チャリできた
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案・執筆の大半を著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
AIを活用しつつも、自己規範にのっとり、執筆であることは放棄しない方針です。
興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]
■公開済エピソートのプロットを公開中
「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。
https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「AIを活用しつつ創作性を確保する」を模索する試みでもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
「マスター! 大丈夫ぅ!?」
多胡の背中から生えた対の触手。影と同じ色で存在はおぼろげだが、世羅の胴にしっかりと巻き付き、軽々と持ち上げていた。
「ヤミ子を捕まえるつもりだったんだけどな!? まぁいい順番が変わっただけだからな!! 世羅ぁ!! ぶっ壊してやる!!」
強まる語気に呼応するように、多胡の体中から青いオーラが迸った。
揺らめく欲望の向こう側には、二十名ほどのギャングが見える。
まるで彼に連れられた子分のようにぞろぞろと歩いてくる。
「多胡ぉ! なんでアンタがここにいるん!?」
ヤミ子は怒りと驚きの混じった声をあげた。
学校に置き去りにしたはずの男が、目のまえにいる。
つい先ほどのことだ。十分か二十分か、ハッキリとした時間はわからないが、いまこの場にいるのは早すぎる。
「チャリで来たんだよっ! 急いでなぁ!!」
多胡はギラついた笑みをヤミ子へ向けた。
時速百キロを超えるスピードでここまで疾走してきたのだ。
その結果、チェーンは切れ、タイヤも弾け飛んでいた。
「くっ……多胡……オマエ……ソレは欲望強化か……?」
「は? なに? リビドー? 知らねーよ! 世羅ぁ! テメーが憎くてしょうがねぇ! ムカつけばムカつく程の力が溢れてくるんだ! 最悪で最高の気分だぜ!!」
世羅は大蛇に巻き付かれているかのように、動きを封じられている。
手も足も出ないが、触手なら出せる。
世羅の背中から、多胡の双影触をそっくり真似た影が生まれ、鞭のようにしなった。
「おいおいなんだそりゃ? ねむてーなぁ、俺の異能をパクるんならもっとうまくやれよなぁ?」
二本の触手での同時攻撃。だが、多胡が余らせていた一本に難なく打ち払われた。
そのうえで「お手本だ」とでもいうように、世羅の顔を激しく殴りつける。
「ぐぅっ!!」
唾液混じりの血が舞った。
頬を腫らしたその顔は少女のようだが、瞳に宿る鈍い光は戦う男のソレだ。
「多胡ぉ! ふざけんなっ! やめろぉ!」
ヤミ子が食ってかかろうとする。その行動を咎めるように多胡は叫んだ。
「おっとっ! 動くなヤミ子ぉ! オマエが動くたびにコイツを殴るぞっ!」
「くっ……!」
動かなければ殴らないとでも言いたげだが、信用できるはずもない。
それでも、ヤミ子は歯を食いしばり、その場に留まった。
「なんだぁ? その目はよ!」
足を止めはしたが、表情までは隠せない。
多胡は触手ではなく、自らの手で世羅を殴った。
「なんでよっ!? 動いてねーだろ!!」
「オマエが優しくないから、手がすべっちまったよぉ!」
ヤミ子を挑発するようにヘラヘラと笑った。
二発目、三発目と手をすべらせながらも、周りにたむろするギャングたちに視線を向けた。
「おい! テメーら! 世羅は俺がやるから、ヤミ子を逃さないように気をつけろよ?」
多胡の号令に、ギャングのひとりがすかさず反応する。
「オマエ、なんで命令してんの?」
「あっ?」
青いオーラがさらに熱を帯びた。
口答えは許さない――物言わせぬ多胡の圧にギャングはたじろいだ。
「テメーは、ボスのいうことは聞いてなかったのか? 俺はサブリーダーだぞ? それとも何だ? さっき口答えした奴等みたいになりたいの?」
些末なことだが説明をしておくと、この場所に到着した多胡を出迎えたのはギャングの集団だった。
実のところ、廃工場で繰り広げられるボスと月乃の戦いを遠巻きに見学していた彼らと、偶然出会ったのだ。
多胡は戦況と、世羅やヤミ子の居場所を聞き出そうとしていたが、何せ彼らにはやる気がない。
彼を舐めてもいるので、まともな返事すら返さなかった。
その態度にキレた多胡はまたたく間に、数人をボコった。
“欲望”とは我を通す力だ。
「ちっ……おいやろーぜ」
ギャングは渋々と従った。
多胡の思い通りに動くのは気に食わないが、ボコられたくもない。
周りにいた数人も、顔を見合わせながら続いた。
「おい! 逃さないようにするだけでいいからな? その女は俺のもんだ触るんじゃねーぞ?」
「注文がおおいんだよ! くそがっ!」
ギャングは唾を吐きながら毒づいた。
「多胡ぉ! 誰がオマエの女だっ! それになんであーしが逃げないといけないわけ? てかマスターを離せ!」
逃げる気など、毛の先ほどもない。ヤミ子はキッと睨みつけた。
「ヤミ子ぉ! そんな態度でいいと思ってるのか!? 世羅は俺の手の内ってことだぞ!!」
「ぐぁあっっ……」
影の触手による拘束が強まる。世羅の肺から空気が絞り出され、声が漏れた。
「多胡ぉ!!」
「ヤミ子ぉ……だからそんな態度はやめろって言ってるだろ? 返すよ、こいつは返してやる……だけど、生きたままかどうかはオマエ次第じゃないのか?」
ヤミ子の目がカッと見開かれた。黒ギャル特集のゴツ盛りメイクでも隠しきれない怒りだ。
「おいおい! だからそんな態度はないだろって言ってんじゃん!?」
多胡はどこか嬉しそうに言った。
無関心の虚無を向けられるよりも、ハッキリと罵倒される方がまだマシだからだ。
「なぁオマエの口から聞かせてくれよ?」
「はぁ? なに?」
「俺への気持ち」
「しねっ」
「違うだろ! 違うってーの! 俺が聞きたいのはそんな台詞じゃねぇ!」
ただ欲しいものを手に入れるための真っすぐな要求。
餌を欲しがるペットにも通じる純粋さがある。
「わたしはアナタの女です、って言えよ。そしたら、このクズ野郎の命まではとらねーよ」
だが、多胡には動物のもつ“可愛げ”が足りていない。
小細工を弄する、ただ身勝手な人間だった。
ヤミ子の肩は震え、ギリギリと歯ぎしりの音が鳴る。
「どしたー? 日が暮れちまうぞ?」
「ぐぅぅっっ……!」
「おっと、すまねーな世羅ぁ! 力の加減が難しくてなぁ? ギャハハハッ!」
故意である。それは明らかだ。目的はヤミ子への挑発で、それすらも明白。
「多胡ぉ……」
「ん? なんだ? 聞こえないぞー? もっと大きな声で聞かせてくれよぉ? ここを地下のステージだと思えよ!」
「あーしがそんなこというの、その人が許すわけないだろ?」
「はぁ? なにそれどういうこと? いってる意味、わからねーけど?」
世羅が一番嫌がることは何なのか、ヤミ子は正確に理解していた。
「コイツがどうなってもいいっていうのかよ!?」
「いいわけねーだろっ! だけど、その男がやられっぱなしだとおもうなしっ! うちのマスター舐めんなよ?」
「ヤミ子……おまえよぉ……ホント……なーにいってんだ?」
多胡には理解できないのだ。
ヤミ子の世羅への信頼が――男の身を案じながらも、男の矜持を踏みにじろうとしない、その覚悟が伝わらない。
「……くくく……多胡……」
「!?」
だらだらと冷や汗を流しながら、世羅が口を開いた。
「人質になってる私に“自分でなんとかしろ”だとさ……“厳しい女”だよなぁ……?」
「……」
次の言葉を待つまえに、握りつぶしてしまえば良かったのだ。決闘のルールは単純で、勝ちさえすればいい。
だが、多胡は続きを待ってしまった。それが彼の弱さだ。
「だが、“いい女”だろ? オマエにはもったいない……ヤミ子は私の“独占”だ」
「てっ……テメェ!?」
殺してやる――多胡は世羅を握りつぶそうとした。その瞬間だった。
「おいっ! 周りにいるオマエら!!」
機先を制するように、世羅が大声を張り上げた。
言葉を投げた先は、多胡の背中越し、有象無象のギャングたち。
「いいのか!? こんなバカの言いなりになっちまって! 見てみろこの女をっ!」
異様な雰囲気だった。縛り上げられ、顔を歪めながら声を張り上げる男。
「淫魔だっ! しかもアイドルだぞっ! 巨乳だしなぁ!」
口にする言葉も、状況に相応しいとは思えない。
字面だけ考えるなら、命乞いのようにも聞こえるが、妙に堂々とした態度が鼻につく。
「欲しくはないか!? この女!!」
何か変だ。この場にいるすべての人間がそう感じている。
だが、皆が一様に、世羅から目を離せなくなっていた。
「世羅……オマエ……」
こいつはいつもそうだ、飄々として何を考えているのか解らない。
だが、俺が欲しいモノをすべて奪っていく――そのような恨み節が、また多胡の心のなかに広がっていく。
何かを考えている、だが、その何かが彼にはわからない。
「もっとよく見やがれ! こんな上等なギャル! めったに拝めるもんじゃないだろうがっ!!」
こんなことを言われて、ヤミ子が傷ついていないだろうか。
多胡は、自らの行いを顧みずにそんなことを思い、チラっと視線を向けた。
ヤミ子がフッと笑うのが見えた。
気に病むどころか、ふたりの心は通じ合っている。彼はそのことを唐突に理解した。
自分は蚊帳の外で、世羅とヤミ子の閉じた世界が、この場に確かにある。嫉妬がますます募っていく。
周りのギャングたちも異様さは感じていた。それでも、視線だけは黒ギャルから離せない。
アイドルで淫魔のヤミ子は、視線に敏感だ。この場のほとんど全員が自分を見ていると、感じ取っていた。
「あっ……そうかっ! ヤベえッ! オマエらっ! ヤミ子をみるんじゃ――」
多胡は、世羅の思惑にようやく追いついた。
「おせーからっ!」
時すでに遅し――ヤミ子は飛びあがり、くるりと一回転。ギャング全員と、一瞬で目を合わせた。
「「「!?」」」
音もなく着地し、囁いた。
「魅了」
男たちに変化はない。まだ、何をされたかも分かっていない。
「世羅ぁ……狙いやがったなぁ……」
多胡は反射的に視線を逸らしていた。
魅了など効かないという妙な自信はある。だが、女の思い通りに動くこと自体が癪だった。
「くくく……」
「なに笑ってんだこらぁっ!!」
世羅の嘲笑に、多胡が食いついた。
「衝撃破!」
多胡の反応すらも織り込んだ、計算済みの不意打ちだった。
至近距離からの一撃に、拘束が緩み、世羅は地面に落下。
ヤミ子のいうとおり、自力で切り抜けてみせた。
「くそがっ!」
だが、欲望強化された多胡には効果が薄い。尻もちをついた程度。無傷だ。
世羅はうずくまったまま。動けない。
「マスターぁ!」
ヤミ子が駆けた。
世羅の元へ、多胡よりも先にたどり着くために。
「ダメだヤミ子っ! 世羅ぁ! マジで殺すっっ……うぉ!?」
出遅れても追いつける。そんな自信があった。
ヤミ子よりも先に、ヤミ子の目のまえで殺してやる。
だが、周りのギャングたちが束になって襲い掛かってきた。
「アンタたちっ! あのバカをボコりなぁ!」
「邪魔するんじゃねぇっ!」
拳を振るうたびに、大の男が飛んでいく。
味方に襲われながらも、多胡の口元は緩んでいた。殴れば飛ぶ。この力があれば、誰にも負けはしない。
世羅を倒し、ヤミ子を手に入れる。
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