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戦後会談

王都攻略戦から二週間。この日、リトシア王国王宮で、戦勝国の王達による戦後会談が行われた。三ヶ国からは、それぞれの国の国王が、ヴィクトリア王国からは、外務を担当する俺が参加した。


会談は、リトシアからの感謝の言葉に始まり、関係ない雑談に発展した。そして、一時間ほど過ぎた頃、ようやく本題へと入った。


「それでは、それぞれの要望を言ってほしい。まずは、今回の戦争の功労者であるヴィクトリア王国から」


 戦後会談と言えば聞こえはいいが、要は敗戦国の利権を切り分ける交渉だ。戦勝国のトップが、敗戦国の事情など考慮せず、好き勝手に利権を奪い取る。これは、戦勝4国が敗戦四国のどの利権を獲得するかの会談である。


「我が国が求めるのは、トスカナ王国の全土。あなた方の国における、ヴィクトリア王国商人の活動の自由。そして、ヴィクトリア王国商人への関税の免除です」


「本当にそれだけで良いのか?」


「貴国の功績を考えれば、国を二つ程要求しても良いのだぞ?」


セルブラントとダリアの両王が信じられないという顔で聞いてくる。


「これで充分ですよ。我が国でも、これ以上の大きさの飛び地を管理すとなると、難しいと言わざるを得ないので」


「そうか。それでは、セルブラント王国の要望を聞こう」


俺の要求はこのまま通りそうだ。


「我が国はシュレビヒト王国を頂きたい」


「我が国はバイエル王国を頂きたい」


セルブラント王国とダリア王国が要望を述べ、最後のリトシア王国の番となった。


「我が国は、シュレビヒト王国を頂きたい」


「ん!?」


セルブラント王国の要望と見事にかぶった。


「ここからは話し合いだ。それぞれ妥協できる所まで話し合おう」


そこからの話し合いは、それぞれのヴィクトリア王国以外の国が要望を通す為の舌戦となった。しかし、互いに譲歩することは無く、意見は平行線をたどったまま、その日の会議は終了した。







「お疲れ様でした」


それぞれの国に割り当てられた部屋に戻った俺に、アーニャがねぎらいの言葉を掛けてくる。


「ほとんど見ていただけですよ」


「それで、どのような状況ですかな?」


会談に合わせて呼び出したアルマンが状況を問うてきた。


「お互いにこれが欲しい、あれが欲しいと、見ていて面白い話し合いでしたよ」


「そうですか。それで、こちらの要求は通りそうですか?」


「えぇ、三ヶ国はそれだけでいいのかと、疑っていましたけどね」


俺とアルマンは互いに微笑みを浮かべる。


「それでは、少し出かけてきます」


俺はそう言って、扉に向かう。


「どちらに行かれるのですか?」


アーニャとリーナが護衛としてついて来ようとする。


「城の中を見学するだけです。直ぐに戻ってきますので護衛はいりません」


俺は反論しようとする二人を制すると、扉を開けて外に出た。


「さて、最初はセルブラント王国にしましょうか」


俺は記憶を頼りに、セルブラント王が宿泊している向かった。








「まったくまともな話し合いができない!」


会議から戻ったセルブラント国王、木田 亮一(きだ りょういち)は部屋に戻るなり怒りを露にする。


「リトシア王国め!助けってやったのは誰だと思っている。最初に救援に応えたのは我が国だぞ」


部屋に居る誰もがリトシアを助けたのはヴィクトリア王国だと言いたかったが、それを口に出すことはしない。そんな事をすれば、怒りの矛先が自分に向くのは分かっているからだ。


「おい、そこのメイド。飲み物を持ってこい」


「畏まりました」


近くにいたメイドは、指示されるままに飲み物を取りに行く。


「まったくもって腹立たしい。貴重な兵を犠牲にしてまで助けてやったんだ。こちらの要求を認めるのが筋だろう」


亮一は怒りをぶつけるかのように、眼の前にあった机を拳で叩く。


「お飲み物をお持ちしました」


「遅い!いつまでかかっているんだ!」


「も、申し訳ございません」


そこまで時間がかかっていない筈なのに、彼はメイドを怒鳴る。殆ど八つ当たりであった。


「まったく、どいつもこいつも・・・・・」


亮一は飲み物を呑みながら、ぶつぶつと悪態をつき始める。


「そうですよね。最初に救援を出したのは我が国ですのに、譲歩がないのは可笑しいですよね」


そんな時、一人のメイドが小さな声で呟く。そして、静かになっていた部屋では、小さな声もに聞こえていた。


「おい、今声を出したのは誰だ?」


部屋にいたメイドの視線が一人に集まる。


「そこの銀髪のメイドか」


「も、申し訳ございません。お気に障られたので――」


「いや、謝らずとも良い。それよりも、先程は良い事を言ったな」


「へ?」


「その通りだ。我が国が譲歩する必要などないのだ。譲歩など、リトシア王国にさせればいい」


亮一は急に上機嫌になって話し出す。


「ヴィクトリア王国を見習うべきだ。あれほどの戦功ながら、謙虚な姿勢を崩さない」


しかし、長くは続かず直ぐに不機嫌になる。


「それに比べ、リトシアは自領を守っていただけだ。いや、守ることさえできずに敵にいい様にされていただけ。それなのに、良い所をかっさらっていこうとする。図々しいにも程がある!」


「それでは、私はお茶菓子の用意をしてきます」


それを見た銀髪のメイドは、適当な理由をつけて、こっそりと部屋を抜け出した。







「ふぅ~。何とか通りそうですね」


会議から戻ってきたダリア国王菅田 宏(すがた ひろ)は、部屋のソファーに腰掛けるなり、詰めていた息を吐きだした。


「お茶をどうぞ」


疲れ様子の主人に、メイドがすかさず飲み物を出す。


「ありがとう・・・・・おや?何時もの方はどうしましたか?」


「はい。体調を崩しましたので、急遽私がお世話をする様に、メイド長に言われました」


「そうでしたか。このお茶、なかなかに美味しいですよ」


そう言ってお茶を口に運びながら、宏はメイドの顔を見る。銀髪が綺麗なメイドだった。


「それで、国王様。会議はどうでしたか?」


「興味があるのですか?」


「はい!とても」


メイドは目を輝かせながら、興味津々と言った様子だった。


「いいでしょう」


そんなメイドの様子に、宏も隠す事でもないと思い、話すことにした。


「我が国の要求は問題なく通りそうです。ただ、リトシアとセルブラントの揉め事が此方に飛び火しないかが心配です」


「私たちの要求は何なんですか?」


「我が国が求めるのは、バイエル王国の全領土と、他国における商人の活動の自由です。我が国は海に面していますから、同じく海に面したバイエル王国を手にできれば、今後の輸送は楽になるでしょうし、経済的にも大きなプラスになるでしょう」


「たったそれだけなのですか?」


メイドは不思議そうに首を傾げる。


「それだけとは?」


「我が国の貢献を考えれば、もっと多くを望んでもいいと思いますが」


「それもそうですが、他国の事も考慮しなければなりません」


宏も本当は、もっと多くの利権を獲得したいと考えていた。しかし、仲間との争いを嫌う気持ちが、今回の会談での遠慮を生んでいた。


「ですが、我が国が遠慮したとしても、他国はそれを考慮してくれないと思います?」


 その言葉に、宏は顔を顰める。先ほどの会談でも、自分の意見ばかりで、他人への配慮が欠けていると思われる場面が、何度もあったからだ。


「我が国は今回の戦争で発生した費用の大部分を負担しました。その分の見返りとしては、陛下の要求は少ないと思います」


メイドの更なる言葉が、宏の心に大きな変化をもたらす。


「あなたの言う通りです。ここで遠慮していては、我が国が損をするばかりです」


宏はそういうと、残っていたお茶を口に運んだ。


「あなたはなかなか聡明ですね。どうですか?明日から私のそば付きとして働きませんか?」


「ありがたいお言葉ではございますが、下賤な身にはもったいなく存じます」


宏の誘いを、メイドは謙虚な姿勢で辞退する。


「そうですか。ですが、そば付きとして働きたと思ったら何時でも言いなさい。あなたの様な聡明な者を、私は何時でも必要としています」


宏の言葉に、メイドは頭を下げると、静かに退室していった。


「明日の会談では、もう少し要求を増やしてみましょうか」







「全くもって憂鬱だ」


執務室に戻ったリトシア国王高田 智也(たかだ ともや)は、椅子に腰かけるなりため息を吐いた。


「シュレビヒト王国は欲しい。だが、セルブラント王国が譲るとは考えられない」


智也は、敗戦四ヶ国で地下資源の最も豊富なシュレビヒト王国を手に入れることができれば、リトシアの復興も早まると考えていた。


「このまま拗れるようであれば、分割統治も考えなければならないな」


そんなことを考えていると、部屋の扉が開き、一人の女性が入ってくる。


「陛下。別れの挨拶に参りました」


「イライザか」


入ってきたのはイライザ・ファラン。ヴィクトリア王国を動かし、リトシアを救った英雄である。


「正直言って、君を失うのは残念でならない」


智也は、イライザの働きに大いに感謝していた。もし、この国に残ってくれたなら、一軍を指揮する将軍の地位を授けることも考えるほどだった。


「ありがたいお言葉です。ですが、この身はすでに自分の物ではありませんので」


「そうか」


智也はそう言うと、残念そうにため息を吐いた。


「ところで、陛下。なにやらお悩みのようですが、会談のことでしょうか?」


「分かるか?」


「はい。これでも私は、頭の回るほうだと思っています」


智也は、誰かに相談したいと心の片隅で思っていた。しかし、イライザの言葉で、その思いは急速に大きくなっていった。


「我が国の要求とセルブラント王国の要求が被ってしまってな」


「それは・・・・・」


「こちらとしても、シュレビヒト王国は欲しい。しかし、交渉が上手くいかず、実力行使となれば、我が国にそれを行う余力はない」


リトシア王国は先の戦争で戦力を大きく失っていた。それに対しセルブラント王国は、僅かばかりの余力を残していた。ほんのわずかな差ではあるが、もはやその差を埋める力すら、リトシア王国にはなかった。


「譲られるのですか?」


「もしもの時は、譲ろうかとも考えている」


智也は気落ちしたように、沈んだ声で言った。


「陛下。気を強くお持ちください」


そんな智也に対し、イライザは励ますように明るい声をかける。


「我が国が譲歩する必要がどこにあるでしょうか」


「イライザ?」


「我が国は多くの血を流しました。それは、リトシアだけを守るためではなく、残りの二ヶ国をも守るためだったはずです」


智也は呆然と聞いていたが、イライザはそれに構わず続ける。


「我が国が前線に立ち、率先して血を流した結果、セルブラント王国とダリア王国は、その領内を荒らされずに済んだのです。我が国のおかげで、あの二ヶ国の平和はあるのです」


「しかし、元はと言えば我が国が始め、我が国が巻き込んだ戦争だぞ」


イライザの話に、智也は僅かに反論する。


「陛下。それは違います」


しかし、イライザはその反論を切り捨てる。


「確かに、戦争を始めたのは我が国でした。しかし、その戦争に巻き込まれることを選んだのは彼らです」


智也は訳が分からず、ただイライザの話を聞く。


「我が国は彼らに救援を求めました」


彼女は部屋の中を歩きながら、身ぶり手ぶりを加えて話しを続ける。


「彼らは、我が国の要請を断ることもできた。しかし、彼らは自分の意思でその要請を呑んだ。勝ち目があると思ったか、分け前が欲しかったか、友情からかは分かりません」


イライザはぴたりと止まると、智也のほうを向いた。


「しかし、何らかの思惑があって、彼らは要請を呑んだ。他でもない自分の意思で・・・・・。助けてやった?・・・・・違う!我が国が守ってやったんだ。我が国の国土と領民を犠牲にして、お前たちの国と民を守ってやったんだ!」


イライザは身を乗り出すように智也に地近づく。


「陛下。これでもまだ、我が国が下手に出る必要がありますか?」


「な、ないぞ。全くない」


智也は、その迫力に脅えたように返事をした。


「そうですか。理解していただけたのなら幸いです」


イライザは微笑むと、乗り出していた身を戻した。


「失礼をいたしました。それでは、私はこれで」


そう言って、イライザは部屋から出て行った。


「我が国が下手に出る必要はないか・・・・・」


あとに残された智也は、先ほどの言葉を繰り返し呟いた。







階段二日目。


「まずは、それぞれの要望を確認したい」


その言葉に、俺を含めた三人が頷く。


「まずはヴィクトリア王国だが、要望は昨日と同じでいいか?」


「ええ、昨日も申しましたが、これ以上の領土は、我が国でも管理できませんので」


「そうか。次にセルブラント王国だが・・・・・」


「我が国も昨日と同じだ。シュレビヒト王国は何が何でも譲らない」


「その話は後にしよう。次にダリア王国」


「我が国は昨日の要望に付け足したいことがあります」


宏の言葉に、全員が注目する。


「アンゼルム王国の半分を割譲して頂きたい」


「「なっ!?」」


「・・・・・」


彼の発言に、智也と亮一は驚いていたが、俺は沈黙を保った。自分の要望が通るならば、それ以外はどうでもいいからだ。


「それは、あまりに欲張りすぎではないか?」


智也が嗜めるように言う。


「いえいえ、我が国の出費を考慮すれば、これ位は頂かないと」


しかし、宏はもらって当然と言う顔で反論する。


「それならば、我が国もアンゼルム王国の半分を頂きたい。我が国が出した救援の規模を考慮すれば、これ位は当然だ」


今度は亮一が要望を増やす。


「貴様等いい加減にしろ!誰のおかげで領土を荒らされずに済んだと思ってる!?」


エスカレートした要望に、智也が耐えかねた様に怒鳴る。


「なんだと!?貴様、助けてもらった分際で何を言うか!」


それに対抗するかのように、亮一が声を荒らげる。


「戦争に必要な資金の大半を我が国が払った事を忘れないで欲しいね」


宏が横槍を入れる。


「貴様は金だけ出して、後は傍観していただけではないか!」


「何だって!?この貧乏人が!」


ついに宏まで怒鳴り出す。


「臆病者が!」


「守ってやったんだぞ!」


「貧乏人共が!」


「守銭奴め!」


「戦争狂!」


会談は遂に話し合いの様すら失い、ただの怒鳴りあいと化した。


「静粛になさい!」


俺は三人を怒鳴りながら、両手で机を叩く。いきなりの音に、三人は怒鳴りあいを止め、こちらを呆然と見た。


「あなた方がそうならば、こちらにも考えがあります」


俺はそう言うと、新たな要望を突きつける。


「一つ、我が国が勝ち取った領土の即時併合。二つ、帰国等が抱えている我が国への借金の即時返済。三つ、此度の戦争て死傷した兵士と、その家族に対する見舞金の全額負担。四つ、此度の戦争で失った武器、兵器の補填。五つ、あなた方の国における、ヴィクトリア王国商人の活動の自由。六つ、ヴィクトリア王国商人への関税の免除。以上の要望が認められない場合、我が国はあなた方の国に侵攻します」


俺が言い終わった直後、三人の顔色が真っ青になる。


「ほ、本気か?」


「勿論です」


俺は平然答えたが、もちろん嘘である。これはたんなる脅しだ。我が国にはもはや、戦争をする資金も、占領した土地を統治する余裕もない。


「ま、待ってくれ。私たちが悪かった!」


「少々頭に血が登っていた様です!」


三人は必死に弁明していた。どうやら、恐怖で頭が回らず、今のが脅しだとも判別できないようだ。


「それでしたら、会談を仕切り直しましょう。今度はまともな話し合いになりますよね?」


俺の質問に、三人は慌てて頷いた。


その後、仕切り直された会談はまともなものとなり、それぞれがそれぞれの要望を言い、それに対する譲歩を行った。しかし、肝心なところで決まらず、会談はずるずると伸びていった。


「もはや話し合いは無駄です。ですので、私が公平になるように利益を分配しましょう」


「待ってくれ。それでは今まで話し合ったい――」


「勿論、今までの会談で出だ、各国の要望は出来るだけ反映します」


俺は話しながら、意見をしてきた智也を視線で黙らせる。


「それでは、シュレビヒト王国はセルブラント王国が、バイエル王国はダリア王国が、アンゼルム王国はリトシア王国が統治する。これでいいでしょうか?」


言い終わった後、三人に確認をとる。


「問題ない」


「こちらも異論はないよ」


亮一と宏は満足そうに頷いた。


「待って!それでは、我が国が獲得する利権があまりに少なすぎる」


しかし、智也が反対した。当然である。戦闘で荒れた土地と、敵対心剥き出しの民を手に入れて嬉しいはずがない。


「それもそうですね。それでは、貴国が我が国に対して抱えている借金を帳消しにします。それと、我が国の商人に対して関税をかけることも認めます。お二人共、これ位は良いですよね?」


俺は同意を求めるように、亮一と宏に視線を向ける。


「そんな特別は認め――」


「良・い・で・す・よ・ね?」


俺は口調を強くしながら、二人を睨む。


「も、勿論だ」


「これ位の特権はあって然るべきです」


「賛同が得られたようで何よりです」


俺はニッコリと笑いながら、智也の方を向く。


「それでは、これで良いですか?」


「ああ、これならば異論はない」


「それでは、会談はこれで終了とします」


智也も納得したので、俺は会議を締めた。







「お疲れ様でした」


部屋に戻った俺に対し、リーナがお茶を出してくる。


「これで会談は終了。ようやく帰れますね」


「帰ったら直ぐに仕事をして頂きます」


リーナが差し出したお茶を飲みなが、王都への帰還を楽しみにしていた俺に、アーニャが残酷な言葉を告げる。


「す、数日休んでからでは駄目ですか?」


「だ・め・で・す♪」


アーニャの笑顔に、俺は渋々頷いた。


「一国の王が侍女に敵わぬか」


そんな場面に、一人の女性が現れる。


「あら、イライザ。帰っていたのですか?」


「先程戻った」


「家族との別れは済ませましたか?」


「ああ、昨日一日かけて惜しんできた」


「そうですか。それでは、明日にでもここを発ちます」


「急だな。まだ陛下には別れの挨拶をしていないが・・・・・まぁ、いいだろう。もう二度と会わぬ事だろうしな」


イライザはフッと笑いながら、そう言った。


「それではイライザ。街を案内してくれますか?ここまで来て、王宮だけしか観ないのは勿体無いですから」


「いいだろう」


俺はアーニャとリーナを連れ立って、イライザの案内の元、街へと出た。街は戦勝せいか、祭りのような騒ぎになっていた。


「わぁー!凄く賑やかですね。それに、街並みも凄く綺麗です♪」


「そうだろう」


リーナが楽しそうに笑い、イライザが自慢げに言う。


「確かにいい街ですね」


「何なら、奪い取ってみるか?」


俺の言葉に、イライザがからかう様な笑いを浮かべ、冗談を言う。


「そうですね。その内に」


俺はそう言いながら、リトシア王宮の塔に翻る、多頭の蛇が描かれた旗を幻視した。

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