第1試練:運命の日
ゾンビが出てくる某アニメを見ました。
最初はそのアニメの二次小説を書く予定だったのですが、いろいろあって没に。
そんな時に、なろう風に書いてみたらどうなるんだろと思って書いたのがこの作品です。
ただしあべこべ。
取り敢えずあべこべ要素出てくるまでは全力疾走。
――これより全人類に試練を与えます。第一試練は一週間生存すること。願わくば一人でも多くの我が子が生き残ることを
2020年12月8日。この日、世界の人口は八割以上減ることになる。
それは朝の通勤、通学の時間帯に起きた。突如脳内に響く謎の声。そして、あたり一帯から多くの悲鳴が聞こえ、僕は読んでいる最中であった本を投げ出してベランダに出た。
ベランダからはそれなりに大きな通りを見ることができ、いつもならこの時間、制服に身を包んだ学生や、スーツを着こなしたサラリーマンの人が大勢歩いている。しかし、今は違った。
確かに学生やサラリーマンの人が通りにいる。しかし、その半数以上が周りの人に襲い掛かり、そのたびに道路は赤く染まっていく。
何人かは異常な人たちから逃げようとするが、逃げた先には別の異常な人が待ち構えており、抵抗も数の暴力には意味がなく、道路を赤く染めていく。
襲われ、道路を赤く染めた人間はしばらくすると、起き上がり他の異常な人と同じように、正常な人に襲い掛かり始めた。
なんだこれは……。
ベランダから見えた光景は、まるでゾンビ映画の様だった。
そんな光景を目にしていながら、取り乱さない自分に嫌になった。
室内に戻り、突然聞こえてきた謎の声について思い返していた。
確か、これより全人類に試練を与えます。第一試練は一週間生存すること。願わくは一人でも多くの我が子が生き残ることを、と言っていた。
全人類に試練、そしてその直後に大勢の人のゾンビ化。
声の主が意図的に行ったとみていいだろう。
でなければ、現実離れというか、あんなあり得ないことが起こるはずがない。
第一試練は一週間生存することと言っていることから、いくつあるのかは知らないけど、試練の続きがあるのはほぼ確定だろう。
そして、一番判断に困るのが最後の一言だ。
その前の言葉から我が子というのが人類の事と仮定すると、声の主は全人類の親ということになるが……、考えてもわかりそうにないし後回しで。
試練を与えると同時に、僕ら人類の一人でも多くの生存を願っていた。生存を願ったりするくらいならば、最初からそんなことをしなければいい。ということは試練を行わなければいけない理由があるということだろうか。
いや、ただの暇つぶしという可能性もなくはない。