俺が普通ではなくなった日
主人公:安田秀冶
腐れ縁:遠藤穂希音
主人公の妹:安田結衣華
友達:浅井雄哉
紀田智久
名前のメモ程度に。
「疲れた。」
俺は今、逃走劇に勝ち、自室に向かって階段を上っている。俺…いや、我が家は一軒家で二階建てである。そして、俺の部屋は二階にある。俺が逃げるという選択肢をとってしまったからなのかもしれない。もしかしたら、相当疲れているのかもしれない…。とにかく、自室のドアを開けるとそこには…
「…。」
3秒ほど固まった。そして、バタン。といい音を出してドアを閉めた。現在、俺は廊下にいる。何故部屋に入らないのかって?疲れすぎているからだ。疲れているのなら、早くベッドに行けばいいって?いけたら行く。いけないので行かない。だが、このまま立ちつくしていても物事は進まない。なので、再びドアを開けることにした。
「…。」
3秒ほど開けて、そして、バタン。一向に進まない展開。よし、状況を把握しよう。今、俺は自室に入ろうとした。そしたらどうだ。My_deskの上に光っているものがあるんだよ。もちろん、そんなもの机の上に置いた覚えがない。むしろ、中学までの参考書などは片づけたから置いてあるものなんて控用ノートくらいしかない。蛍光機能付きシャープペンシルとかも、高いから買っていないしもっていない。となると、親が勝手に入って何かしら置いて行ったのか?それとも、蛍でも紛れ込んだのか?いや、春にそんなことは無いと思うからこれはほぼ無いとなるな。でも、青白く光っていたような…?ん…?青白く…?ま、まさかとは思うが、幽霊の類か?そんなもの、信じないが。うむ。明かりをつけなければ分からないか。だがあいにく、俺の部屋は西洋式スイッチではなく、日本式スイッチ。つまり、部屋の真ん中にぶら下がっている紐を引っ張らなければいけないのだ。だが、その為には謎の発光物質と同程度の移動距離を進まなければならない。一応言っておくが、俺はチキンではない。また、光もかすかに光っているかな~?程度のものでもある。ただ、生物というのは未知のものに対して敏感に反応するのだ。危険ではなくとも、それが得体の知れないものである以上、むやみに近づくのは賢明ではないと思える。これはいいわけではない。事実だ。まさしく、立ち往生だ。このまま誰かほかの部屋に行くべきか?う~ん。
1.誰かの部屋へ行く。
2.俊敏の行動し、明かりをつけ次第、ドア付近で待機
3.とりあえず、謎の物体について観察する。
妹の部屋へ行けば…「この変態!スケベ!何やってんのよッ!!!」…死亡フラグ…。いや、死んじゃうのは、ヤンデレか?母の部屋に行けば…「うふふ…しゅうちゃんもまだこどもだねぇ~。」「秀冶、まさかとは思っていたが、やはりマザコンだったか。」…。これなんていう無理ゲー?
2の場合はどうだ。「こちら安田秀冶。潜入に成功した。ただちにターゲット地点に向かい、スイッチを作動させる。」「敵だー!」…これなんていう潜入ゲー?
だが、3がまだある。扉の隙間から敵を観察する。「トントン」後方から肩をたたかれた。妖怪だった。or妹だった。うん。どちらにせよ死亡フラグ。ありがとうございました。
こうなったらAttackだ!くそくらえぇ~!
その後…
俺は素早く電気をつけ、謎の物体の様子を見るのであった。しかし、それは予想をしないものであった。まさしく、現実逃避した異様な光景。それは今自分の立場を…平凡な毎日を崩させるような出来事であった。
「これ…夢…なのか…?」
誰か。誰か教えてくれ。何なのか、あの生物は。外見は全体的に肌色、手と足が胴体から生えており、首とつながって頭がある。ちょうど3等身か4等身あたりか?それくらいのサイズの…人型の生物…。頭からはもちろん、髪の毛が生えており、色は…水色に近い…。胴体の背中からは少し青白く発行しながら生えている羽がある。羽の数は四枚。トンボのように透き通っている。そして、細長い形をしている。それだけではなく…
「ちっさっ…!」
そう。20cmにも満たないサイズである。実際に測っていないが、自分の掌にちょこんと乗っかることができるサイズ。そして、一番の問題なのが服がない。大切なところは見えないが。いや、俺呪われていないか!?まだ俺はこの世に未練があるぞ!!!
「…を…」
「…え?」
今…しゃ…べった…よな…?いや、うん。…え?無理無理無理無理無理。理解不能。無理。
「木…を…」
「…え?…木…?」
木…って、どこにでも生えている木か?うん、何が何だかわからないから、木を持って…無理だから、木のある所に連れて行こう。多分害を与えるようなことはしないだろうから、警戒心は少し保ちつつ、木のあるところに連れて行った。ただ、親に見られたりしたら何かと面倒くさそうなのでそこに対して注意を払った。向かうはリビング。観賞用の木があったはずだ。名前はなんていうのだろうか?分からないが、茎があるから多分…木なのだろう。幸い、リビングには誰もいなかった。妹は自室だろう。母親は電話に出ていた。
「…うぅ…。」
「ん…?大丈夫か?」
少し元気?を取り戻したので、中腰になってコミュニケーションを試みた。
「うん…。ありがと…。」
「ああ。問題ない。元気になったらちょっと話を聞かせてくれ。ここじゃあまずいから、さっきの部屋で。」
「うん…。あ、説明…しないと…ね。」
「しゃべるのは後だ。先に回復するのを待て。」
「うん…。ありがと…。」
「いえいえ。」
「秀冶。何独り言を言っているんだ?」
急に後ろから声を掛けられ、すっと立ち上がる。ちょうど俺の背中で謎の生命体は隠れていて向こうからは見えないらしい。
「え?ああ、結衣華か。…お、俺、今なんかしゃべっていたか?」
「…。」
ああ、なんだろこの感覚。妹から、こいつ頭大丈夫か?もしかして、お人形さん遊ぶなんてしていないだろうな?という感じの視線を感じた。
「…まあいいわ。早く夕食をチンして(電子レンジにかけることをこの家では「チンする」という。)食べときなさい。」
「…ああ。」
そういうと、妹は冷蔵庫から牛乳を取り出し…コップに8割程度注ぎ、半分くらいを飲み、そこで一服とった。
「…あんた、いつまでそこに突っ立っているわけ?」
「…あ、ああ。」
やばい、動きたくてもさっきの謎の生命体のそばにいないと何かが起こった時大変なのに…。だがずっとここにいるとそれはそれで怪しまれる。そして怪しまれてしまっている。実際怪し過ぎる。しかたなく、謎の生命体と妹が一直線上に来るように歩いていく。妹は少し怪しがりながらも…かなり怪しがりながらもコップに注がれた牛乳を最後まで飲みほし、コップを流しに置く。
「んじゃ。食べ終わったら、ついでに私のも洗っておいてね。」
「ああ。分かった。」
そういうと同時に妹は自室に戻って行った。
「…心臓に悪いな…。」
さっさとご飯を食べよう。なんだか今日は尋常じゃないほど疲れた気分がした。
「…もう大丈夫よ。」
「ああ、そうか。」
俺はご飯を食べ終えて、今食器を洗っている。隣にはホバリングをした謎の生命体…
「と…飛んでいる!?」
「失礼するわね。羽があるんだから、飛べるに決まっているじゃないの。」
いやいや。鶏ってどうなるのよ!?その発言を認めちゃうと、鶏のあの横にあるものが「羽」ではなくなっちゃうぞ!?でも、ホバリングに近いことはできるから、「飛んでいる」なのか?どちらかといえば、「飛んでいる」ではなくて、「跳んでいる」だろうが。
「まあ、元気になったみたいだし、部屋に戻るか。」
「部屋って、さっきの部屋?」
「ああ。あそこは俺の部屋。ちなみにここはリビング…家族で食事をとったりするところだ。」
「ふ~ん。私たちの家で言う、ホールね。」
「そこは知らないが。」
そんなことを話しながら自室に戻る。もちろん、しっかり部屋のかぎは掛けておく。誰かが勝手に入ってきて、この生命体…なのかどうかは分からないが、これを見られたらまずいとは思う。
「…人間界も悪いところじゃあないわね。」
「人間界…っていうことは…なんだ…浮遊生命体…界…?」
「あ、うん。説明しないと全然分からないよね?」
以下、この生命体が語ったことをまとめたことである。まとめてもいないが、俺なりに言いなおした。
この生命体は「哺乳類自然属妖精科」に分類される存在らしい。言語はイプリビ語。なぜ日本語で話せるかというと、向こうは自然の妖精のため、その土地に入ればその土地の言葉を自動的に理解ができるというチート級の能力のためらしい。何故俺の周りにはチート性能を備えたものばかりいるのか。ただ、それだけだと俺が何を言っているか分からないのだが…
「それは初回特典だからだよ。…っていうわけじゃあないんだけどね?ホラ?理解ができるってことは、話すこともできるの。もちろん~、XXXXXってね。今のがイプリビ語。」
はい、英語の出来ない俺にさらに意味が分からない言葉を話しかけられました。とりあえず、向こうが日本語を話していてくれるから言葉の壁は大丈夫のようだ。話を戻すが、この妖精は自然に仕えている…のかどうかは分からないが、自然を食事とするようだ。詳しく言うと、植物には皆「地力」が備わっており、それを少し分けてもらって生きているわけだ。ちなみにこの力は植物が生きていくためのエネルギーのようで、近くによることで分けてくれるようだ。電波のように飛んで行くのかはいまいちわからない。ただ、「生きている」植物のみで、床や机の木は「死んでいる」らしい。多分、殺されただろうが。人間からすれば、差し詰め成長するか否かっていうところか。ただ、植物の中にもそれを拒む者がおり、汚れた空気を吸い続けたものなどがその典型的な例であるとのこと。だから、このあたり一帯はほとんど地力を分けてもらえず、空腹のあまり、死にかけていたとのこと。ふらふら飛びながら、植物がないかと探すが全て石…つまり、コンクリート、または「地力」を渡すのを拒むものばかりで、たまたまこの部屋に紛れ込み、そのまま倒れてしまったとのこと。只のハタ迷惑だがな。本当はある地域に連れて行ってほしいとのことらしいのだが…
「XXXXXに連れて行ってくださいませんか?」
「え?今何て?」
「いや、ですから…」
そう。地名がイプリビ語なのだ。日本語でのその場所の呼び方は分からず、どの方向から来たのかも分からない。ただ、ここが経由地点であることは確かである。ようするに…。
「俺にイプリビ語…を理解し、その場所に連れて行けと?」
「…はい。大変ご迷惑であることはご承知で…」
「ああ、堅苦しいのは無しにしてくれ。よく考えるのは得意分野だが、遠回しな言い方は嫌いなのでね。」
「はあ。そうですか。」
「…して、俺はそれに対しては正直にやってやるなんてことは言わないぞ。」
「…報酬…ですか…。人間にとってどんなものが欲しいのか分からないのですが…。」
「俺か?俺の希望はある人間と離れたい。とてつもなく目障りな存在でな、厄介事ばかり運んできて困っているんだよ。そいつをどうにかしてくれ。」
「…それは無理です。」
申し訳なさそうに答える妖精。まあ、無理を承知で…少し希望を持っていったから…少しは…許そう。
「…妖精って、魔法の類が使えないのか?」
「魔法というものの定義が分からないのですが…とにかく、生命体の命を奪ったりすることは可能です。ただ、人間界にそのような規則があるかどうかは分からないのですが、我ら…妖精界とでも申しましょうか。そこではそれは罪ある行為として処罰されます。」
…この妖精…何気にひどいことを言うな…。別にそこまでは望んではいないのだが…。というか、平気な顔で言うな。何事もなかったかのような顔で。
「いや…殺せとは言っていないが…。」
「そうですねぇ…その地に行くまでは…私がいろいろ手助けをするという契約でよろしいでしょうか?」
「勝手に決めるなよ。」
「そうですか。それでよろしいですのね。」
「おい。人の話を…。」
「では、これで契約成立ですね。」
「…。はあ、いいよ、いいですよ。」
ただ、頭のいいやつに話せば…いや、まずいな。へたすりゃ学校中にばれ、俺は一躍有名人になってしまう。世界中に広まれば、多分この妖精は学者の研究対象にもなってしまう。そして、俺は監禁され、1から10まで話をすべて聞き出そうとする…。面倒だ…。実に面倒だ…。ということは、翻訳方法を調べたりしなければならないか。いや、翻訳しても、名詞の訳は無理に近いか。だとすると、目的地の外見?などを聞き出す必要があるな。それは、後でいいか?とりあえず、聞いてみるか。
「その目的地って、どんなところ?」
「う~ん。木がたくさんある。」
翻訳を頼む。森?森なのか?いや、この小ささだと林でもたくさんあるように見えるか?これは時間がかかりそうだ。
「でもよかったです。人間って凶暴な種族であると聞かされていましたし。」
「いや、凶暴な奴は凶暴だぞ?今日なんて、その凶暴な人間に追いかけられたし。うん。あれは怖かった。」
多分明日も同じことが起こるだろうが。やはり、どうにかしてほしい。
「え?同種族同士で、そんなに争っているのですか?」
「ああ、それはもう凄まじいほど。」
「そうなのですか…。じゃあ、私は恵まれた人間に出会えたのですね。」
恵まれた…。自分で言うのもなんだが、俺よりいい人間だったら、報酬なんて望まないぞ?むしろ、悪い人間に出会ったようなものだ。だが、この性格を変えるつもりはない。無限ループだな。
「ほめても何も出てこないがな。ただ、なぜ頻繁に争っていると分かったんだ?」
「それはですね。…あなたが先ほど「今日なんて」と言いましたので、違う日は違うことが起こっていたのだろうな、と勝手に解釈させていただきました。…ところで…どのように呼べばよろしいのでしょうか。」
「…ん?…ああ、自己紹介がまだだったな。俺は安田秀冶。…呼び方は何でもいい。」
「安田秀冶さんですね。え~と…ノイ…リス?…私はノイリスです。…伝わりましたか?」
「ああ、ノイリスさんね。よろしく。」
「はい、こちらこそ。」
ひと先ず自分の名前が伝わってひと安心する妖精…もとい、ノイリス。まあ、会話ができるのは久しぶりらしいしな。どのくらい移動をしたのかは分からないが、西洋風の名前からして、外国からはるばる飛んできたのかもしれない。それならば、倒れてしまうのも、無理はない。ただそうなると、外国の森も候補に挙がるな。これ、学生の俺には厳し過ぎるぞ!?
「やっぱり、キャンセルで。」
「ドタキャンは無しで。」
ドタバタでも無いが、この話を無かったことにはできない様子だ。
「そういうことで、これからもよろしくお願いしますね。秀冶さん。」
「ああ、よろしく。」
どちらにせよ、俺もはいスペック人間の仲間入りだ。自分自身のスペックは、低いままだが…。
ようやく話が進み始めました。
これ、本当に戦闘ものになるのか?
と思われている方。派手な戦闘はありません。剣やらなんやらは多分出てきません。拳銃ならありかも?それか、まさかのヤンデレ?