独占欲
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。
興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]
■公開済エピソートのプロットを公開中
「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。
https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
ガッシャアアァァァァァン!
世羅は窓ガラスをぶち破り、宙に舞った。
自室の玄関の真逆、ベランダ側の窓。
二階の部屋から飛び出した世羅の体は、地上からおよそ五メートルの高さにあった。
「ひぃああああ~!」
ヤミ子の悲鳴が響く。
世羅はその声に耳を貸さず、淡々と“次”の行動に移った。
「“異能:加速”っっ!」
彼の“視る”世界が変わる。
闇夜は沈み、そこに差し込む街灯の光が不自然に明るくなる。
周囲を“置き去り”にして、速度の向こう側に到達した者の視界。
ススススススッ!
ヤミ子は見ていた、世羅の眼球がまるで蛇目の如くチラつくのを。
「ひとり、ふたり、さんにん……半ダースか……」
世羅の目は、アパートのベランダ方面――南側へと向けられていた。
道路沿いに隠れるでもなく堂々と群れるギャングたちの姿を捉えていた。
アパートの北側、多胡の居た方面は壁に遮られ見えないが、おそらく同じだけの数が居る――。
世羅のこの判断には、コンマ1秒すらかかっていない。
肉体だけではなく思考も同時に加速していた。
「地面はダメだな、屋根上だ」
「~~~~~~っ!」
ヤミ子は目を見開き、口をぱくぱくと動かしていた。
だが、加速状態にある世羅に、ヤミ子の声を聞き取ることは出来ない。
音すら置き去りにしているからだ。
悲鳴か何か――いずれにしろ、対したことは言っていない。
世羅はそう判断して、いまこの瞬間に最も適切な行動を選択する。
まずはヤミ子の安全を確保する。
有利な位置に身を置くのが、そのための第一歩だ。
次の行動は“そこ”からでいい。繰り返すが、世羅の“行動”と“優先順位”に迷いはない。
世羅が抱き抱えている者が、月乃であっても、ソフィアであってもそれは変わらない。
ダンッ!
彼は地面に着地するやいなや、目の前のブロック塀に向かって飛ぶ。
その塀に足を掛けると、さらに二度ジャンプした。
一度目はその塀から電柱に向かって、二度目は電柱からアパートの屋根に向かって。
ダッ! ダンッ!
ギャングたちは、宙を舞う世羅とヤミ子の姿までは捉えていた。だが、次の跳躍は見えていない。
影のようなものが、線を引いて消えていた。
「ちょ! ますたぁ! なにしてんっ!」
加速中の世羅の視界は影が濃く、物の輪郭がはっきりとしている。
全面“HDR加工”されたような、異様にコントラストの強い世界。
その不自然な世界が急速に終わりを告げると、ヤミ子の声が聞こえてきた。
「黙ってろっ! 舌噛むぞっ!」
ダンッ!
「ぎゃんっ!」
世羅はアパートの屋根に着地する。
着地の衝撃に備え、ヤミ子を離さぬよう彼女の頭をグッと抱きしめていた。
「くるしっ! ますたぁあああ?」
ヤミ子が涙目になりながら、世羅を見上げた。
一体なにがどうなっているのか、彼女には見当もついていなかった。
「多胡が押し入って来た」
世羅は要点だけを短く伝える。
ヤミ子の目がぱちくりとまたたく。
「えっ? なに!?」
「多胡がギャングを連れてきた」
ヤミ子は右手を額に添えて、記憶を探った。
もとより男に興味がない彼女だから、多胡の記憶を“箱”から取りだすのに苦労した様だ。
「へっ……? えーっと、マスターと同じクラスの多胡……くんだっけ? 仲良かったん?」
世羅は屋根の下、多胡とギャングたちの動きを窺いつつ、肩をすくめて答える。
「少なくともふたりで遊ぶ仲じゃあない」
だったらなぜ? という疑問をヤミ子が口にする前に、ギャングたちの怒号が響いた。
「上だっ! 上っ! 屋根の上だっ! 逃がすなっ!」
ヤミ子は全てを飲み込めていないが、“まずい状況”にあることだけは認識する。
「あれっ? これはまずくね?」
多胡が自分に執着してこの場に来ている――とまでは微塵も感じていないが。
日々のギャング狩りで、彼らに恨みを買っている自覚はある。
ましてやここは“変異島”。望まぬ戦いなど、日常茶飯事だ。
ギャングに正体を知られ、報復を受けている状況――。
彼女はいったんこの考えをベースに行動の選択を始めた。
「あーしが、3、4人は引き受けるからっ!」
ヤミ子は世羅から離れ身構えようとした――が。
「ん? マスター? 離して?」
ヤミ子を抱く彼の利き腕は緩まず、むしろ、力が強まる。
「私から離れるな、捕まってろ」
「んっ? 何言ってんの? あーしも戦うよ!」
「ダメだ、自分の恰好を見てみろ」
「あ~! バスタオル一枚っ! んでも、そんなこと言ってる場合じゃなくねぇ?」
裸のひとつやふたつ、見られても構わない。
アイドルなのだから、見られることには慣れている。
グラビア活動の経験だって少なからずある。
ましてや淫魔が裸を見られることを気にしていては、生きていられないのだから。
世羅の強さは知っている、足手まといにさえならなければ、彼に負けはない。
ヤミ子はそう判断していたのだが――。
「ダメだ、他の男に裸を見せるな。捕まってろ」
「ええぇ~!?」
そんな理由?
ヤミ子は驚き、少し呆れていた。
同時に自身のマスターが“こういう人”だということを思い出していた。
そして、一度でも口にしたら、決して引かない“男”だと、改めて思いだす。
「うむぅ~」
ヤミ子は、複雑な感情を抱きながらも、世羅に従うことにはする。
クランマスターの命令は絶対だ、戦闘中であればなおさらである。
カンカンカン。
乾いた音のなる方に視線と向ける。
メンテナンス用の雑なハシゴに伝って、ギャングがふたり、屋根に上がってきた。
ふたりは世羅とヤミ子の目の前に踊りでる。
屋根上はひとが足を踏み入れることを想定しておらず、殺風景で、お互いの動きが良く見える。
ギャングふたりは仲間を待つ気配もなく、世羅に迫る。
槍投げの要領で腕を振りかぶり、助走を付けて殴りかかっていった。
「がっ!」
「ぐぇ……!」
まずは前蹴り、その脚でそのままサイドキック。
ふたりの男をすぐさま迎撃する世羅。
ギャングを押し返し、距離を取り直すことはできたが、打ち倒すには至らなかった。
ヤミ子を抱えたままでは、腰の入った蹴りを放つことができなかったからだ。
ゴッ!
世羅の黒髪が宙を泳ぐ。
彼は背後から忍び寄った、追加のギャングに殴られていた。
ハシゴの真逆、壁をよじ登る男を視界の端で捉えてはいた。
気を配ってもいたが、ヤミ子の回避行動と、世羅の行動がバッティングしたのだ。
ヤミ子を抱えたままというハンデは、彼の想像以上に大きい。
「ちっ……!」
ドッ!
「ぐぅ!」
世羅は殴られたとほぼ同時、反撃の蹴りを放っていた。
これも蹴りとは言い切れない、押し返すだけの代物。
それでも、変異体の身体能力によるものであり、通常の人間であれば打倒しうる威力がある。
しかし、それを受けた相手も変異体だ。その効果は、せいぜい着崩した制服の汚れをひとつ増やした程度だった。
多湖が怒声を上げた。
「世羅ぁっ! てめぇ! “俺”のヤミ子になに手ぇだしてんだぁ!!」
多湖が肩を怒らせ、メンチを切りながら、ポケットに手を突っ込んで吠えた。
気づけばギャングが1ダースと少し、屋根上に登り、世羅とヤミ子を取り囲んでいた。
世羅が最初に想定した人数と大きなズレはない。
「……」
多湖は「おぅおぅおぅ!」と、イキり続けるが、世羅は聞き流す。
世羅には多湖とギャングが、この場に来た理由、そして、目的もおおよそ検討が付いていた。
(……コンビニの時点で対処するべきだったな)
コンビニに居た時点で、ふたつの不審な気配を感じてはいた。
ひとつは最近常連となった少女、もうひとつは多湖だったのだろう。
帰宅前に対処をするべきだったと、後悔をしかけたが、彼はその気持ちすら捨てた。
いまこの場においては、反省よりも優先すべきことがある、ヤミ子を守る為に最善の行動を考える。
多湖の嫉妬に構っている暇はない、世羅は思考を巡らせた。
「ん? ……どういうこと?」
ヤミ子は世羅に抱かれたまま、当然の疑問を口にする。
俺のヤミ子という多湖のセリフが、どうにも気になっていた。
「ヤミ子っ! そいつに騙されてるんだろっ!? いまなら間に合うっ! 俺の元に戻ってこい!」
「えっ? ちょっ? なにぃ?」
ヤミ子はさらに混乱する。
多湖は同級生で、地下ライブにも顔を出してくれていたのは知っている。
配信にも来ているのかもしれない。
だが、学園内で話すこともなく、苗字は知っているが、弘樹という名はしらない。
普段と会場とで、切り分けが出来ている部類のファン、その中のひとり。
そもそも自分は“百合営業”――いや、それと呼ぶには多少違和感がある。
男が苦手で、女の子が好き。
ヤミ子は、そのスタンスを崩したことはなかった。
だからこそ、多湖の言い分が理解出来ないでいた。
ヤミ子の混乱をよそに世羅は思考を巡らせる。
(月乃とソフィアのどちらか……あるいは両方を"召喚"ぶか……急だが、この状況。仕方がない)
多胡も彼なりの思惑で行動している。
「世羅ぁ! 聞いてるのかっ!? てめーのやってる事は犯罪だぞっ! ヤミ子まってろ、すぐに助けてやる!」
彼の言い分としては、世羅によるヤミ子への強制わいせつ、恐喝、その辺りだろうか。
であれば、多湖も住宅内への不法侵入が問われても、不思議ではないが。
変異島において、このふたつを取り締まる一般的な法律はない。
学区内のローカルルール、もしくは、MONOLITHが介入の必要があると判断したとき――その辺りで処理される問題だった。
付け加えるならばスコアを払っての防犯依頼だろうか。
MONOLITHにスコアを支払えば防犯用のドローンを融通してくれるのだ。
スコアを持つものが有利、これも変異島における基本ルールだ。
世羅はスコアが足りないから、このアパートで生活しているのは自分だけだからと、防犯契約は結んでいない。
故に、この場、この騒動に介入するものは存在しない。
両者が納得いくまで殴り合うしかない
結果、人が死んだとしても、変異島における日常に過ぎない。
「多胡ぉ! アンタ何言ってんのっ!?」
ヤミ子は当然の疑問を口にする。
だが、多湖がその言葉に耳を貸すことはない。
「いけぇ! おめーらっ! アイツをボコボコにしろっ! 殺しちまってもいいぜっ!」
「うるせぇ多胡ぉ! “命令”してんじゃねーぞ!?」
「あの男、殺ったら! あの女を犯っちまっていいんだろ?」
悪い男と裸の女、その組み合わせで何が起きうるのか、語るまでもない。
たとえ“悪い”男でなかったとしても、同じことが起きても不思議ではない。
多湖とギャングのやり取りの直後。
「チッ……」
世羅は小さく舌打ちをする。
同時に「チリ……チリ……」と何かが燻る音がした。
彼は明らかに目つきが変わった。
目の下のクマがより深く沈み、細めた視線は、白目の見えない漆黒の瞳に変わっていた。
まるで悪魔か何かが憑依したような風貌。
「ますたー?」
ヤミ子は世羅がまとった異常な“空気感”をいち早く察知した。
彼に片腕でがっちりと抱かれ、文字通りの目と鼻の先にいるのだから当然だろう。
「想定内だったが……ギャングどもが……」
世羅の強い独り言の直後、彼のR.I.N.Gが光を発し、合成音声を発する。
必要最低限のホロパネルも展開され、音声と同じ内容の文字情報が宙に浮かぶ。
『識別コード:世羅悠希。変異世代:3.?。"欲望"の上昇を検知』
世羅の髪の毛が波打つ、時折、パチパチと放電のような現象を伴って。
「“ヤミ子”は、“俺”の“女”だ……」
世羅は静かに告げる。
その言葉には、「異論は認めない」という独占欲と、かすかな殺意が滲んでいた。
「んー? ますたぁ? なんか"真剣"……?」
彼の目が微かに発光する、燃えるような"蒼"だ。
それと同じ色を持ったオーラが彼の体から湧き上がる。
「お前らには……“指一本”、視線ひとつ……"許可"るさねーよ……」
『“独占”トリガーによるカタリシス反応……130%……140%……臨界域未到達』
ヤミ子は自分を抱きしめる腕から、世羅の”力”を、”想い”の強さを感じていた。
細身からは想像できない、“ぶっとい”力だ。
「あちゃ~! こりゃ"真剣"だわぁ……」
ヤミ子は小さく呟いたあとに、ギャングたちに向かって声を張った。
「多胡ぉ~! アンタたち~! にげなぁ? あーしの“クランマスター”。怒らしたら怖いぞぉ?」
ヤミ子は100%、親切心で忠告をする。
彼が本気になった時、どんなことが起きるのか、彼女は身を持って経験している。
「“アイアンメイデン”だっ! バカヤロウっ! “ヤ”っちまえ! てめーらぁ!」
ヤミ子の忠告は多湖には届かない。
もちろん、他のギャングにも。
「ひゃはぁああ~!」
「淫魔を“犯”るのは初めてだぜぇ!!」
そして、ついに火ぶたは切られた――
“独占”を宣言した世羅が、牙をむく。
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