報告会は踊らず
会話が連続したため文の先頭に誰が言ったか分かるっように名字を付けました。今回だけのつもりです。
統合から早くもひと月が過ぎた。そこで、今までの各担当部署の成果報告会と、他部署への要請を行うことになった。そのため、久しぶりに四人が王宮内の会議室に集ることになった。
「みなさんお久しぶりです。元気にしていましたか?」
俺は部屋に入るとにこやかに挨拶をした。
「ええ、元気に過ごしていましたよ。そちらもお変わりなく?」
月島も合わせてこちらに挨拶をしてきた。
「ええ、健康そのものでした。会議の前にお茶を出しましょうか。アーニャとリーナ。準備をお願い」
「「かしこまりました」」
俺は会議の前に全員分のお茶を用意するようアーニャとリーナに指示を出した。そんな中で小松が質問をしてきた。
「芳賀の奴が遅れているみたいだが、アナスタシアさんは何か聞いていませんか?」
小松もしっかり合わせくれる様だ。
「何も聞いていませんよ」
俺が返答する丁度のタイミングで芳賀が入室してきた。彼の手には分厚い紙束が握られていた。
「遅れてすまん。資料のまとめに手間取った」
全員そろったことを確認した俺はアーニャとリーナを退室させ会議を始めることにした。
「全員揃いましたし、お茶もできましたので会議を始めましょうか。アーニャとリーナ。ここはもういいですから会議が終わるまで隣の部屋で待っていてください」
「「かしこまりました。それでは皆様、失礼いたします」」
「それではまず各担当部署の報告からお願いします」
「それよりもまず、加畠は元の姿に戻ったらどうだ」
俺が進行しようとすると、芳賀が指摘してきた。俺はそれもそうだと思い指を一つ鳴らし元の姿に戻った。
「これでいいか?」
「ああ、それでいいよ」
芳賀が納得したところで、今度は月島が話しかけてきた。
「正直、お前に対して他人行儀にするのめちゃくちゃ変な感じがする」
俺は、お互い様だと返した。しかし、事情を知らない者の前で変身を解くわけにはいかない。
「仕方ないだろ。それにリーナがいるのに変身を解くわけにもいかんし」
「説明してないのか?てか、どこでエルフの女性なんて拾った?」
「建国記念式典の、路地で助けたんだよ。これに関しては、後で小松に対し聞きたいことがあるから。とりあえず会議進めるぞ。さっきも言った通り、まずは各担当部署の報告からだ。月島頼む」
小松の質問に答えた俺は、一先ず会議を進めることにした。
「内務部の成果は総人口の計算と王都エデリシアの整備計画完成。現在の総人口は162万3019人。まぁ、昨日今日で多少変わってるだろうけどな。王都整備計画のほうは街の建設図面の完成ってところかな。今後は各町の整備に街道の整備を行っていく予定。次に財務部の方だけど、税収の大まかな集計が出ただけ。予算の内訳は、この会議で発表される各部署の今後の活動できめる」
「それで税収の方は?」
「金貨152万枚。国庫の方は360万枚」
「了解した。次に芳賀」
「農務部の方は各農村の数と農民の割合、それと耕作の体系の調査が終了した。詳しいことは配布した資料に書いといたから後で確認しておいてくれ。今後は、王都近くの農村で試験的にノーフォーク農法を開始する。それが上手くいけばすべての農村で実施させる。研究開発部門の方は成果なし。今は職員を各地に派遣してよさそうな人材を集めてるところだ」
「次に小松」
「法務部の方では法の改正を行っている。貴族たちの権限を落とし、国王たちに権利が集中するようにしてる。もうすぐ発布予定だ。警務部の方では町の治安を維持する警備隊を組織してるが、素人が多くて完全稼働には時間がかかる。教育関係は教える内容の選定をしてるところだ。学校の開設には時間がかかる」
「次は俺だな。軍務では各兵科の数をさせている。今後はそれをもとに再編成と再配置をするところだ。外務の方は大陸各国に大使館の設立を要請し承諾をとった。もう少しで近隣の国のは稼働するはずだ」
全体の報告が終わったので他部署への要請へと会議を進める。
「次に各部署から他部署への要請だが、何かあるか?」
月「俺から外務と軍務に対してだ。外務部を通して各国との通商協定を結びたい。これが結ばれれば税収の増加と商業と産業の発展が見込めるからな。軍務に対しては数を減らせないか試してほしい。このままだと予算が大変なことになるからな」
加「外務部の方は了解した。内容の作成は内務に頼む。軍務の方は予備役を作ることで何とかする。しかし、全体数は増やしていきたいから予算に余裕ができたら言ってくれ」
子「財務の方に提案だが、国営の銀行を立てたらどうだ。国庫のほうから金をだし、新たに商売を始めたいものに金を出すんだ」
月「いい案だが持ち逃げされる可能性が出てくる」
芳「なら、住民票を作り住所を確定させるか、面接などで使用用途や、返済能力の有無を確かめたらどうだ?」
月「それならいいだろう。しかし最初は大手の商人に限って始めよう。金の預かりなんかは市民からも受け付けるが・・・」
加「利益が出始めたならその利益で国営の軍需工場をやろう。それで武器の調達費は抑えられるはずだ」
小「なら、その軍需工場で懲役刑の受刑者を働かせるのもありだな。かかるのは飯代とそれ以外の雑費だけになる」
月「内務部と財務部ともに検討しておく。たぶん実施されると思うがな」
小「軍務部に要請したいのだが、予備役になった者たちを警備隊の教官として雇いたいのだが」
加「それならいいだろう。しかし、戦時には動員がかかるから返してもらうぞ」
小「そこは理解している」
加「研究部門にお願いしたいのだが、研究員が集まったら火薬を研究してもらいたい。材料はわかるが、威力が出る比率がわからない」それを研究してほしい」
芳「わかった。材料のほうを教えてくれ」
加「硝石と硫黄そして木炭だ」
芳「硫黄と木炭はいいが、硝石はどこで出るかわからないぞ」
加「最悪の場合、硝石は人間の排泄物なんかからも作れるから無理ならそれでいい」
月「火薬を作るってことは鉄砲や大砲を作るのか?」
加「最終目標はそこだが、剣や槍つくってる鍛冶屋にいきなり筒作れとか言っても無理だろ」
小「確かにすぐには無理だな。鍛冶に熟達した連中でもいれば話は別だがな」
加「各部門への要請はこれくらいでいいか?他にあったら次は個人的に話し合ってくれ。最後の内容にいくぞ。最後は、今後の目標をどうするかだ」
芳「どうするかっていうと?」
加「この世界に飛ばされる前に神様から言われただろ。帰りたいなら世界を統一しろって」
月「確かに言われたな」
加「なら、統一に向けてどうするかを決めないといけないだろ」
小「このまま他国に攻めても滅びるのは目に見えてるしな」
加「小松の言った通りだ。滅びずに統一するにはどうしたらいいかをここで決めるべきだ」
月「それなら、どこかの国が行動を起こすまでは隣国との間に不可侵を約束して、国力の増強に力を注ぐべきだ」
小「確かにそれが堅実だな」
芳「国力の増強をして、他国が動き出したそのあとはどうする?」
加「まずは海へつながる道を確保する。統一には他大陸に対する海路での侵攻が不可欠だ。そのために、できるだけ早く海を手に入れ、海軍技術と造船技術の強化をする」
月「それに海を手に入れれば海路での貿易が可能になる。それによる収入の大幅な増加も期待できる」
小「ならそれでいいだろう」
月「国力の増強案については後で資料を作って配るよ」
芳「頼む」
加「これでひとまず会議は終了だが、何か他にあるか」
小「会議の開始時にいていた聞きたいことって何だ?」
その質問に、危うく忘れかけていたことを思い出し、小松に聞いた。
「奴隷についてだ。法律では奴隷制度はどうなっている?」
小松は内容を思い出しているのか、ところどころ詰まりながら話し出した。
「たしか・・・誘拐などによる強制的な奴隷化以外は合法だったはずだ。つまり自身か親族による身売りや、犯罪に行為に対しての奴隷身分への転落刑に処された奴隷は認められてる」
「つまり奴隷商が誘拐した人を奴隷にした場合は・・・」
「犯罪だな」
小松の解答に満足した俺は笑みを浮かべた。
(これでリーナを買った奴隷商が、リーナが俺の所にいると分かっても返却を求めることは無くなったな。まぁ、国王に対して一介の奴隷商が抗議できるとも思えないが、なにっがあるか分からんからな)
小松の解答を最後に会議は終了した。




