ハルメクという小説家志望の少年がとろとろと吐露する時。
CAST name:ハルメク
age:17
sex:男
job:学生(受験生)
name:M age:21
sex:女
job:住人
PM22:00 【湿った雲が立ちこめる夜】
ハルメク:
「ああっ! 明日はリーディングのテストなのに机に付け
ずにだらだらと怠惰な時間を過ごしちゃってる気味だよぉ! んもぅ、僕は受験生だという意識が足りないんだよ! 」
M:
「君、そんなことぢゃあ浪人するよ? まぢで。 偏差値、全然足りないんでしょ?」
ハルメク:
「ええ。そうっすよ。まったく足りないんですよ。というか親は浪人することを許していません。まさに僕は崖っぷち受験生なのです」
M:
「じゃあ勉強しなさい。いますぐしなさい。たいむいずまねい。あずすーんあずすたでいはーど。千里の道も一歩から。論語読みの論語知らず。こけつ---」
ハルメク:
「ぬ、ぬ、ぬ、ぬあおあああああああぁ!!!」
M:
「ひぃっ! ハルメクくん目が、目が、充血してるよ!」
ハルメク:
「べ、べ勉強しようにも、あ頭の中でいろいろな妄想をしちゃってどうしてもベッドの中に潜り込んで現実逃避をしちゃうんですよー! 現に今も! 」
M:
「ハルメクくんがそんな危険人物だったなんてっ! こんの社会不適合者! 」
ハルメク:
「間違ってないっす! 間違ってないっすけど! でもこの妄想を小説の基盤にするわけで・・・・」
M:
「君、まだ小説書いてたの? というか受験勉強するより小説書いてる時間のほうが長いとかぬかすんじゃあ・・・」
ハルメク:
「ええ、まあ」
M:
「やる気あるの君?! 小説なら大学に入ってから書きなさいよ! 一文にもならねえ小説なんか書くんぢゃねえ!!!」
ハルメク:
「ひいぃ! ででも、僕は書くのが好きなんですよ。小説も好きだし。Mさんも好きでしょ? 小説」
M:
「まあまあ好きよ。 漫画とか映画ぢゃあ味わえない風味をご馳走してくれるしね。現代の活字離れに喝を入れてやりたいわ。現代っ子は漫画かビデオで楽しむのが普通らしいけれど、小説だって捨てたもんぢゃないわっ。活字でもハァハァ出来るってことを奴らにも教えてやんないとっ!」
ハルメク:
「・・・歪んでますよ、Mさん。ちゃんとした成人指定でない活字の良さを啓蒙してください」
M:
「ふふふ。解ってるわよ。ハルメクくんとは長い付き合いだけど、そこんとこ固いよねえ」
ハルメク:
「僕も長い付き合いですけどイマイチMさんの思考が読めません」
M:
「当たり前ぢゃない。私は君の妄想なんだから。自分の頭の中を読むようなもんよ。一生解らないわ。自問自答、みたいな?」
ハルメク:
「なるほど。じゃあMさん、僕は勉強するので今日はお別れです。お休みなさい」
M:
「ふふふ、夢に出てやる。まあ勉強がんばりなさい。おやすみ」
ハルメク:
「・・・がんばるしかない」
PM22:35 【雨音に耳をすませて】