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120 反撃

『くっ、きつい。何故そんなに締め付ける、Z-RIDER?』

「ほほ、マスタを見つけて油断し過ぎたのでは以前装着した時と同じはずですよ。まあ、コアな情報を共有するのに腰を締め付けるのは致し方ないこと、我慢しなさい」


(確かに、些細なことは後回しにして敵の排除を優先するべきね)


 宗厳は、新たな化生の登場に慎重に様子を見ていたが覚悟を決めると再び斬撃をホムンクルスへ飛ばしていった。


『ちゃんと仕事をして貰うわよ、Z-RIDER』

「はいはい、不細工な蝙蝠の最新移動位置から受信した超音波の反射波を解析して相手の動きをあなたの頭にイメージしやすいように処理して伝えてあげるわ。

 まあ、任せといてこういうのには慣れているから。何て言ったかしら、竜さんが言っていたARって奴ね」


 AR《拡張現実》(Augmented Reality)が何のことかホムンクルスは知らなかったが、お客様のもたらした異世界の技術らしいことはZ-RIDERの口ぶりから察したので視界に重ね合わせて表示された赤い敵らしきマークに小手調べの攻撃を放った。


「な、何?我に化生の刃が当たるなど、我の動きが判る筈はない。当て推量で、たまたま当たったのか?」

 宗厳は左手首の傷を、手早く手当しながら匂いについても欺瞞を掛けた。


『Z-RIDER、見えてる奴の位置と敵の表示がぜんぜんズレているけど。これが奴の術の結果なの?』

「そうね、奴は人間が感じることができる光と音を捻じ曲げているようね。だから、不細工な蝙蝠の出す超音波の反射波を処理したものが本当の奴の位置よ。

 複数の蝙蝠が高速で移動しながら、超音波を受信しているのでそれなりに精度は上がっているから。まあ、MIMOって技術だけどね。そう、これもお客様から教えてもらったスマフォだとかWi-Fiとかが使ってる通信技術だけど、あなたはその手の技術情報に興味無いわよね。ふふ、相変わらずの魔導馬鹿さんだし」


『最後の馬鹿とかは、聞かなかったことにしてやるわ。その替わり奴、宗厳を倒すから手伝え!』

「はいはい、なら蝙蝠の数を倍にしてもらえると助かるわね。出来るかしら?」

『やってやるわ。ガープ、8羽に増やしなさい!』

『更なる分身は、やったことがありませんご主人様』

『ええい、私が力を貸すからやりなさい!』

『わ、わかりました。分身倍プッシュ!』


 ホムンクルスから黒い魔導の波が四方に飛び、周回していた四体のガープに力を与えた。そして飛んでいた四体のガープが、苦し気に唸りながらそれぞれ二体に別れ合計八体の蝙蝠魔人が高速で周回しだした。


「これで準備は整ったわよ。やっちゃいなソローン」

『漸く、奴を切り刻めるか。いや、ここは魔導の実験台になって貰おうかしらね。 うーん。・・・・・・そう、あれを試しましょう』


(たしか、動きを止めるには相手を重くすればいいはず!)


「くっ、こちらの衝撃波がことごとく躱されていく。如何したことか、こうなれば止むをえん。一時撤退じゃ、我の周りの光も音も今以上に曲げてその隙に逃げるまで・・・・・・」

(うっ、おかしい?身体が重い、何が)


『ガープ、終わったわ。大儀であった、もう帰っていいわ』 

『はは、帰参いたします』


『ふう、上手く術に掛ったわね。アルド、帰るわ』

 ホムンクルスが地上から消えるとその周囲に人の姿は無かった。ただ、一体の武者姿の黄金像が倒れていたが、それもしばらくすると忽然と姿を消してしまった。



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