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105 袋小路

 己の創造者である『ソローンの造り手』を探すのに必要な力、超光速航行船を借りるためホムンクルスはリュラーン皇子を探す手助けをすることになった。

 尋ね人を探すうちに別の誰かを探すことになるとは、正直言って面倒くさいが断る訳にもいかず現在に至る。

 だが、その船が一つの恒星系丸ごとという超ド級の巨大船であることにはわりかし無頓着なのだが。これはソローンの感性が女性的であるというよりも、目的と手段を冷徹に捉えているが故だった。


「第三象限の探索も空振りですね。次は第四象限をスキャンしてください」

『もう、人使いじゃなかった魔人使いが荒いロボットね。ご主人様なんとか言ってやってください・・・・・・

 あ、なんでも無いです。喜んで第四象限心を込めてスキャンさせていただきます!』

「ふふ、どこかの居酒屋みたいで面白い魔人さんですね」

『まあ、お笑い担当は他にも居るがな』

 ホムンクルスの底冷えする視線に恐れをなして、尋ね人を探す魔人と揶揄いを込めて鼻で笑う人工知能の心温まらない会話にも皆は醒めきっていた。


「ふうわー、そろそろご飯かにゃあ?」

 船長が欠伸を噛み殺していた。


『じゃあ、とりあえずその第四象限あたりに適当に針路をとってちょうだい。ネコ?』

「おう、まだ詳しい場所も分からないのに船を出すと却って着くのが遅くなるぞ。落ち着け、もう少し待つにゃ」

『お待たせしました、目標発見。○○▽▽××です』

「了解にゃ、針路三三0、角度四0度、速度二0光速で発進にゃ!」

「ネコ船長、その速度では到着は凡そ千年後です」


 皆がジト目でシャム猫を見る。

『針路そのまま、角度三九.四度に修正、速度増速七.三×一0の五乗光速でやってちょうだい』

「角度修正、速度増速。これなら約一日で到着します。よろしいですか、ホムンクルスさん?」

『結構よ、船主さん?であるリュラーン皇子にまた逃げられない手立てを考える時間も要るから』


「ふう、助かった。難しい計算は苦手にゃ。それにしても凄い計算力だにゃ」

『こんなもの、マスターがお出しになされる問題に比べればいかほどのものでもない・・・・・・』

 そう、マスターは計算も得意だったなあ。もっと複雑なものでも何でも出来てやはり凄いお方だったなあ。料理も得意だったし、また美味しいごはん食べたいなあ。


 それにしてもおかしい、システムRX-25は銀河の中央と推測していたはずだがマスターの反応は観測されなかった。まあ、とりあえずの目標であるリュラーン皇子を捕まえぬことにはマスター捜索の旅路に着くことも出来ぬのだから、今は置いておこう。

 それにしてもマスターは、何処におられるのか?


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