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プロローグ

 「ねぇお兄ちゃん。ゲームしよっ、ゲーム!」


 俺、遠野空のかわいい妹である沙耶さやがゲームをしようと誘ってきた。別にこれは珍しくもなく、ゲームが大好きである沙耶は俺にゲームをしようとよく言ってくる。ゲーマーである妹と一緒にやってきたものはたくさんあり、なかでもよくやっているのはオンラインゲームだ。・・・最近は高校の部活が忙しくやっていないが。


 「いいけど、何やるんだ?しばらく何かやってたみたいだし、それはもういいのか?」


 「うん!今度やるゲームはなんと!VRMMO〈Bland New World Online〉だよ!」


 「へぇ、そういえば最近ニュースでやってたな。販売開始からわずか1時間、全国で売り切れたゲームだとか何とか。・・・もしかして、もうすぐ第二陣?」


 VR(ヴァーチャルリアリティ、あるいは仮想現実)、それは科学が発達して革命的な開発とされた技術で、最初は医療目的などに開発されていたが、ある時それが娯楽用になったとき世界が変わった。これは文字通りの意味であり、それまでの画面と向かっていた遊びはほぼ廃れて消えていき、パソコンの近くで寝ながらのスタイルが確立され、今ではVRMMO専用のベッドがあるほどだ。ゲーム業界は我先にと飛びつき、次々へと成功していった。


 〈Bland New World Online〉は、VRMMO業界の中でも驚異的な人気を得ていると言っても過言ではないだろう。言ったとおり、販売開始1時間で全国の店から消えたのだから。そして、妹が誘ってきたというのは、入手できる算段がついたからであろう。


 「そうなんだよ!私はβテスターだし、第一陣はすぐに売り切れて一緒に始められなかったけど、第二陣のはもうすぐ手に入るから誘おうって思って・・」


 「手に入るって、どうやって?今ニュースでやっているけど、店の前にかな~~~り長い列があるぞ?」


 「それは、お姉ちゃんが任せなさいって言ってたから任せてあるんだけど・・」


 「だから今、いないのか・・・」


 姉の美夜みよは大学生で、妹と同じ趣味を持っている。妹がかわいいならば、姉は綺麗といったところで、高校時代は告白された回数が3桁ぐらいと沙耶から聞いたことがある。

その時玄関から、がちゃりと、鍵の開いた音がした。


 「ただーいまー。あー、寒かった・・」


 「おかえり!お姉ちゃん、ちゃんと買えた?」


 「ええ、買えたわよ。それより空、あったかいお茶ちょうだい」


 「はいよー。それにしてもどうやって買ったの?ものすっごい並んでたでしょ」


 「んー、笑顔で前いいですか?と訊き続けたら余裕だったわ」


 自分の顔の良さを利用した何というあくどい手を・・・。我が姉は悪女の素質があると思う。もし、そんな事になっても俺たちは味方だからね、姉さん。


 「はい、姉さん。リクエストされたあったかいお茶ですよー」


 「ありがとー。・・・あ、これあんたのソフトよ」


 はい、と手渡されたのは〈Bland New World Online〉のソフト。これで一緒に沙耶とできる。できるが・・・。


 「あれ?姉さんの分は?」


 「ん?私もβテスターよ。つまりあんただけなのよ、我が家でやっていなかったのは」


 今知らされる、驚愕の事実。仲間外れは俺でした・・。orz状態の俺を見て、沙耶は「アハハ、ごめんねお兄ちゃん」と謝ってくるが姉は、


 「さっさと登録してきたらどう?名前と容姿で時間がかかるから、早くした方がいいわよ」


 「ひどい・・。他に言うことはないの?」


 「そうねぇ。お茶おかわり」


 この姉はもうダメかもしれんね!

 ・・・ちゃんとお茶は用意しました。

 くそぅ、こうなったら自棄だ!名前とか変なのにしてネタプレイとかやっちゃうもんね!


 「あ、ネタプレイしようとしたら・・・、わかっているわね?」


 「ちゃんとした名前にもしてねー、お兄ちゃん」


 バレている・・だと・・・?がっくりとうなだれている俺を見て二人は、やっぱりやろうとしてたのか・・、と言っている。というより姉が脅迫してきてる、マジやばい。

 その後俺は、二人にこのゲームの説明を受けた。


 〈Bland New World Online〉はレベルとスキルがあり、スキル上限は10個らしい。らしいというのは、初期で選ぶ種族によって異なるのだが、ランダムでレア種族を引かない限り10個と考えていい、とのこと。そしてランダム選択は3回までらしい。これは何回もやればかならずレア種族になれるからで、それでは初期選択の人と差が開くかららしい。そして、レアの上に、ユニーク種族がおり、それは1種につき1人だけらしく選ばれた人が他の人のやっかみを受けて、最近ログインしていないんだとか・・。


 スキルに関しては、一定レベルで進化、それに他との組み合わせで合成できたりする。合成でスキル数に空きができるか、NPC(ノンプレイヤーキャラクターに高いお金を払って、取り除いてもらうしかないみたい。だからよく考えて取れと、二人に念を何回も押された。


 そして、レベルが上がるごとに3Pのボーナスポイントと、スキル(ランクによってポイントは違う)数分のポイントが貰え、それによってステータスとスキルを任意に成長させることができる。もちろんレベルが上がることによってステータスも上がる。そこにボーナスポイントを用いて穿った成長をさせるもよし、苦手を消すのもよしの自由な育成ができるみたいだ。


 俺は説明を受けると久々の姉妹と一緒に遊べることに興奮して、キャラクターネームを聞いた後俺は、キャラクターを作りに自室へと急いで戻っていった。



 「ねぇ、お姉ちゃん。お兄ちゃんのリアルラック値ってさ・・」


 「そうね、おかしいわね。ユニーク引いてくるのは間違いないでしょうね」


 「だよねー。それにお兄ちゃんって女顔の上に華奢だから、もしかしたらもしかするかも?」


 「空を初見で男と見抜いた人はいまだいないからね・・。そこがいいんだけどね!!」


 「お姉ちゃんは、顔はいいのに、性格はやや残念だと思うの」


 「あなたも一緒でしょうに。さてもう少ししたらログインしましょうか。空がユニーク引いてたら騒ぎになるでしょ」


 「そうだね。でもお兄ちゃんがユニーク引くとしたら4種いるうちの最後のでしょ?その後の人達はユニーク種を引くという夢がみれないんじゃないかな?」


 「ネット業界には、アップデートという手段があるの。だから第3陣まで期間をあけてユニーク種を増やすでしょうね」


 そしてしばらく話していた姉妹も、空と一緒に遊ぶため、ゲームに潜っていった。







 


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