責任
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案・執筆の大半を著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
AIを活用しつつも、自己規範にのっとり、執筆であることは放棄しない方針です。
興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]
■公開済エピソートのプロットを公開中
「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。
https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「AIを活用しつつ創作性を確保する」を模索する試みでもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
「いっつ……くぅううう……っ!」
「あ、主どの! 大丈夫ですか!?」
世羅は仰向けの状態で地面に寝ていた。
月乃は彼に折り重なるように腹ばいになっていて、お互いの額が擦れる位置で言葉を交している。
折れた両腕は、自分の体と月乃の体に挟まれ、逃げ場を失っていた。
「大丈夫じゃあないっ! 降りてくれっ!」
ボスの攻撃が直撃し、月乃はかるがると打ち上げられた。
ダメージは深刻で、受け身すら困難にするほどのものだった。
死に体となった彼女へ、ボスは必殺の一撃を放つ。
間一髪、世羅は月乃を空中で捉え、その攻撃をやり過ごしたまま落下。
自らの体を月乃と地面の間に滑り込ませ、クッションの代わりすら果たしていた。
「もうしわけっ……! くっ、あああっ!」
月乃は慌てて身をよじったが、不意に襲ってきた痛みに悲鳴を漏らした。
「ぐっ! 動くなっ! 腕がっ!」
いまの世羅にとって問題なのは、折れた両腕を、月乃が痛めつけてくるという事態だ。
決して彼女に悪意があるわけではないが、少女の体に挟まれた両腕は軋み、また骨が砕けつつあった。
さらに最悪なのは、月乃の傷も深く、世羅の上から降りることすら困難だったこと。
無理に動こうとすればするほど、体の力が抜け、世羅の腕をただただいたぶっていた。
『なにやってんの!? なにやってんだこのビッチがぁ!!』
見ようによっては抱き合っている。いや、事実として抱き合っていた。
実際には受けたダメージで体がいうことを聞かず、ふたりで足掻いている――それが正しい見方だ。
しかし、ボスの曇った眼を通してみると、訳が違って見えるのだ。
ボスは、さらにこう考えていた。
世羅が月乃を助けたということは、彼が自分ではなくビッチを選んだ、と。
そして、その“間違った選択”は、月乃が世羅をたぶらかしたことが原因である、と。
『ふっざけんなぁっ! 返せって言ってんだろっ! この女ぁっ!!』
ズシン、ズシンと、地響きが鳴る。
体が震えるほどの激情が、ゆっくりとした歩みを通じて、"欲望"の轍を残していく。
《“所有”トリガーによる、カタリシス反応……210%……》
MONOLITHによる告知をきくまでもない。
迸る“欲望”の波がボスから発せられ、辺りを塗りつぶしていく。
「月乃、はやく……どけっ!」
「うぅ……か、体が動きません……ッ!!」
もはや、冷静を装っている場合ではないと、世羅は声を荒げた。
体勢を立て直し、次の攻撃に備える必要がある。
だが、やはり、月乃のダメージは深刻で、その身ひとつを立て直すことすらままならなかった。
『いちゃつくんじゃないよぉ!! キス案件だろそれは!!』
誰がどう見ても、抱き合って喜んでいる状態ではない。だが、ボスにはそう映っているようだ。
そして、いまにも爆発寸前。着火した導火線が火薬樽に向かっている、そんな錯覚すら起こさせた。
「ちっ……!」
世羅は予想される腕の痛みに備えて歯を食いしばった。
「主どの!?」
両腕は使えないが、上半身の捻りと、下半身のバネで、月乃を押しのける。
ボスが迫ってくるのと、ちょうど、反対方向に彼女は転がった。
『なんだそれ……なんだそれぇ! 世羅ぁ! キミのタメだって言ってんだろぉ!!』
ボスはいっそう声を荒げた。怒りに、ほんのすこし悲痛が混じっている。
月乃を跳ねのけたあと、世羅は地面をくるりと転がり、膝をついて立ち上がっていた。
ボスと月乃の間に立ち塞がり、行く手を阻もうとしている。その意思は明確だった。
「主どのっ! わたくしのことはいいですっ! お逃げくださいっ!」
「黙ってろ!」
決闘において、配下は捨て駒に過ぎない。
打算的ではあるが、同時に定石でもあり、セオリーである。
クランマスターを将棋に例えるなら"王"、チェスに例えても、やはり、"王"なのだ。
盤面が良かろうが悪かろうが、“王”を取られれば負け。
歩はおろか、飛車角、たとえクイーンだろうが、"王"が身を挺して守る一手はない。
『世羅ぁ!!』
ボスは喉が潰れるほどの唸りを上げた。
世羅のその行動に、何の意味があるのか――分からない。
当たりまえのように配下を使い捨ててきたボスには、当然のように理解できない。
だが、伝わるものはある。世羅が合理ではなく月乃を選んでいるということだ。
そんなことが許されるはずがない。
「あーしじゃそんなに時間稼げないからねっ!」
世羅のまえに、影がひとつ躍り出た。
『別のビッチ!? 世羅ぁ!! オマエいい加減にしろよっ!?』
ヤミ子だ。両手を広げボスを通せんぼしている。
メリハリのある体のラインは、あらゆる男を魅了するだろう。
だが、三メートルの巨体の行く手を阻むには、あまりに心もとない。
「ヤミ子っ! オマエも下がれ! まえにでるなっ!」
「無理っ!」
「何が無理なんだっ!」
「ふたりを放っておけないし!」
五体満足の世羅であれば、ヤミ子を押しのけて自らまえにでている。
だがいまの彼では、それができない。ヤミ子の脇を抜けようとしても、背中を向けられ、広げた腕でブロックされてしまう。
ヤミ子の献身は誰の目にも明らかだった。
『どけぇ! 黒ビッチがぁ!!』
そして、ヤミ子のその姿は、やはりボスの神経を逆撫でしてしまう。
ボスが両腕を開くと、三人をすっぽりと覆い尽くすほどの大きな影が伸びた。
「くそっ! まずいっ!」
世羅はひとつ焦りの声を漏らした。が、同時にひとつの考えが浮かんだ。
「ヤミ子っ! 魅了だっ! ヤツを止めろっ!」
変異体:淫魔――その異能である"魅了"は、条件が整えば必中である。あらがう術はない。
彼はそれを行使するようにヤミ子へ命じた。
「無理っ!!」
「だから何でだ!?」
「だってこの子は、おんなの――」
『うがぁあああっ!』
ボスは何の小細工もなしに、ただ真っ直ぐ三人がいる場所へ飛び込んだ。
「バカ野郎っ! 双影触っ!!」
ボスの巨体が、ヤミ子を押しつぶそうとするその瞬間だった。
世羅の背から飛び出したふたつの影が、ヤミ子を庇うように包み込み、彼女を押し飛ばす。
入れ替わるように、世羅がまえに躍り出た。
ドゴンッ!!
「うぁっ!」
「きゃあっ!」
世羅、ヤミ子、月乃の三人は、まるでボーリングのピンのように散り散りに吹き飛ばされた。
世羅の咄嗟のガードがなければ、その程度では済まなかっただろう。
地面と巨体に挟まれ、すり潰され、地面の染みになっていたはずだ。
『世羅ぁ! 危ないだろうっ! もういい……もうわかった……! もう終わらせるっ!』
冷や汗を流したのは、むしろボスの方だった。
女ふたりは蹴散らしたいが、世羅を傷つけたくはない。
しかし、どんなに自分が気を配っても、世羅が出しゃばるのだ。
愚かで守る価値もない、ビッチを庇いだてする。
ありえない――早く救わなければ――彼が危険だ。
『世羅くん……キミをさっさとボクの“所有”にしなきゃ……』
重く大きな体がゆっくりと歩みを進める。
しかし、どこかフラフラと足取りが揺れている。
故に、対峙する者にとって酷く危険な相手に見えた。
『キミを正さないと……キミを正してあげる……キミは、ボクの“所有”なんだからっ……!!』
吹き飛ばされた衝撃で、世羅は両腕をさらに痛めていた。
辛うじて声を抑えているが、体はいうことを聞かない。立ち上がることすらできず、地面に伏したままだった。
ゆらゆら、ゆらゆらと、ボスは世羅に近づいた。
そして、手を伸ばせば届く位置で立ち止まった。
世羅の足から頭までゆっくりと視線を向けると、さらにゆっくりと片腕を上げた。
その巨椀が彼を捕まえる、その瞬間だった。
『はっ……? 何? 何なのオマエ?』
反対側の腕が動かない。誰かが掴んでいた。
『ボクさぁ、いま怒ってんだよ……ウザいこと辞めてくれる? 寝てろよ? ぶち殺すよ?』
その手は、白くしなやかで、それでいて強靭だった。
「怒る……? それはこちらの台詞でしょう……?」
指先から腕に向かって視線を送ると、その先には一本の角があった。
『あっ?』
その角は紅く紅く熱を帯びて、空気を焼いている。
「わたくしに、覚悟が足りぬばかりに……こんなことに……腸が煮えくり返りそうです……」
ちりちりと燃える炎が、青いオーラと混ざりあい、紫煙が揺らめいた。
角を覆う黒髪は焦げるでもなく、心を映す焔のように滾っていた。
『なにゴチャゴチャいってんの? 離せよこの野郎っ!』
ボスは月乃の腕を振りほどくために、乱暴に腕を振った――つもりだった。
『えっ? なにっ? 力、強っ……!?』
巨腕はがっしりと固定されて、動かすことができなかった。
「主どの……」
月乃はうなだれるように顔を伏せていた。その表情は、誰にも見えていない。
だが、その声の圧がいままでとは違っているのは、皆にとっても明らかだった。
《“憤怒”トリガーによるカタリシス反応……230%……》
MONOLITHによる数値的な裏付けもすぐに成された。
「……何だ?」
世羅は息も絶え絶えだが、声を絞り出すように応えた。
「本当に……この者……殺めてしまってよろしいのですね……?」
口調は穏やかだが、その身は炎を纏っていた。これは比喩ではない。実際に燃えているのだ。
世羅はこの質問にも迷いなく答えた。
「無論だ」
「責任……取っていただけるんですね……?」
この責任というものが何を意味するのか、それは世羅にもハッキリとはわからなかった。
だが、それが何であれ、月乃が求めるのであれば構わない、世羅はそう決めていた。
「当然だ」
月乃は静かに目を閉じた。
そして、覚悟を決めたように、ゆっくりと顔を上げた。
「承知いたしました」
その言葉に、ボスが激しく反応した。
『はぁ!? 承知って何だ!? オマエにできると思ってんのか!? このチビッッッ!!』
「……できますとも。できるに決まっておりましょう……?」
月乃の声は静かだが、その身から迸る圧は、これまでとは比べ物にならない。
『チビ! チビ! チビッ! 生意気いってんじゃねーぞっ!!』
ボスが吠える。だが、次の瞬間、言葉が途切れた。
月乃の目線の高さが、変わっている。
『……って、何だ? 何だこいつ? デカくなってね……??』
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