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朱角

■ 本作について

本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案・執筆の大半を著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。


■ 活用の具体的な範囲

AIを活用しつつも、自己規範にのっとり、執筆であることは放棄しない方針です。

興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]


■公開済エピソートのプロットを公開中

「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。

https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/


■ AI活用の目的とスタンス

本作は 「AIを活用しつつ創作性を確保する」を模索する試みでもあります。

ただし、創作の主体はあくまで自分であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。

また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。

 灼熱の角――硬質化した皮膚――下顎から覗く二本の牙――鬼だ。


「ふんっ!!」

『ッッッ!!』


 真上に振り抜かれた月乃の脚は、ボスの腹部を捉えた。

 硬いもの同士がぶつかり合う音が辺りに響く。

 その音は波のように広がり、地面を揺るがす。

 小型車の重さにも等しい、ボスの巨体がふわりと浮き上がった。


 一メートル――二メートル――先ほど月乃が打ち上げられたのと同じ高さまで、今度はボスが浮いていた。


『何ッ!? 地面っ! 遠ッッ! 二階から落ちるッ!?』

「ふぅうう! 斬るッッ!!」


 いつもなら背負っている(さや)が、いまは腰にある。

 抜き身だった刀が、チンッと音を鳴らして納まると、月乃は柄に手を残したまま、わずかに腰を落とした。

 踏み出すための前足だけが、半歩前に出ている。


「怒島流――太刀術がひとつ――」


 口元は憤怒で歪み、蒸気が噴き出している。

 腹で燃えさかる殺気が、己の血を焦がしているかのようだ


『ヤバっ! これ死ぬ奴だっ!!』


 直感――欲望強化(リビドーブースト)によって研ぎ澄まされた感覚が、やがて訪れる死を予感させた。

 しかし、空中に跳ね上げられ身動きは取れない。

 背中にロケットでも積んでいれば話は違うが、そんなものはない。

 ほんのすこしまえに、自分がしたことを、自分がやられているのだ。

 このまま、落下すれば、なすすべもなく斬られるだけだろう。


『着岩っ!!』


 ボスの叫びと同時に、月乃の足元――地面がめくれ上がった。

 砂と土が巻き上がり、岩と鉄が引き寄せられ、ボスの右腕へと収束していく。

 またたく間に形作られたそれは、腕というよりも柱だった。

 三メートルの巨体と同じながさの鉄塊。


『おまえが死ねぇっ!』


 ボスの体はまだ空中にある。

 だが、重力に逆らって腕を掲げ、重力に任せて投げ捨てるように巨腕を振り下ろした。

 その一撃が、月乃へと迫る。


 本来なら、月乃はもう一拍、待つつもりだった。

 落下ののち、目線の高さ――ボスの(くび)が間合いにはいる、その瞬間を。


 だが、拳が先に来た。必殺の拳だ、無視はできない。


「――不断(ふだん)ッ!」


 抜刀の勢いそのまま、空間ごと切り裂くように、白刃が奔った。


 ギャリーーーンッッ!


 鉄を裂く音が、火花とともに弾けた。

 刃は拳の中央を捉え、巨腕を両断しながら上へと伸びていく。


 その軌道の先には“(くび)”がある。


 ふたりの感覚は、異様に研ぎ澄まされていた。

 欲望強化(リビドーブースト)がもたらす超感覚が、刹那を引き延ばし、未来を見せる。


「――斬るッ!」

『――斬られるっ!』


 このまま“(くび)”が飛ぶ――それは、ふたりにとって“確信”だった。


『くそがぁっ!!』


 ボスは空中で力任せに体を捻った。斬られつつある腕が、その動きに合わせて回転する。

 深く食い込んだ野太刀は、巨大な箸に挟まれたかのように、逃げ場なくその巨腕に捕らえられた。

 梃子(テコ)の力学が、野太刀を月乃の掌から強引に引き()がそうとする。


 だが、彼女は決して手を離さない。鬼の怪力で握りしめられた柄が、みしりと悲鳴を上げた。

 しかし、ボスの重量と回転、空中から落ちる力が重なり、抗しきれない。


小癪(こしゃく)ッ……!」


 月乃の体は、無理矢理引き回される。

 投げられたように宙を舞い、それでも刃を離さぬまま回転――そのまま背から落ちるかに見えた。

 しかし、咄嗟(とっさ)(やわら)にて半身を捻り、両脚で地面を踏みしめていた。


 すこし遅れて、ズン――と、土を砕く音とともにボスが着地。

 それと同時に半分に切り裂かれた腕も、役目を終えたかのように地へと落ちた。


『着が――ッ!』


 ボスはすぐさま、新たな腕を生やそうと声を上げるが、月乃が一手速い――


「――我突(がとつ)ッッ!」


 地面が(えぐ)れるほどの踏み込みで、月乃の体は瞬時に加速した。

 刃先は天に向けたまま、真っすぐに突進。ボスへ体ごと突き立てる。


 ガギンと鈍い音が鳴る。


『グッッ! このデカチビィ!! ゴリ押しかよっ!!』


 急所を狙ったひと突きは、反射的に差し出された肩によって防がれていた。

 刃は心臓に届いていない。


 ズゴゴゴゴゴゴゴッッ――!!


「おぁああああッッッ!!」

『ウソでしょ!? とまらないのっ!?』


 刃を装甲に突き立てたまま、月乃は押し続ける。

 ボスはその巨体と、その重さで、止めようとするが――とまらない。


 ブルドーザーが地面を(かき)き分け、岩でも押していくように、ボスの巨体がうしろへと押し込まれた。


『とまれよ! バカぢからっ!!』


 とまらない。むしろ加速していく。

 押されに押され、そのまま、ボスは廃工場の壁を背負った。


『いいかげんしろぉ!!』


 ドゴン――ベキッ――メキィッ!!


 壁にひびがはしる。コンクリートが(きし)み、鉄骨が悲鳴を上げた。

 それでも、月乃はとまらなかった。


 ボゴォーンッッ!!


『うわぁああっ!』


 壁に大穴があき、粉塵(ふんじん)が立ち込めた。

 その穴の奥へとふたりは消えていく。

 室内から、何かを引きずるような重い音と、破壊の気配が漏れ続けていた。

 やがて、その音は遠ざかり、ちいさくなっていく……が――


 ズゴォンッ!!


 バゴォォンッ!!


 ドンッドンッドンッ!!


 廃工場を丸ごと揺らす轟音(ごうおん)が鳴る。

 外壁は震え、窓枠は(きし)み、ガラスはヒビ割れ地面へと落下する。


 外から室内は見えない。

 だが、何かが叩きつけられ、何かが砕ける音がする。

 鉄と岩のぶつかる音に、刃が擦れる音が混じる。

 砂煙の奥、ひび割れた壁の向こうで、ふたりが派手にやり合っている。

 崩れかけた廃工場は、その余波を受け止めきれず、悲鳴を上げていた。


「ねぇ? マスター?」


 廃工場から十数メートル。巻き上がる粉塵(ふんじん)も届かない距離で、ヤミ子がポツリとこぼした。

 視線の先には、ぽっかりと開いた大穴がある。


「なんだ」

「あーし、はじめてみたけど。あれが月乃っちの異能(ドライブ)? まぢ鬼じゃん?」

「ああ、そうだ」


 世羅は地面に片膝を付きながら答えた。

 折れた両腕の負担が、彼の体力を奪い続けている。立っているのも億劫で、ただ茫然(ぼうぜん)と廃工場を見つめていた。


「いつもちっさくて細身なのに、なーんかいまは背高いし、胸もスタイルもエグくねぇ? どうなってんのぉ?」

「見たままだ。鬼になっている……怖い怖い鬼にな……」


 ズゥウウン……と地響きが鳴り、足元が微かに揺れる。

 壁は千切れ、屋根が飛ぶ。腹のなかから食い破られるように、廃工場がひしゃげていく。

 その腹を食い荒らすのは、寄生虫ではない……猛り狂う鬼だ。


「そかっ……なんか燃えてるのは気のせい?」

「実際に燃えている……“変異型:鬼”にもバリエーションがいくつかある……朱角、つまり……赤鬼だ」

「へぇ~そうなんだ、流石マスターじゃん! 詳しいっ!」


 ヤミ子は感心したように(うなづ)くと、ウィンクをひとつ。

 この場のテンションにそぐわない行動ではあるが、まるで嫌味がない。


「まぁな……そんなことより、ヤミ子」

「はいよ!」

「あいつらを追うぞ」


 その言葉に、ヤミ子が驚きの声をあげる。


「えっ? 危なくねぇ? 月乃っちに任せるんじゃなかったん?」

「事情が変わった。臨機応変に、だ……それに……」


 世羅は自らのR.I.N.G(リング)に視線を落とした。

 添え木の包帯に半ば埋もれたデバイスの表面を、白いLEDのラインが無機質に()っている。


「女神の機嫌を悪くするわけにはいかないからな……」

「ん~……」


 ヤミ子は納得のいかない顔で(ほほ)を膨らませた。

 だが、世羅が「行く」と言った以上、彼女がすべきことは一つだった。


「おけ! マスターが言い出したら、あーしがとめても無駄だもんね!」

「場合によるだろ」

「いまはその場合っしょ?」

「そうだな」


 配下がクランマスターに逆らう権限はない。

 だが、それを抜きにしてもヤミ子は話の分かる黒ギャルだった。

 そんな彼女でも、これだけは譲れないという顔で世羅を指差す。


「じゃあいこう! そのかわりあーしのあとから付いてくること! いいよね!?」

「ああ……それでい――」


 返事をしかけた世羅は、視界の端にうねる"影"を捉えた。


「ヤミ子っ!」


 世羅は、添え木を当てた腕で無理やりヤミ子の肩を突き飛ばす。

 直後、骨を削るような激痛が、彼の動きを奪った。


「ぐあっ!!」


 ヤミ子と入れ替わるように伸びた影の触手が、逃げ場を失った世羅の身体を捕らえ、その自由を奪った。


「マスターぁ!?」


 彼女の叫びに重なるように、別の絶叫が響き渡った。


「世羅ぁ! 返せよ! ヤミ子を返せよぉ!! ズルいだろぉっっ!!」


 青いオーラを(まと)った多胡が、そこには立っていた。

最後までお付き合いいただき、感謝です!

「いいね!」と思っていただけたら、高評価をいただけると嬉しいです!

今後の励みになりますので、もしよろしければ……!

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