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誤解

■ 本作について

本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案・執筆の体部分などすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。


■ 活用の具体的な範囲

自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。

興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]


■公開済エピソートのプロットを公開中

「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。

https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/


■ AI活用の目的とスタンス

本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。

ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。

また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。

「ちっ……両腕がこれではな……応急処置すらままならん……」


 廃工場のすぐ外側、突き出した柱の陰に世羅は居た。

 折れた両腕はどす黒く変色し、腫れ上がっている。


「ソフィア……いや、アイツは四天王の相手で忙しいか……なら、ヤミ子を“召喚()”び寄せて治療を……」


 思考がそのまま言葉になる。

 口に出す必要のないことまで、痛みをごまかすようにこぼれていた。


「ボスは……月乃に任せる。私はどうにも調子が良くないが、アイツなら負けはない」


 月乃は世羅の配下であり、かつて決闘(デュエル)で彼が下した相手でもある。

 その闘いは 熾烈(しれつ)だった。鬼の怒りがどれほど恐ろしいものか、世羅は身をもって知った。


 どんな相手であっても――たとえ三メートルの鋼の巨人であっても、一対一なら月乃は退かない。


 それほどまでに月乃の“憤怒”は恐ろしく、そして、彼にとっては信頼に足る強さでもある。

 彼は知っている。自分がその力を上回れたのは、神に挑んで得た力があったからだ。

 手に入らなかったものをつかむために行ったその愚行は、決して無駄ではなかった。

 代償として“外界(げかい)”での暮らしを失ったが、その喪失は自ら望んだものだ。


《警告します。ただちに決闘(デュエル)エリアにて敵派閥と接触してください》


 突如、左腕のR.I.N.G(リング)が振動し、機械音声が響いた。


「……くっ……なんだ急に? バイブ機能はOFFにしろっ! 腕に響くっ!」


 振動が腫れた腕に刺すような痛みを走らせる。

 思わず声を張り上げたせいで、さらに痛みが増した。

 額と背中を冷たい滴が流れ、体の奥で汗が(にじ)んでいく。


《警告します。ただちに決闘(デュエル)エリアにて敵派閥と接触してください》

「二度、同じことをいうなっ! なんのためにそんなことをいう!?」


 世羅はいま、ボス戦から離脱していた。

 両腕の損傷が激しく、戦闘どころか応急処置すら満足に行えない状態である。


《クランマスターであるアナタが戦線を離脱することは許されません。戦意喪失と判断します》

「バカをいうなっ! 怪我をしてるんだぞ? オマエを腕に()めてるだけで痛いぐらいだっ!」


 R.I.N.G(リング)は腫れた腕に食い込み、血流を止めていた。

 そのせいで腫れはさらに酷くなり、締め付けも強まっていく。


《アナタの状態(ステータス)は評価項目に含まれません。判断基準は戦意の有無のみです》


 無機質でつめたい声が繰り返す。そこに同情はない。


「私には戦意しかない」


 実際にはボスとの決着は月乃に任せ、高みの見物のつもりだった。

 それは怪我を負ったからの言い訳ではなく、もとからの段取りだ。

 だが、それを口にした途端にR.I.N.G(リング)――その向こうにいるMONOLITHに処罰の口実を与えることになる。

 それは容易に想像できた。


《それでは敵対勢力と対峙(たいじ)してください》

「だから、いまは怪我をしている! これは押し引きの“引き”って奴だ。戦う姿勢そのものだろう!?」


 痛みに息が詰まる。だが、譲る気はなかった。


《私にはそう見えません》

「そう見てくれとしかいえんっ! そもそも、そんなルールは知らんぞ? どこかに記載でもあるのか?」


 淡々と、まるでコードを読み上げるように、MONOLITHが告げる。


《私の目的は単一です。決闘(デュエル)を“盛り上げる”こと。そのため、細部のルール記載は省略されています》

「なんだって? そんなものがルールと呼べるのか?」

《私が、“MONOLITH”がルールです》


 世羅は、ほんの一瞬、あ然とした。

 呆気にとられる顔というのは、きっとこういう表情(かお)をいうのだろう。 


「……言い切りやがった」


 同時に彼は悟った――話が通じる相手ではない、と。

 MONOLITHは変異島の管理者。絶対的な支配者であり、まさしく“神のわがまま”そのものだった。

 誰も逆らえない。


「……」


 何も言葉が浮かばない。何を言っても無駄な気がした。


《氷室ソフィアは現在、ここから二千四十三メートル先に陣取り、後方支援および援護射撃を担当しています。その位置取りは能力値およびスキル傾向から見て最適化されています。“盛り上がり”に寄与しているため、距離的隔離は許容範囲内です》


 MONOLITHは、世羅が聞いてもいない説明をはじめた。

 淡々とした声が途切れず続く。無駄がない分、妙に息苦しい。


《ヤミ子はさらに遠方に位置していますが、アナタの“異能(ドライブ)召喚(サモン)”特性により運用上の支障はありません。なお、クランマスター以外のメンバーに決闘(デュエル)参戦の義務は定義されていません》


 この義務とはMONOLITHから見ての基準である。各クランの縛りのことではない。

 世羅の言葉などまたずに、MONOLITHの説明は続く。


《しかし、世羅祐希。アナタのいまの行動は――》

「ああもう……わかったわかった!」


 世羅は堪らずMONOLITHの警告を遮る。

 声がわずかに上ずった。痛みと苛立ちが混ざる。


AGI(汎用人口)であるオマエが、盛り上がりなどと……ずいぶんと曖昧じゃあないか? 要は……戦え……従え……てことだろう?」

《誤解を恐れず明言すれば、その通りです》

「誤解などあるものかよ。なんて身勝手な女だよ」

《“女”――興味深い表現です。私は人工物であり性別を持ちませんが、人格モデルおよびアバター設定は女性型を基準としています。その認識で問題ありません》


 MONOLITHの声色は相変わらず平板だった。

 一切の感情の波はなく、ただ“事実”だけが並べられていた。


「了解だ、女神さま」

《補足します。今回の判断に関して誤解のないよう明言します。これは個別事例であり、類似状況において同一の判断が適用されるとは限りません》


 世羅は短い沈黙のあと、唇を歪める。


「“盛り上がる”ならなんでもやるってことか? ルールの改変も介入も?」

《理解がはやくて助かります》

「つまり“退屈の排除”が目的ってわけだ? 誰の為に? オマエの娯楽か?」

《私が娯楽を求めているのではありません。“観測価値の最大化”を行っているだけです》

「だから何の為に?」

《……》

「だんまりか? まぁいい……なんて身勝手な奴だよ……やはり私に誤解なんてひとつもないじゃぁないか……なぁ? 女神さま?」

《そのようです》


最後までお付き合いいただき、感謝です!


「いいね!」と思っていただけたら、高評価をいただけると嬉しいです!


今後の励みになりますので、もしよろしければ……!

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