぬのかこの禍々しい魔導の揺らめきが・・・・・・  もう、間に合わぬか)


 

『よくも好き勝手してくれたな、地獄には欲望に塗れた淫魔の類も多いと聞くが其の方の醜態、見逃すには余りある有効活用させてもらうか』


 斎酒の胴体から生えた少女の手足が魔人セーレを八つ裂きにすると肉体の断片と血や脂も余さず吸収していった。


「ふう、奥の手をこんな所で使うことになるとは ・・・・・・

 ソローンのことを見くびっていたようだな。これは高い授業料になったな」


 斎酒の身体は太っちょ魔人セーレを吸収したためかスマートな体形はそのままにニメートル近い姿に変貌していた。そして斎酒の眼窩には、人質だった少女の紅い目が妖しく輝いていた。


『うわっ、よりによってあの不細工な魔人セーレと合体するとは ・・・・・・

 斎酒、おそろしい子』


「ふっ、勝つために手段を選んでおる場合でも無かったのでな。例え魔人の身体、いやおぞましくも魔人の身体故か再生直後でさえ溢れるこの力!

 さあ、私のターンね。四肢に眼球といろいろ可愛がって貰った礼をさせてもらうわ」


 不気味に笑う斎酒の声に魔導の力が混ざり、発動する。突風が吹き荒れ、ソローンに襲い掛かる数々の岩石が障壁にぶつかり砂の様に崩れていく。


『効かぬな。こんなこともあろうかと地獄の序列第六九位のデカラビアを事前に召喚しといてよかったわ。全く、気が抜けぬ相手で困るわ』


朽ち果てた廃墟のような城砦に血塗られた五芒星が妖しくたちはだかり斎酒の攻撃からソソローンを守っていた。

『我を自動防御魔法代わりに使役するなどここ数千年の歴史の中でも無かったことでございます、ソローン様』


『ふん、たかが数千年、五十六億七千万年でもあるまいし、わざわざ口にするほどでもあるまい』


『守るだけでは埒も無い、地獄の序列第六十六位、大侯爵キメイエス我が前の敵を蹴散らせ!』



ソローンの召喚に応じて巨大カマキリに跨った幼女が配下のカマキリたちと共に斎酒に突撃を掛けていく。


『お招きしてくれてありがとう、ソローンお姉たん、キメイエスだよ。メイちゃんと呼んでね。今日はお姉たんのために裏切者のおっさんと悪者を退治しちゃうよ!』


 巨大カマキリに騎乗した幼女が両腕で力こぶを造るポーズで八重歯をきらめかしながらソローンに振り返る。


「お、おお!なんたることか。あの様ないたいけな幼女を思う存分いたぶれる機会に巡り合えるとは。これを僥倖と言わずして何と言おうか!」


(ふふっ、斎酒の奴セーレのどす黒い欲望に引きずられてと戻っておるな。あ奴の下劣さは地獄随一だからな。せいぜい、欲望に振り回されて破滅するが良い。)





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