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113 人格崩壊

 ヒデが突然額を壁に叩き付け、喚きだした。

「なぜじゃあ。信長様をお救いできぬのじゃあ!」


「ソローン、ヒデを少し眠らせてくれ」

『はい、マスター。サミジナ、適当な薬でも盛ってヒデ殿を眠らせよ。今すぐじゃ!』


 ソローンが天井に向かって下知すると、馬面の黒装束が音も無く天井から飛び降りると毒々しい粉をヒデに振り掛け眠らせた。


 翌朝、ヒデはまた時を超え己の主人の命を守る旅に出た。

 そして、夕方絶望して戻って来た。

「何でじゃあ!ジョージ、何でなんじゃあ?」

「まあ、ヒデ落ち着け。既に二百回も信長公の救援に行って様々な敵に妨害されてきたのだろう?

 そろそろ諦めろ、お前はよくやったよヒデ」


 ヒデはやがて疲弊した顔で蹲った。


『アン、少しヒデ殿を慰めてやれ』

『はい、ご主人様』

 魔人アンドロマリウスは煽情的な薄物を纏って現れるとヒデを優しく介抱しながら寝室に運び込んだ。彼女は快楽と夢幻の時をヒデに提供しヒデが疲れ果てて眠り込むと、静かに寝室から下がった。


「ソローン、ヒデの興味を信長から息子の秀頼に移し終えたか?」

『はい、マスター。夢見心地から醒めて明日の朝には信長殿のことは過去のことと諦め、秀頼の延命に励むでしょう』

「ふむ、ご苦労」


 翌朝、ヒデは秀頼の運命を変えるため奔走したが夕方戻って来た時には絶望していた。


---

「ジョージさん、あのヒデって人はこれからどうなるんだ?」

「どうとは?」

「かなり精神的に参っているようだが・・・・・・」

 乱導竜があまりにも酷い姿のヒデに同情して、『ソローンの造り手』に質問した。


「竜、勘違いしているようだがヒデは姿形は人間そっくりだがあれはヒデの記憶をコピーした、ただの人造人間ホムンクルスだ。

 魔導の探求には、人の情を捨てねばならぬ。天使に逢うては天使を斬り、悪魔に逢うては悪魔を斬る非情の論理だけが魔導の神髄に到達できるのだ。

 そうあの娘、ソローンにも教えているよ」

「それは、そうだが。見ていると哀れに思えてさ、何度も何度も大切な人が死んでいくのを見せられているんだろ?」

「そうだな、ステップ1では主君信長公を救えず。現在のステップ2では息子の秀頼が様々な者に狙われているな。最初は家康、次に北の政所、利家の妻おまつ、最期は天界僧正に唆された母親の淀君に殺されたようだな」


 乱導竜は余りにも悲惨な状況に目を伏せた。

『マスター、そろそろサミジナに新たな指示を与えますか?』

「そうだな、ステップ2も五十回ほど失敗したことだし。闇の忍者集団を組織して敵対勢力を積極的に排除させてみるか」

『わかりました、指示しておきます』


 

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