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目覚め

「大丈夫か!?」


 慧音に声をかけられ、ようやく我に返った自衛官はあたりを見回す。


「霊夢・・・魔理沙・・・アリス・・・慧音さん?

・・・それと えいりん さんでしたっけ?」


 確認のため、ここにいる女性5人の名前を朦朧としながら、読んでみた。

全員黙ってうなずく。


 意識はあるにはあるが、少し突き飛ばせば倒れてしまうぐらい意識はもろかった。


 朦朧とした中、歪む視界 と わずかに感じる感触 を頼りに、ここがどこなのかを推測した。

ただ、ここの匂いと足にかかっている布団に覚えがあった。




 ここは、昼間来た覚えのあるところだ。



               


              すなわち 慧音さんの家 だ。




さっきの地震で里は壊滅状態に陥ったはず。


 あれほどの地震を受けてなお、家具が整っているのは妙だ。


では、片つけたのか?




「住民は!?ほかの人は無事でしたか!?」


 考えているうちに、あの壊滅的な光景が鮮明になっていく。


「いや・・・その点については問題はない。

大丈夫だ。」


「え?」


 さっきとは打って変わり、やたらと安心した顔の4人を見回す。


「無事だったってことですか?

全員無事だったんですね!?」


 安堵の笑顔を浮かべる自衛官に、慧音は小さくため息をついて戸を開けた。



 外の光景はあまりに衝撃的だった。



「!!

・・・嘘・・・だろ!!!??」


 


 里は元通りになっていたのだ。



まるで 地震がなかったかのよう に。


 通りかかる住民も何事もなく過ごしているのが見える。


「どういうことです!?

まさか・・・俺・・・いや私が気絶している間に・・・!」


 永琳と慧音はお互いに目を合わせ、少しだけ笑う。



「ごめんなさい。今からどうしてこうなったか教えてあげるわ。」


「・・・?」





「俺の苦労は一体・・・。」


「まぁいいじゃない?」


 ・・・しかし狡いな。

歴史を操るとかなんかで、地震をなかったことにするとは。


「・・・見捨てるよりは、マシか。」


「?」


 結局永琳から 経過観察 と言われ、しばらくはここで暮らすことになり、

慧音の紹介で空家に住むことになった。


 その空家に向かい、霊夢は神社に戻る途中だった。

しばらく歩いていると、空家への道と神社方向の道と分かれていた。


 霊夢と別れ、空家の方へ足を早めた。


「ありがとうございます。」


「すまないな、いい空家ではないが・・・。」


 慧音は戸を閉めた。


「~~~・・・・しばらくはここが寝どころ・・・か。」



 ―ぁああ、いい加減ここの生活飽きたぜ。―


「だよなぁ・・・。

あ。」 


 同僚の声が聞こえたような気がしたので、うっかり振り向いてしまった。


「・・・そうか。」


 今は一人か。

どっちにしろ、来月?辺りには隊舎生活とはオサラバなんだが。


 ・・・・・・。


「なんで自衛隊入ったんだっけ」


 あの時、秋のバカみたいにムズい試験受けて・・・バカみたいに規律や上下関係に縛られて、並みの大学に入ったほうが楽だったのにな。

どういうわけか、今になって漠然とした何かを感じた。


考える暇もなかったんだな。




「何さっきからブツブツ言ってんのよ。」

  

「!」


 霊夢が素っ気ない顔で戸を開けていた。


「あなた兵士でしょ?

鍵くらい閉じなさいよ。」


「施錠はしたはずだが?

・・・・!!」


壊れてる(鍵が)!!



 戸についていた南京錠がポッキリいっていた。

今日のうちに買っておかないと。


 ・・・って財布に入っているやつで大丈夫だろうか。


「・・・。

一体何のようで?」


「胞子・・・ていうか、幽霊に取り憑かれてこうなったんでしょ?あなた。」


 あぁ・・・そういえばそうだったな。

確か・・・元の姿に戻るためには ハクギョクロウ ってところに行かなくてはならないって言ってたなー。

 しかし、どう行けば良いのかわからないし。そもそも夢の中だったからホントかどうかよくわからない。


 ・・・というより慧音さんの能力で、なかったことにできないのだろうか。


「何ぼーっとしてるのよ、早くしなさい!!」


「はい?」


「いーから、早く!!」


「え・・・ええ!?」


 とにかく、俺は霊夢に無理矢理引っ張られ、どこかに連れて行かれた。 




「・・・なんだ?」


 連れてこられた先には、いろんなものが一台の荷車に積み込まれていた。

さらに、その荷車の周りに大勢の人々が囲んでいる。


 中には武器を持ってる者や動物のような特徴を持つ者までいた。


「霊夢、こ・・・」


「幽霊に取り憑かれた人はね、取り憑いた幽霊に影響されるの。

肉体とか 力 とかも例外なく。

このあなたに憑いている幽霊、私でも感じるくらいだから。

相当強いはずだわ」


自衛官は連れてきた霊夢に どういうことだと聞こうとした途端、いきなりしゃべりだしたので遮られてしまった。


「それに、体は完全に乗っ取られながらも、それを操り自我を保たせるあなたの精神力。

肉体・精神ともども驚く程強靭じゃない。

正しく、今回の件に打って付けね。」


「はい?」


 自衛官は何がなんだかよく分からずにいると、獣耳を生やした男性がこっちに来た。


「よぉ、あんたが霊夢推奨で来た人かい?

いやぁ可愛いねぇ・・・。」


 その時、霊夢の冷たい目線が飛んできた。


「・・・霊夢に劣らず」


 男もそれに気づいたのか瞳を霊夢よりに動かし、少しだけフォローを据えた。


「あの・・・」


「ん?」


 男の瞳は、再び自衛官の方に戻ってきた。


「どういうことなんでしょうか?」


「護衛任務・・・ってことさ。

この中には 重要なもの が入っている。」


 男は親指で荷車を指す。


「え・・・護衛任務!?

一体あなたがたは何をしに行くんですか!?」


 どちらかというと、目の前の男よりその場にいる人々全員へ訴えかけているような感じだった。


「・・・さては、霊夢。

詳細を伝えぬまま連れてきたな?」


「はぁ・・・なにしろ、急に連れてかれたので。」


「そうか・・・。

じゃあ、簡単に説明させていただこうか。」


「あ、ありがとうございます。」


突然、調子づいた男や、周りの人たちの表情が一変した。

よくわからんが・・・。


「吸血鬼にな・・・血を渡しに行くんだ。

ここで暴れられても困る。だから・・・。」


「え・・・!?」


 俺は信じられなかった。

吸血鬼?血?


「それでな。重要なものっていうのは壺。

村の若いやつの一部から採ってきた 血 が入ってるんだ。」


「・・・。」


俺はよくわかっていなかった。

この幻想郷には、現代にはない 契約 の存在に・・・。


 

 



 

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