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12 探索

 お待たせしました。

 さて、今日はどこを探索するか?

 黒衣の魔導師『ソローンの造り手』は、水銀を纏わせたブレスレットを起動させながらしばし思案した。


 ふむ、西の島にでも出掛けようか。

「ネコ、あれから時空変動は観測されたか?」

「マスタ、いいえ検知されておりません。なお、ソローンの健康状態は良好です。いつでも出撃できます」


 ふ、物騒な表現だな。

「ソローン、折角だからアンドロマリウスに『失せモノ』の場所を占わせてみよ。何か役に立つ情報があるやも知れぬ。無ければ、予定通り西の島へ行くぞ」


 青いゴスロリ風のドレスを着たホムンクルスの少女は、黙って頷くと首輪に装着した七二柱(しんちゅう)の壺に魔力を通した。


「おはよう、アン。お仕事よ、早く来なさい!」


 七二柱の壺は、黒とも金とも銀とも見て取れる不思議な色の輝きを放つ。そして、白いドレスを纏った魔人が現れた。 


「まったく、様式美もへったくれも無いですね。うちのご主人様は、おはようございます。ご機嫌麗しゅう、アンドロマリウスはここに」

「アン、私の偉大なるご主人様、『ソローンの造り手』様が『失せモノ』の在処をお尋ねよ。何かヒントになるような情報をさっさとお寄こしなさい」


 アンドロマリウスは、右腕の大蛇を自分の前に投げる。大蛇は彼女の周りをはい回り、大蛇の跡には砂で書いた精緻な魔法陣が形成され、魔力が高まっていく。


「ふむ、西の島に少し強めの魔力の塊がありますね。なにやら重要の物を隠している可能性があります。たぶん、この島が候補としては有力ですね」

「そう、ご苦労さま。じゃ、いっしょに来なさい!」


「マスター、アンも西の島が怪しいと言っております。荷物持ちに連れて行っても良いでしょうか?」

「やはり西か、わかった。ならば、行くか」


 『ソローンの造り手』は、軽い気持ちで西の遥か彼方に浮かぶ島に転移した。


 どさっ。

 転移の瞬間を察知したソローンは、すかさず『ソローンの造り手』の手を握ったため、転移先に軟着陸したが、アンドロマリウスは周囲の空間ごと転移に巻き込まれたため三メートル上空から落下する形になって、大蛇の上に落ちることで衝撃をなんとか吸収した。

「もう、御屋形様、いきなり転移しないでくださいよ。こっちにも心の準備が要りますからね。呪文省略とか、様式美をもっと大事にしてくださいませ」


「まあ、それは慣れよ!それよりも、あちらを見よ」

「え、金字塔?」


 彼らの前には、巨大な石造りのピラミッドがそびえて居た。

「なるほど、失せモノがあるやも知れぬな。シチュエーション的な意味で」

「マスター、それってフラグでは?」


「なかなか学習が進んでいるようだな、ソローン。ならば、あのピラミッドさっさと壊してしまえ」

「うわ、御屋形様、過激ですね」

「じゃ、行くわよ。アン!」

「え、ええー」


 ソローンは、アンドロマリウスの大蛇を掴むと振り回し始めた。三回転ほど勢いを付けるとピラミッドに向けて放り投げた。


 どっ、ばーん。大量の石の破片が飛び散った。

 ピラミッドの下から三分の一が吹っ飛んでいた。そして、下へ降りる階段が姿を現した。


「では、隠された部屋に入るとするか」

「はい、マスター」

「・・・」



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