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112 テイクツー

 苦悶の表情で身もだえていたヒデが目を開けた。


「うーん。秀頼を頼むぞ、家康ど、の?

 おお? ここは、ジョージ今のは?」


「ヒデ、あれほどあの女は止めとけと言っただろうに。また騙されたのか、しょうが無い奴だな。お前の女好きは死んでも治らないようだな」

「そうじゃ、お主の実験の手助けをやっておったのじゃ。信長様の敵は取ったが、どうもあの光秀が本当に殿の敵だったのか?わしゃあ、今でも信じられんのう」


 ジョージ(『ソローンの造り手』)は、やれやれと肩を竦めると、ソローンに用意させたコーヒーをヒデに勧めた。


「ふーむ相変わらず、かうひーは苦いが頭がすっきりするのう」

「ヒデの直感のとおりだろう。本能寺の変には不審な点が多すぎる、恐らくは光秀を陰から操る者がいるのだろう。

 どうだ、ヒデ?真相を確認したくはないか。もう一度、確かめに行く勇気と闘志はあるか?」

「無論じゃ、ジョージ。出来るのなら何度でも、信長様の真の敵を見つけてお救い申し上げるのがわしゃあの勤めよ!」



---二周目を終えたヒデは悔し気に奥歯を食いしばって泣いた。

「うぉー、なぜじゃあ。

 予め光秀が妖しい動きをせぬよう、上手く信長様の怒りが向かぬように知恵を絞っていたのに。

 何でなんじゃあ、権六の奴が謀反を起こすとは。夢にも思わなんだわ!」


『苦労していますね、ヒデ様。私の手の者をお貸ししましょう。

 サミジナ、早くしな!本物の忍者の働きをとくと見て学んで来な!』

『サミジナ参上!我が主君のご厚情真にかたじけのう存じます』


 黒装束の馬面が、いつの間にか現れホムンクルスの前に膝を着いていた。


「こんなどこの馬の骨かわからぬような者が役に立つのかのう?」

『まあ、歩でも使いこなして難敵に勝つのが兵法でしょうに。

 闘えば必ず勝つ、これ兵法の第一義なりって誰か言ってましたよ』


「そうじゃな、腹ごしらえをしたら三周目じゃ。付いて参れ、馬!」

『拙者、サミジナと申す者。秀吉様、拙者を存分にお使い下され』



--- サミジナからの報告を読み上げます・・・・・・

 件名 信長暗殺の首謀者について


 一周目 明智光秀

 二周目 柴田勝家(権六)

 三周目 徳川家康

 四周目 服部半蔵

 五周目 足利義昭

 六周目 フロイス(宣教師)


 ~


 九十九周目 千利休


「ふむ、これでもかと言うほど暗殺されるとはなあ。信長殿はよほど天下に恨まれているようだな」

『マスター、もう百回近く実験をされていますが・・・・・・ これはもう信長殿の助命は諦めた方がよろしいのでは?』

「ふむ、たしかにこれでは駄目だな」


『ソローンの造り手』は謎めいた微笑みを浮かべながら呟くと、なおも実験惑星で奮闘するヒデの動向を見つめるのであった。 

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