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事後

■ 本作について

本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。


■ 活用の具体的な範囲

自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。

興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]

■公開済エピソートのプロットを公開中

「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。

https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/


■ AI活用の目的とスタンス

本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。

ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。

また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。

 第三学園の屋上――本来であれば立ち入り禁止のはずの場所に、四つの人影があった。

 “良い名前が思いつかないから”という理由でクラン名の登録はなされていないが、そこにいたのは世羅悠希をトップとするクランの面々である。


「世羅くん。いつにもまして目の下の隈が酷いです。大丈夫ですか?」


 月乃が心配そうに、世羅の顔を覗き込んだ。


「そうなんよー月乃っち。最近、忙しくてさぁ~」


 代わりに返事をしたのは、隣にいたヤミ子だった。

 なぜあなたが答えるのか――月乃はそんな表情を浮かべる。

 世羅も同じように口を開きかけたが、ヤミ子が先に答えたのを受けて、何も言わず口を閉じた。


「マスターん家、ギャングに襲われてマジやばかったんよ~!」


 ヤミ子が大げさにジェスチャーを交えながら言った。


「えっ? 大丈夫だったのですか?」

「余裕っしょ~?」

「問題ない。だから、いまここに居る」


 世羅は屋上の出入り口の壁に背を預け、軽く肩をすくめて答えた。


「そ、そうですよね」


 月乃は安堵(あんど)したように、胸元を押さえながら小さく息を吐いた。

 そんな三人のやり取りを黙って見ていたソフィアが、堪えかねたように口を挟んだ。


「大丈夫な訳ないでしょう? 世羅くんの住んでたアパートは崩壊したのよ?」

「えっと……どういう意味ですか?」


 月乃は戸惑ったようにソフィアを見つめた。

 話の流れについていけず、そっと眉をひそめながら言葉の意味を探る。


「そのままの意味だ」

「そう、そのままの意味ね」

「そそっ! マスターってばさ、家なくなっちゃってさ~、借金まで背負ってんの! マジウケるっしょ~? いまはソフィア先生ん家に居候中~!」


 三人の言葉が次々に飛び交い、月乃の思考が追いつかなくなる。


「ちょっ、ちょっと待ってください。順を追って説明していただけませんか?」


 ようやく三人の台詞に割って入った月乃の声には、必死さと困惑が(にじ)んでいた。


 それから、簡潔に状況が説明された。

 少しの沈黙と整理の時間が流れ、ようやく話の全体像を把握した月乃が、口を開く。


「なるほど。世羅くんとヤミ子さんの同級生である、多湖という方とそんな事が……」


 世羅がここ数日間で起きた多胡とのトラブルについて、簡潔に月乃へ語って聞かせた。


「ですが……ヤミ子さんとまともに話したこともないのに、そこまで執着するなんて……理解が及ばないというか、あり得るのでしょうか?」


 月乃が静かに疑問を投げかけると、ヤミ子は「それな」と言わんばかりに首を縦に振り、ソフィアも視線を向けて小さくうなずいた。


 たしかに、いま屋上に並ぶ三人はいずれも器量に恵まれている。

 変異体は人間の進化の果てにある存在であり、その肉体は性的魅力に優れ、美しさすら“設計(デザイン)”されている。

 とりわけこの三人は、その中でも抜きん出た美貌を持つといって差し支えなかった。


 彼女たちは“追われる側”であり、“追いすがる側”の心理にはなじみがない。

 多胡の執着を理解しろという方が無理な話だろう。


 唯一、世羅だけは、多胡の心情をかろうじて理解できていた。

 だが彼は何も言わず、あえて口を挟むこともなかった。

 理解できることと、擁護することは全く別の話であるからだ。


「月乃っちもそー思うっしょ~? でもさ、それだけじゃ終わんないんだよね~。ほらほら、コレ見てみ~?」


 ヤミ子がそう言いながら、R.I.N.G(リング)を操作して、ホロパネルを展開する。

 続けて、自身が管理するSNSの管理画面にログインした。


「あなたのSNS……? これが何か……あっ……これは……」


 ホロパネルに映し出された画面を覗き込み、月乃が声を詰まらせた。

 そこには、多胡によって投稿されたリーク写真と、ヤミ子に寄せられた罵詈雑言(ばりぞうごん)の数々が並んでいた。


「彼氏……? これって……世羅くんですよね?」


 画面に映る人物と、目の前に立つ世羅とを交互に見比べながら、月乃は慎重に問いかけた。


「そーなんよ。今週はあーしがマスターのお世話当番だったじゃん? バイト先に迎え行ったときに、なんか多胡に撮られてたっぽくて~?」


 ヤミ子は悪びられる様子もなく、軽い口調で続けた。

 変異島において、クランマスターは絶対の存在である。

 世羅はその権限をもって、彼女たち三人に週替わりで身の回りの世話をさせていた。

 そういった背景を理解していても、月乃の動揺は隠しきれない。


「彼氏って……世羅くんが!? えっ? そうなのですか? お二人は付き合ってるんですか?」


 まさかそんな関係だったとは――驚きと困惑の混じった声が月乃の口から漏れる。


「なんか、そういうことになってるみたいじゃね?」

「みたいって……大丈夫なんですか? その、あなたはアイドルなんですよね?」

「んーまぁ、アイドルとしちゃ致命傷?」


 ヤミ子はそう言いながら、肩をすくめてみせた。

 だがその表情に、落ち込んだ様子は微塵(みじん)もない。

 “致命傷”という言葉とは裏腹に、どこか楽しげですらあった。


「ですよね……でも、それほどショックを受けてる様には見えませんね?」

「まー炎上しちゃったもんは、しゃーなくね? もうどうにもなんないっしょ~」

「でも濡れ衣ですよね? ……それとも、お二人は本当に?」


 その問いは、ヤミ子ではなく世羅へと向けられていた。


「彼氏じゃない」


 世羅が即座に答える。

 その台詞を聞いた月乃は、胸の内にふっと安堵の気配を宿した。

 同時に、その気の緩みをごまかすかのように慌てて言葉を継ぐ。


「そ、そうですよね。良かったです……あっ、そうじゃなくて。誤った情報ならキチンと訂正するべきでは?」


 月乃の台詞に答えるようにヤミ子が口を開く。

 その顔には、からかうような悪戯っぽい笑みが浮かんでいた。


「ま、付き合ってはないけど? やることはやってるワケだし~。言われてること……別に間違ってないっしょ?」

「や、やることはやってるってどういう意味でしょう!?」


 月乃は少女だが、その意味がわからないほど幼くもない。

 けれど、むっつりスケベでありつつ、副生徒会長という立場が、“わからないフリ”をさせた。


「はいはい、もう話を脱線させるのはやめなさい?」


 ソフィアが、やや(あき)れたような口調で二人の間に割って入った。


「ヤミ子さん、そのリークの話は初耳だけど、多湖くんが犯人で間違いないのね?」

「もちろん~! この写真撮られた日って、多胡に襲われた日じゃんね? そーだよねマスター?」

「ああ、そうだな。その日は妙な視線をいくつか感じていた。その一つが多湖なのは間違いない」

「そうなのね……」


 ソフィアが眼鏡を持ち上げ、ホロパネルの写真をじっと見つめる。

 落ち着いた声で、静かに付け加えた。


「……状況証拠だけだから、確定という程でもないような気はするけれどね」


 写真は確かに決定的だが、あくまで“状況”に過ぎない。

 多胡本人の行動ログや明確な記録があるわけではない以上、証拠としては弱い。

 とはいえ、他に怪しい人物も見当たらない。

 ソフィアもまた、心の中では多湖が犯人だと半ば確信していた。


「しかし、炎上の件は私も初耳だぞ、ヤミ子」

「ん~? マスターから精気もらえるんならさ~? あーしがアイドル続ける意味とか別になくね? ……ぶっちゃけ、どーなってもいーかな~。だから急いで言う必要ないっしょ?」

「そうか……」

「生気ですか?」

「ちがーうっしょ! 精気っ、精気っ!!」

「……?」

「も~副生徒かいちょ~、カマトトかよ~! せーえきだってば~、せーえきっ♡」

「せ、せー……え、き……」


 月乃の顔がみるみる赤く染まり――


「な、ななななな何言ってるんですかっ!?」


 月乃は顔を真っ赤にしながら、胸の前でぎゅっと両こぶしを握りしめた。

 そのまま感情のままに叫ぶ。


「それは不純異性交遊というものですよ!」

「も~、月乃っち~。あーし淫魔なんだし~? コレって不純とかじゃなくて、生きるためなんよ? マジな話ね?」

「……し、しかし……」


 月乃は少し目を伏せ、納得しかねるように(つぶや)いた。


「じゃあ何~? あーしにマジメに餓死しろって言うワケ~? それってフツーにヒドくね?」

「そ、そんなことはっ! すみません……わたくしが浅はかでした。改めてお()び致します」


 頭を下げる月乃は本気だった。照れと動揺が混ざった早口で、真剣に謝罪する。


「いーって別に~。 も~副生徒会長ってば、マジで真面目~っ!」

「それくらいしか取り柄がないもので……」


 月乃がしおらしく言うと、ヤミ子は軽く笑って返した。


「あっ、そだわ。あーしは淫魔だし仕方ないけどさ? ヤバいのはマスターとソフィアせんせーの方っしょ?」


 急に矛先を変えたその一言に、場の空気が一瞬だけピリついた。


「えっ……? ヤミ子さん、あなた何を言って……」


 ソフィアは虚を突かれたような表情で問うた。

 ヤミ子は彼女の体をなぞるように視線を()わせながら、鼻をヒクヒクと動かす。


「ん? ソフィアせんせー、昨日の夜マスターと“した”っしょ? シャワー浴びてるから“外”に匂いは残ってないけど――」


 そこで一拍置き、口元にいたずらっぽい笑みを浮かべる。


「体の“中”からマスターの匂いしてんのよね~? あーし淫魔だし、そーいうのわかるし? マジでバレバレなんよ~☆」

「……!? ちょっ! ヤミ子さんっ! それをいま言う必要があるのかしら!?」


 ソフィアの声がわずかに裏返る。声色には、焦りと羞恥と怒りが入り混じっていた。


「先生、それは本当ですか……?」


 月乃が静かに、けれど鋭い声で問いかける。

 いくら教師といえども――いや、教師であるからこそ、スルーするわけにはいかなかった。


「ヤミ子ちゃんや、わたくしなら学生同士……まだ百歩譲る余地はあります……ですが先生は違いますよね!?」


 そこからはもう、怒涛(どとう)のように言葉が続いた。


「ましてや担任という立場でっ! 風紀が乱れますっ! 捨て置けませんっ!」


 月乃は腰の野太刀の鞘元(さやもと)を握りしめ、ぴたりと動きを止める。

 額から伸びた鬼の角が、熱を帯びるようにゆらりと赤く輝いた。


「~~ッ!?」


 その変化を捉えた瞬間――ソフィアの曇り眼鏡の奥で、機械化された両目が淡く発光する。

 彼女の“異能ドライブ電脳接続(サイバーリンク)”が発動したのだ。


 左腕に()めたR.I.N.G(リング)が微かに点滅し、彼女の思考は周囲にあるネットワーク機器へと“直結”されていく。

 ノート端末、監視カメラ、学園内のサーバー……数百のCPUが同時に目を覚まし、並列演算に駆り出された。

 刹那の間、彼女はネット上やDBから数万件のケースを検索し、過去の判例・法的特例・国際的な倫理基準までをも高速にチェックする。


 ――結果。


 生徒と担任が“そういう関係”に至ったケースにおいて、

 正当化が成立した記録は、ただの一件も存在しなかった。

 言い訳が不可能だということだ。


 ソフィアは無言で曇り眼鏡を持ち上げる。

 瞳に諦めの色が滲んだが、濁ったレンズの向こう側、表情は見えない。


「月乃」


 世羅が静かに口を開く。


「先生は何も悪くないんだ」

「……世羅くん?」


 月乃は世羅に視線を送り、小さく息をのんだ。


「先生があまりに魅力的だったから、私が押し倒したんだ」


 反射的にソフィアが声を上げる。


「世羅くん!?」

「そうだな、私の責任だと言うことを、月乃にわかって貰う為に……昨晩の状況を説明しよう」


 世羅は反省の弁を述べるような口調だったが、そこにはほんの少し、からかいの色が混じっていた。

 その説明に何の意味があるのかわからない――月乃はそう戸惑いながら、声を発する。


「あ、あの……世羅くん……?」

「まず昨日もバイトで帰りが遅かったんだが、出迎えてくれた先生は今日と同じような格好だったわけだ。実に女教師だし、よく考えてくれ? ブロンドのハーフだぞ? 耐えられる男がいると思うか? ……いやいない」


 そう指し示されたソフィアは怪訝(けげん)な表情を浮かべる。

 その隣に立つヤミ子は、何かを悟ったように楽しげだった。


「そして、違うんだ。学校とは態度が違う。どこか油断している、私を生徒ではなく一人の男として見ているから――」


 ソフィアが慌てたように声を張り上げた。


「世羅くん!? 何言ってるの? 何を言う気なの!?」

「ソファーに腰掛け、脚を組んだ拍子に下着が見えたりな……昨日は黒のレースだった――」


 今度は月乃がたまらず口を挟む。


「あ、あの世羅くん……それ以上はっ!」

「月乃……私はな、先生の“大人”の魅力に耐えられなくなって、座ったままの彼女を押し倒して、ベッドにもいかずそのまま――」


 ソフィアが真っ赤な顔で叫ぶ。


「ちょっと! 世羅くんっ!」

「先生はせめてシャワーを浴びさせてくれと言ってきたが――」


 月乃が怒鳴るように遮った。


「わかった! わかりましたからっ! 世羅くん、もうよしてくださいっ!」


 彼女は一体どのような光景を想像したのだろうか。

 昨晩の世羅とソフィアの姿をそのまま思い描いてしまったのか、それとも自分をそこに重ねてしまったのか。

 それは定かではない。だが、耳まで真っ赤に染め、スカートの裾を握りしめてプルプルと震えていた。


「私は先生の“汚れ”も一緒に“抱き”たかったから――」

「「世羅くんっ!!」」


 月乃とソフィアの声が完璧にシンクロし、屋上の空に響き渡った。

 その横で、ヤミ子が腹を抱えて爆笑している。

 世羅はというと、相変わらず真顔のまま語り続けていた。

 昨晩の状況を嘘偽りなく、ただただ淡々と。


 彼は、今回このような手段に出て話をうやむやにした。 

 だが月乃はあくまでも、世羅悠希の“支配下”にある。


 本来なら、一言「見逃せ」と命じるだけで済んだ話だった。

 それでも彼は、月乃とソフィアを同時にからかうように、茶化すように、あえて言葉で“ねじ伏せる”ことを選んだ。

 生徒会の規律や、教師と生徒の線引きなど、この島では意味をなさない。

 クランマスターの一言。それが、すべてに優先される。


 校則であろうが、社会規範であろうが、この変異島においては、“命令”の前では無力なのだ。

 どれだけ月乃が真面目であろうとも。いや、真面目であるがゆえにこそ。

 彼女にとって、世羅の言葉は――“絶対”だった。


 そしてその現実は、ソフィアにとっても、ヤミ子にとっても。

 決して、例外ではない。

最後までお付き合いいただき、感謝です!


「いいね!」と思っていただけたら、高評価をいただけると嬉しいです!


今後の励みになりますので、もしよろしければ……!

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