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遭難

 銃器等といった、兵器描写は絶望的です。

迷い込んだ自衛官の視点が中心です、彼の偏見や思想が所々に表れていますので、広い心を持ってみることが推奨されます。


 原作キャラのキャラ崩壊・災害描写もありますので、不快感を覚える方は閲覧を控えてください。


「はぁ・・・はぁ・・・。ここは、どこだ?」


 暗い闇夜をかき分けるように、ただひたすらにふらふらと歩いていた。

全身に響く激しい痛みにたえ耐えながら、ただただ・・・。


 徐々に足ですらコントロールが効かなくなり、何度も倒れそうになった。

しかし、この男は あるものが入ったカバン を抱えながら、無理やり足を動かす。


「ダメだ・・・まだ・・・へこたれるわけには・・・。」


 男は聞こえないほど小声でつぶやくと、ふ・・・と倒れてしまった。


体力の限界ではない。


 つまずいたのだ。


「くそ・・・行かなきゃ・・・いけないのに・・・。」


 普通なら悲鳴を上げるような痛みが、関節を中心に響いていた。

だが、悲鳴を上げるほどの気力も無く、今にも途絶えてしまいそうな意識を起こそうと、懸命になっていた。

 朦朧としているからよくわからないが、乾いた泥に倒れ込んでいるような感触に、動揺した。


「道・・・間違えていない・・・よな?田んぼなんて・・・予定通りなら、ないはずだ・・・。」


 すると、絶望感からだろうか。

どっと疲れがわきでてきた。

 もはや限界である・・・。


 いや、限界なんて・・・



男は、最後の気力を振り絞って、重く痛む体を起こした。


「うおおお・・・おおお・・・。」


 その時


「花・・火?」


 ばかな・・・こりゃ幻覚か?


 暗い空を照らす、美しい光は形作られたように洗練され、気力ゼロの男でさえも感動しかけるほどの彩りと動きを魅せていたが・・・。


花火・・・じゃない?


 打ち上げられわけでもなく、空から発生しているように見えた。

いや、やっぱりそうだ!


「あれは・・・一体?」


 男は、目に映る光の動きが不気味に見えてきた。


その時。


「助けてぇ!!」


 向こうから、少女の声が聞こえた。

こっちに走ってくる。


 さらに、赤く光る謎の物体を見つけた。

 赤い光の正体はわからないが、とにかく危険なものだと、認識できた。



いつの間にか立ち上がっていた男は、なぜ自分がここにいて何をしているのか、その答えとなる映像のようなものが、頭をよぎってきた。


 それと同時に、空を照らしていた光が一層明るくなったことで、男がはっきり映った。

自分の姿も見えるようになった。


「俺は・・・守るべき、国民を守るべき 陸上自衛官・・・。」


 はめている緑色のボロ軍手を、ギュッと握り締めると


「逮捕はできないが、守るくらいなら・・・!!」


 泣きながら逃げてきた少女が、男に飛びついてきた。

どんな人間高、理解していないようだが・・・。


「た・・・たすけてぇ!!」


 助けを求める声に、男はベルトに取り付けられている エンピ を取り出した。

特に武器はないが、これくらいなら!!!


「ううう・・・ううううう!!!!」


 襲ってきた謎の敵は、自らを獲物と捉えたらしく、こっちに方向展開してくる。

だが、これでいい


「逃げろ!!」


「うぅ・・・」


「早く!!」


 それでも、少女はしがみつくので、無理やり押し出した。


「早く逃げろ!!」


一応死亡フラグが立ったが、今はフラグなぞ気にしている訳にもいかない。

そもそも、自衛官として当然のことである。


あとは一秒でも俺が持つか・・・。


少しでも時間稼ぎできるよう、自衛官は、エンピ一つで、謎の敵に飛びかかった。


「うおおおおおおおお!!!!!!!」





 次に目が覚めたのは、眩しいと意外表現のできない 光 だった。


「??」


 はっきりと視界に映ったのはあの世ではなく、今ではあまり見ないお座敷部屋の布団に寝かされていた。

よく考えてみると、あの世ではなくとついつい言ってしまったが、飛びにかかった後に目が覚めてここにいるってことは、やはりあの世なのか?


 いろいろと思考を巡らせているうちに、誰かが生じを開けて入ってきた。


「お目覚め?」


「・・・|(汗)」


 その誰かは、少女だった。

しかし、この座敷部屋には全く合わない フリルのリボンに服。それも真っ赤だ。

顔立ちはいいだろうが、この服のセンスは一体どこから来るのだろうか・・・。


「早く起きなさいよ。これ、あたしの布団なんだから・・・。」


 少女は冷たい目線を飛ばして言った。


「ああ!!!ここで寝ていいる場合じゃ・・・!!」


 ゴン!


「いたぁあああああああああ!!!!!」


「うわ!しまった・・・!!」


 慌てるあまり忘れていたが、鉄帽というヘルメットをかぶったままだった。

枕の上に寝かされているのに、全く感じなかったのはこれが原因である。


「痛いじゃない!!!」


「すまない!!」


「許さん!」


「ほんとにすまない!!」


 必死に謝るが、少女の怒りは収まらなさそうだ。

ものすごく危険なオーラを放っているのは確かだが、逃げ道がない。


 

 男は、第二の災難を覚悟した。




 


 激しい揺れが駐屯地を襲った。


 この国ではよくある、地震だ。

あまりにも激しい揺れだったので、隊員はすぐに訓練を中止して駐屯地に戻った。

倒れた薄型テレビを元に戻し、ニュースを見ると


 震度6弱の地震発生の報道が、行われていた。


 民家への影響は少なくとも、ライフラインが絶たれたうえ、連絡が途絶えた地域があると自治体からすぐさま連絡が入った。

 ただちに駐屯地内のあらゆる車両にありったけに救援物資を乗せると、出動する車両に 災害派遣 と書かれた横断幕を張った。


 この作業を30分で済ませ、早速連絡が途絶えた山中の村に駐屯地の車両のうち数両が出発した。


ここまでは、想定通りだった。


 しかし、


 突然窓の外が光り、隊員の視界を奪った。

その途端、車両が大きく傾き回転するように転がった。


 体が振り回されていくうちにあちこちを強打した。。


やっと収まり、ほかの隊員が無事かどうか確認しようとしたら、不思議なことに自分は外に放り出されていて、載っていた車輌はおろか、隊員もいない。

 たった一人で暗闇の中に、取り残されたようだった。


「・・・で、さまよっていたらバケモンに遭遇してな。」


 自衛官は、ここに至るまでのことを述べていた。


 あまり興味ないのか、少女はふむふむと適当にあいずちを打ちながら、卓袱台に並べられた料理を食べていた。

 ご飯、卵焼き、小魚。自衛官が炊事班に回された時の経験を活かして、調理したものである

 

「うまい」


 と言いながら、少女は料理を次々と口に運んでいった。


ちなみに、この少女は 博麗霊夢 という名前で、驚くことにこれでも神社の巫女らしい。


 改めて見ても、びっくりするぐらい派手だ。


「それで、夜であるのにも関わらず人里じゃないところをウロウロしていたのね。」


「そうだな・・・。」


 本人曰く、あの夜止めを刺される寸前のところ、助けられたという。

ところで、近くに逃げていた少女居なかったか?と聞いてみたところ、けいねと言う人里を守っている人に保護されたらしい。


 これで、なんとかほっとしたが・・・


「・・・そういえば、何か持っていたような。」


 大切なものが入っているとされる 背嚢 らしきものを抱えていたような気がした。

そして、思い出す。


 災害救命キット!!


そうだ、近くに転がっていたから拾って、もっていったところ化物に遭遇して・・・


・・・マズイな、放置したままだ。


 かなり焦った。

予算が少ない自衛隊にとって資材をなくすということは、ゲリラよりはるかに恐ろしい鬼上官の怒りを買うことになる。


 だが、それ以上にあの資材がどうしても欲しかった。


 エンピもポーチしかない。

水筒のみが腰に残されていた。


「一日だけ泊めてくれてありがとう。」


「?どうしたの?」


 困惑の視線をむける霊夢に、


「どうしても必要な探し物があってな・・・。それに行かなきゃいけない 任務がある。」


「任務って?」


「さっき言った地震のことだよ。」


 自衛官は言って、障子を開けた。

靴を履くと


「ホントにすまん、一刻も争う事態なんだ。朝食ぐらいしか礼をすることしかできなかったが・・・。

またここに来れたら、参拝させてもらうよ。」


 と言って、深く一礼した。


すると、走っていった。

かけおろていくと思えば、しばらく頂上である神社の鳥居付近で立ち止まって、きょろきょろと見回すと、躊躇なく下っていった。


「~~~~・・・・・。」


 霊夢はため息をついた。


「ま、暇つぶしにはなるわよね?」


 数メートル先の階段を下っている自衛官の後を追って、霊夢も走って降りた。



こうして、よくわからない出会いを経て、武器を持たぬ自衛官と博麗神社の巫女の歴史に残らない話が始まった。

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