変わらないいつもの日常のはずが
初投稿でつたない文章、つたない表現ですが楽しんでいただけたら幸いです。
誤字と表現などを修正しました。また、文量もすこし増やしました。
いつもの賑やかな教室。ガヤガヤとうるさい話し声は担当の教師が来るまで止むことはない。自分はそんないつもの教室のなかで仲の良い友人たちと談笑していた。話題は最近友人とやり始めたオンラインの戦争シュミレーションゲームの事だった。プレイヤーが第二次大戦時の国を一つ選び内政から外交、軍事と国の色々な事を行うもので他国に戦争を仕掛け世界統一するもよし、内政に集中し世界の行方を傍観するもよしと意外と自由度の高いゲームだある。
「やっぱり時代は空母だな。でも戦艦はロマンだから造る。」
「それより加畠。次どこの国攻める?」
プレイヤー仲間の月島翔也が聞いてくる。アニメに楽器。ゲームなどの多彩な趣味を持つ彼はこのグループの中心だ。
「次はイギリスだな。そのために輸送船と護衛用の艦船造りまくってるわ。輸送は俺がやってやるから、お前は陸軍のユニットだけ作っておけよ」
「正直輸送やってくれるなら助かるね。昨晩の戦闘で艦隊が丸々一個、海の藻屑になったからさ。再建させるにも工業力に余裕なくて」
「だからさ。なんで全滅させたん? 港で待機させてただけだろ?」
「地中海に浮かべて楽しんでたら、ロイヤルネイビーに捕捉されたんだよ。ジブラルタル落としたのになんであいつ等、地中海まで来てたのかな?」
「イタリア海軍なら余裕とでも思って遠足しに来てたんじゃね?」
「そんなわけ分からん話ししてねーで俺等にも分かる話してくれよ」
そう言って隣から話に交じってきたのはグループ仲間の芳賀武蔵と小松龍太でだった。彼等は戦略系のゲームがあまり得意ではないためやっていなかった。そのためこの話題についていけず蚊帳の外となっていた。
「なら武蔵がなんでクラスでいじられてるかについて話すか?」
「せやな」
冗談交じりにこのグループでもクラスでも共通のいじられキャラの武蔵をからかうと、武蔵はげんなりした様に肩を落とした。
「いや、それはやめてほしい。結構ガチで・・・・・」
武蔵は自分がクラスのいじられキャラと化している現状が不満のようだ。まぁ、無理もないだろうが、そこまで酷いものでもないし、行き過ぎれば相手も謝っているしで、何が不満なのか分からなかった。
「いじられキャラの何が不満なん?いじられるだけ幸せやろ? 俺なんてそんなのもないぞ!」
小松は不思議そうに言った。クラスでも長身でがたいの良い小松をいじろうとする奴はまずいないだろう。正直とっつきにくくもある。
「お前いじられる身にもなってみろよ。意外とつかれるんだぞ」
「理解はする。だが、共感はしない!」
武蔵は疲れた様子でため息を吐いていた。
「ま、そろそろ着席の時間だし席に戻ろうぜ」
そう言って俺達は席へと戻った。他の3人もそれぞれの席へと戻って近くの友人たちとの雑談に切り替えていた。
「なぁ、今日の部活どうすんの?外雨だしテニスコート使用できないだろ?」
着席してボーっとしていた所に前から声がかかる。声をかけてきたのは前の席に座る金田幸樹だった。彼とはソフトテニス部で一緒に活動しているためそこそこ仲が良かった。
「昼休みにでも顧問の先生に聞いてくるよ」
「流石キャプテン、頑張ってくれよ」
「名前ばかりのキャプテンだけどな。まったく、お前の方が上手いくせに俺に押し付けやがって」
先生からは、お前か金田のどっちがやるか相談しろと言われたが、金田はその話を聞いた途端によろしくと言って去っていった。流石にそんな状況で考えておきますとも言い出せず、俺は自分がやりますと言い出すしかなかった。
「俺は後輩のめんどうやら激励会での宣誓だの面倒くさい事はいやなもんでね」
金田はそう言った後に前を向いてしまった。成績もよくて運動もできる。それなのにめんどくさがりな彼は人の前に立つことを極度に嫌うのである。
「ところで先生来るの遅くね?もう20分も遅れてるぜ。これでホームルーム長引いたら授業間に合わないぜ」
そう言ったのは隣に座る今野毅だった。彼とは同じゲームをやっていることが分かってから話し始め、今では趣味を共にする同志だった。
「あの先生の事だから職員室でコーヒーでも飲んでんじゃないか?」
「確かにあり得そうなことだな」
そう言うと同時に俺の脳内には、仏像の簡易プラモデルを置いた自分のデスクでコーヒーを飲んで寛ぐ担任の姿が浮かんだ。今野も同じらしく、妙に納得したような表情になっていた。
「気長に待とうぜ。授業開始が遅れても俺等には授業時間が短くなって万々歳だしな」
「それもそうだな」
20分後
さすがに遅いと思ったのかクラスが騒ぎ始めた。
「誰か先生呼んで来いよ」
「級長~。よろしく」
クラスの誰かがそう叫んでいた。それに対して、何人かが立ち上がっり先生を呼びに行こうとしていた。しかし、扉は開かなかった。全員がふざけているのだと思った。あかないふりをしているのだと。しかし、本当に開かなかった。
「おい! これどういう事だよ!」
「知らねぇよ! 歪んだか何かじゃねぇの?」
「そうだとしても、微塵も動かないってのは可笑しいだろ」
必死にドアを開けようとするが、小動もしないドアに全員が騒然となる。そんな中で、窓際の一人が窓を開けようとした。そこから出ようとしたのか、助けを呼ぼうとしたのか、それとも単に外の空気を吸いたくて開けようとしたのかは分からないが、鍵に手をかけて外し、いざ開けようとした手はそれ以上動かずに止まる。気が変わったのかと思ったが、力んで震える手の様子から窓が開かないことが分かってしまった。。
「おい! 窓が開かないぞ!」
今度は、それを聞いた窓際の連中が一斉に窓を開けようとするが、結果はドアと同じで微塵も動きはしなかった。
クラスの中は半ばパニックだった。大声で閉じ込められたことを叫ぶ者。携帯電話を出し助けを呼ぼうとする者。扉を必死に開けようとする者。混乱からか、窓を破壊しようとする者もいた。そんな中で、俺は突然背が縮んだ。いや、落下したことで目線が下がり、そう錯覚したのだった。それが分かったのは、視界から教室や机が消え、上へと生えていく黒い壁を見ながら強烈な浮遊感を感じたからだった。
パニックになりながら腕や体を動かして何かに捕まろうとして虚しく虚空を掴む。これは死んだかな。そんなことを思いながら俺は意識を失った。最後に見たのは気絶して落ちて来て、俺を追い抜き落ちていくクラスメイト。最後に思い浮かんだのは、家族の事だった。