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111 テストケース

「さて、腹も満たされたところで何故わしを蘇らせた?わしゃあに何をさせたいのか聞かせて貰おうかのうジョージ」

 

 ヒデが、口に付いたソースを乱暴に着物の袖で拭うと疑問を投げかけた。

『もう、折角マスターが用意した着物が汚れてしまったではないか。汚染除去クリーン

 ホムンクルスが軽い怒りと共に魔導を行使すると、ヒデの袖に付いた汚れが綺麗に消え去った。

「ジョージの娘よ、所詮わしぁー田舎出の百姓じゃ。一時信長様から天下を預かったが性根は変わらん。生まれから貴族のジョージとは違うんじゃ、許してちょ」

『・・・・・・ む、わかりました。マスターの友人でもある故、許しましょう』


「そうだな、ヒデ。お主の眠りを妨げ、足労を掛けたのはちょっとした実験のためだ。どうにも、わからぬことがあったのでな。数百年掛けても解けぬ謎解きにお主の力を借りたいのだ」

「ふーむ、ジョージが解けん謎をか?わしゃあ、頓智には自信があるがジョージの使う不思議な術とか真理とかはわかりゃあせんけのう」


「ふっ、まあ簡単な実験だが。少々、精神的に辛いことがあるやも知れぬが。ヒデ、もう一度淀君や信長、北の政所に逢えるとしたらどうする?」

「おお、なんじゃと!それは、やるぞ。早くやろうぞな」

「ふふ、まあ慌てるな。まず言って置くぞ。これは俺が造り上げたからくりの世界だからな、お前が途中で入れ込んでも人生をやり直せる訳じゃないぞ。

 逆に悲しい別れとかに涙することになるかも知れぬが良いのか。腹は決めておいてくれよ」


 ヒデは、しばし目を瞑ると息を調えて精神統一を始めたようだった。やがて、五分ほどすると静かに答えが返って来た。

「やる。わしゃあやるぞ、ジョージ」

「そうか。なら、これを飲め」

「よっしゃ、お、なんかええ香りがするのう。花の香か?」

「うむ、よくわかったな。特製のワインに少量のラベンダーのエキスを混ぜてある。特に意味は無いがこういう時は、ラベンダーの香りがする方が粋だろう。

 ソローン、覚えておきなさい。無駄な演出も時として魔導には必要であることを」

『はい、マスター』

 確かマスターの蔵書の中に、ラベンダーの花の香りを嗅いだことにより時の旅人になった少女の話が有ったわね・・・・・・

 


---

 興奮した男が、さっきまでいた過去の世界での体験を熱っぽく語っていた。

「やはり、桶狭間の博打は心躍るのう。伸るか反るかの緊張感は、たまらんのう・・・・・・ 

 それにしても、光秀めえ。またしても主君信長様を手に掛けおって!

 かならず、わしゃあが敵を取ってやるぞ!」


 刀を振り回す子供を見るように呆れながらも暖かく見守っていたが。

「おい、ヒデ。最初に言ったようにあまりのめり込むなよ。

 敵討ちがどうのと言うたところで、もう既に終わったことだぞ」


『マスター、ところで実験の首尾は如何でしょうか』

「そうだな、まだ一周目だからな。何とも言えんが、ヒデにはまだまだ働いて貰わねばならぬよ」 


遂に111話(筆者は、ぞろ目が大好きですw)

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