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星の支配人  作者: しまもん
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それから数日、星も基地も平和そのものだった。

依然として偵察機を撃破した敵の存在は確認出来ていない。


上層部は「偵察機の故障」という事で一件落着したようだ。

実際、準戦時体制も昨日解除され、地上の偵察機も全て地上基地に帰還した。


しかし、私には分かる。

あの星には明らかに地球に敵対している「何か」が存在している。

その「何か」は地球の知らない方法で偵察機を撃墜したのだ。


これは殆ど「勘」に近い。

しかし何故か私には確信があった。


毎朝、廊下から見るJHの姿。

初日とは違い、明らかにその姿に変化がある。


いや、外見の問題ではない。

気配を感じるのだ。

私に対する殺意を、地球に対する敵意を。

その感情がまるで星を覆っているかのようだ。


私は窓から見えるJHに恐怖しながらオペレーションルームに駆け込む日々を送っている。



準戦時体制が解除されてから1週間が経った。

JH基地は完全に日常を取り戻し、私も通常業務に励んでいる。


一見すると平和そのものだが、私の心の中は違った。

初日のノホホンとした心はもう無い。


ここは戦場なのだ、そして戦いの中で私は死んでしまうかもしれない。

私は絶対死なない、必ず五体満足で地球に帰ってやる。

そして未来を手に入れてやる。


そんな決意にも似た想いが心を占めている。



そんな時、基地にサイレンが鳴り響いた。

私は覚悟を決めた顔でそのサイレンを聞いていた。


終に敵が動き出したのだった。


「必ず、生き残ってやる」


私はオペレーションルームに駆け込んだ。





「状況は!?」

オペレーションルームに入るや否や、私は大声で人工知能に問いかけた。


<現在、地上基地が攻撃を受けています。反撃の許可をいただけますか?>

「許可します!!全力で反撃しなさい!!」


椅子に腰掛けると、地上基地の様子が映し出される。


煙を上げて半壊状態の基地から次々に戦闘ロボットが出撃していく。

前回の戦いで連合軍相手に無双した、JH星の最精鋭達だ。

彼らは偵察機とは違い、圧倒的な攻撃力がある。

必ず敵を撃破してくれるはずだ。



しかし敵が見えない。

何らかの迷彩を施している可能性がある。


ロボット達は攻撃された方向から敵の現在地を予測し、反撃を開始した。


強烈な爆発が地面を抉る。

熱風が辺りの木々を焼き払い、一瞬で森が焼け野原となった。


それでも敵を撃破することは出来なかったようで、敵からの攻撃は続いている。

見えない敵を相手にロボット達は必死に戦っているが、次々に撃破されていく。


分厚い装甲は、まるでゼリーの様に切り裂かれる。

ロボットが敵予測地点を修正し、銃を構えた瞬間に、体にいくつもの穴が開き、ロボットはその場に崩れ落ちた。

完璧な筈の連携も、ものの数秒で崩壊し、ロボット達は各個撃破されていく。

正確無比、地上最強を謳う武器も、何の意味も無かった。


ロボットが全滅するまで、10分もかからなかった。



絶句した。

口をパクパクさせ、何か言おうとしても、何も声が出てこない。

その代わりに脂汗が止まらない。

汗が目に入るが、まばたきすら出来ない。

顎から滴る汗のせいで、制服の上着にまでシミが作られる。

靴下も汗でベチョベチョになっており、絞れば汗が出てくるだろう。

大きな椅子に座り、安定していたはずの体がバランスが取れず、椅子から転げ落ちそうになる。

地震でもないのに地面がグラグラと揺れる感覚が止まらない。



必死に声を出して言えた事は


「・・・・・・どういう事?・・・・」


という一言だった。

いつもなら即座に返事をする人工知能も沈黙している。



有り得ないのだ。

絶対に有り得ない!!!

地球軍が誇る装甲を容易く切り裂くなど!

戦闘ロボットの集団を10分程度で撃破するなど!

惑星連盟ですらそんな事を出来る戦力は存在しない!!

そんな事、有り得てはならない!!!



長い沈黙の後


<上層部に現状を報告します。許可いただけますか?>


と人工知能が問いかけている。

私は声が出せず、ただ頷くしか出来なかった。



時間が経ち、JHは戦時体制に移行した。

上層部も日和見な判断が出来る状況では無いと判断したのだろう。

近辺に存在している宇宙艦隊を派遣することを決定した。

その艦隊は最前線で惑星連盟と戦う事を想定した艦隊だ。

搭載されているロボット達は全て最新式ばかり。

ロボットの数も、JH星に存在する総数よりもずっと多い。

司令官も歴戦のベテランばかり。

JHに到着するまで、わずか1日程度だ。


あと1日、1日持てば艦隊が現れる。

そうすれば全てが終わる。


いっそ惑星ごと破壊してしまえばいいという意見もあったが、研究機関がそれを止めた。

もし、地球の知らない技術があるならば、それを回収し今後の技術発展に使いたいらしい。

上の決定を辺境配属の少尉程度が覆すことなど出来るはずもなく、私は艦隊の到着を待った。


その間にも地上基地は次々と撃破されていく。

見えない敵を相手にロボット達は奮闘するが、全く意味が無い。


山の中にあった基地は、敵に反撃し、周りの山を吹き飛ばしながら必死に応戦したが、意味は無かった。

海中基地は何度も水蒸気爆発が起こるような戦いをしたが、壊滅するまでたった5分程度しかかからなかった。

地上に存在する唯一の空中基地がその巨体を大地に沈めるまでにかかった時間は3分程度だった。




地上基地の90%が撃破され、残った基地のロボット達が戦闘準備を始めた時。

とうとう艦隊がJHに到着した。


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