「私とちゃろさんの愛と思い出」
「私とちゃろさんの愛と思い出」
○年○組 暗黒院 夜魅子
私の家には、「ちゃろさん」がいました。
私は、ちゃろさんのことが大好きでした。
けれど、今はもういません。
私の家は、お父さんと、お母さんと、おじいちゃんと、おばあちゃんと、妹と、ちゃろさんと、私の七人家族です。
ちゃろさんは、私よりずっと年上です。
お父さんとお母さんよりは若いです。
ちゃろさんは、茶パツで金パツぽくて、それから毛もじゃで毛深いです。
頭はセブン○レブンのおにぎりのにおいがします。
ちゃろさんは、だいたいいつも家の中にいて、テレビの所でごろごろしているか寝ています。
たまに、外に出て行くときもあります。
私が、学校から帰ったら、お父さんとお母さんは仕事でいないです。
家には、おばあちゃんとちゃろさんが、だいたいいつもいます。
おじいちゃんは畑にいます。
だから、友達と遊ばないときは、ちゃろさんとよくいっしょに遊んだりしていました。
お父さんは、ちゃろさんを好きです。
お母さんは、ちゃろさんが嫌いです。
お母さんは、私が生まれた時に
「ふけつだから赤ちゃんに悪えいきょうがある」
と言って、ちゃろさんを家から追い出そうとして、お父さんと大げんかしたそうです。
ちゃろさんが、家にいられるのはお父さんのおかげです。
ちゃろさんは、かなり太っています。
お腹はぷにぷにして柔らかいです。
私は、たまに、ちゃろさんのお腹をマクラにしていっしょに寝たりします。
ちゃろさんは、お風呂が嫌いみたいです。
ずっとお風呂に入らないと、おにぎりのにおいがします。
私は、シャンプーのにおいより、おにぎりのにおいの方が少し好きです。
お母さんは、私がちゃろさんといっしょに寝ていると、すごくきげんが悪くなります。
ちゃろさんは冬になると部屋のこたつから出てこなくなります。
お母さんは、私がこたつで寝ていると怒ります。
ちゃろさんが、寝ていてもお母さんは怒りません。
お母さんは「ふけつでバイキンがいっぱいいるから病気になる」と言って
新しい家の部屋のこたつに行くように、私だけ怒られます。
お母さんは、ちゃろさんが嫌いです。
ちゃろさんは、家の中でごろごろしているか寝ていて、何もしません。
私とは、少し遊んでくれます。
ちゃろさんは、何もしなくてもお母さんに怒られません。
それから、ちゃろさんだけ、みんなと別にご飯を食べます。
テレビのある部屋で食べても怒られません。
歯みがきをしなくても怒られません。
勉強しなくても怒られません。
こたつで寝ていても怒られません。
私はりふじんだと思います。
ちゃろさんは、ぜんぜん歯みがきしないのに、虫歯が無いです。
りふじんだと思います。
でも、ちゃろさんはかなり口がくさいです。
りふじんだと思います。
ちゃろさんは一人でお風呂に入りません。
たまにお父さんがお風呂に入らせていました。
一度だけ、私が、ちゃろさんと一緒にお風呂に入ったら、お母さんにすごく怒られました。お母さんは鬼の顔でした。
ちゃろさんは、はじめはこうふんしていました。
シャワーとかシャンプーは嫌そうにしていたけど
はだかで一緒のお風呂の中に入ったら喜んでいたと思う。
ちゃろさんは、自分で自分の足の爪が切れません。
ちゃろさんの爪は、お父さんが切っています。
私の爪は、お母さんが切ってくれます。
ちゃろさんの足は、丸っこくてぷにぷにしていて、さわるといい気持ちです。
ちゃろさんの足はくさくないです。
くさいのは口だけです。
私が、お父さんのまねをして、ちゃろさんの足の爪を切ってあげているのはひみつです。
たぶん、お母さんに見つかったら怒られます。
ちゃろさんは顔も体も毛もじゃで毛深いです。
お父さんは、朝に顔のヒゲをヒゲそり機でそっています。
だけど、ちゃろさんは全然ヒゲをそりません。
私は、寝ていたちゃろさんのヒゲを、ヒゲそり機でそろうとして失敗して、ハサミで切ってきれいにしてあげました。
あとで、お父さんにヒゲそり機を見つかって怒られました。
いつもは、優しいお父さんが怖かったです。
でも、お母さんのほうがもっと怖いです。
りふじんだと思います。
長いまゆ毛も切ってあげたけれど、
まゆ毛は言わなかったら怒られませんでした。
ちゃろさんは私を怒ったりしません。
すごく優しいです。
私は優しいちゃろさんに甘えて、そんなことはすぐに全部忘れてしまいました。
ちゃろさんは、外に出るときはすごくすばやく動きます。
家の中で寝てばかりで、太っているのに、
私より速いから追いかけてもむだです。
いつも逃げられます。
私はりふじんだと思います。
少し前に、ちゃろさんが家からいなくなりました。
私が、学校から帰ってきても、ちゃろさんは部屋にも、こたつにも、どこにもいません。
一日たっても、二日たっても、一週間が過ぎても、ちゃろさんは帰ってきませんでした。
お母さんは「ちゃろさんは出て行ったのよ」と言って、私の話しを聞いてくれません。
学校の友達と探しても、おじいちゃんとおばあちゃんといっしょに探しても、ちゃろさんは見つかりませんでした。
それから、お父さんとけいさつに行っても見つかりませんでした。
私は、ちゃろさんの大切な長いおヒゲを、勝手にハサミで切ったことを、こうかいしました。なぜなら、ちゃろさんは、長いおヒゲがないと、まっすぐに歩けなくなったり、ストレスで死んでしまう場合もあるのです。
他にも、高い所から逆さまにして落としても足から地面に着地できると友達に言われて、イスの上に乗って高い所から、ちゃろさんを落とした事もありました。それから、長いふりふり動くシッポをストラップにしたいと、ひそかに思ったりもしていました。
私は、チャロさんが家からいなくなって、こうかいして、いっぱいいっぱい泣きました。
私は、お風呂が嫌いで、足の裏がぷにぷにしていて、毛がふわふわのトラもようで、頭がおにぎりのにおいで、少し口がくさいチャロが大好きでした。
私は、チャロがトラックに轢かれ、異世界に転生して幸せな猫生を送っていることを切に願う。