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122 女忍者の正体

 女忍者くのいちにしては教養のある所作に美しくも底知れない不気味さを感じた『ソローンの造り手』だったが、制御室の後ろから大して気にも留めぬ様子のホムンクルスを見ると呆れたように黙って首を振った。


(マスターが黙って見ている。つまり私に全幅の信頼を置いて下さっている何よりの証)


『其の方が、噂の女忍者か。宗厳をあっさり消し飛ばした手際と月面に現れた行動力には敬意を表すとしましょう。

 私はソローン、偉大なるマスターに造られし者。そこではなんでしょうから、こちらにいらっしゃいなお茶でもしましょうか?』


 斎酒は、頷くと姿を消した。


「質量喪失、敵性の所在不明!」

 アラクが、緊急手順により全方位の精査を開始した・・・・・・


「お招きにより、参上しました」

『まあ、くつろげるかは知りませんがどうぞお楽になさって』


 アルドが出した紅茶とお菓子を斎酒は優雅に嗜み、ホムンクルスは豪快に流し込んだ。


『で、結局あなたの目的は一体何なの?』

「それは、私に聞くよりもあなたの主人に聞けばわかることですよ。

 それよりも、あなたの目的は何?私たちの邪魔をしたのはどうせそちらにいる主人に命令されたからでしょうから、そんなことはいいの。

 ソローン、あなたは何が本当はしたいの?いつまでも、造り手の主人に言われるがまま生きて行くの?」


 静かな瞳で女忍者はホムンクルスに問い掛けた、見ようによれば慈愛の瞳に見えなくもなかった。 


「ふむ、女忍者。斎酒とか言ったな、其方の正体はそう、『矛盾』だな?」

「左様、斎酒と申します。

 如何にも我の目的はその通りでございます、もし、お名前を聞いてもよろしいですか?」


 濡れた瞳で、『ソローンの造り手』を見つめる斎酒の指はわずかに震えていた。。


「名か、とうの昔に捨てたが×××××だ。久しいのう」

「ほんに、お逢い出来て嬉しゅうございます」


(マスターが他人に名乗った?! それに何だあの名前は、私の知らない名前だ。そんなことが有る筈はない、私がマスターのことで知らないことなど無い!)


『マスター、斎酒・・・・・・ 様を客室に案内いたしましょう』

「そうだな、斎酒ゆっくりするがよい」

「はい、ありがとうございます」





『こちらの客室をお使いください』

「はい、お世話になります」

 ドアを閉めようとした女忍者は、まだ残っているホムンクルスに微笑んだ。


『・・・・・・ ゆ、斎酒様はマスターのお知り合いだったのですか?』

「ふっ、遠い昔のことですよ。あなたの考えているような関係では無かったわね、私たちは。もっともそうなっても良いと私は思ってましたけどね」

『えっ、?』

「じゃあ、しばらく厄介になります」




 客室に一名ベッドで横になっている、睡眠状態、周りに気配なし。

『行け、サミジナ。禍根を断つのよ!』

『承知』 

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