プロローグ
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてChatGPTを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
・ 世界観・キャラクター・ストーリーの基盤は完全オリジナル(整理や補助を行ってもらうことはあります)
・ プロットは自身で立案(ストーリー展開、キャラの行動、テーマ性などを自分で組み立てています)
・ 重要なセリフ・行動・心情変化はすべて文章で指示(キャラクターの一貫性を重視)
・ プロットをもとに叩き台の原稿を出力 → 30%以上の加筆修正(表現のブラッシュアップ・個性の強化)
・ 執筆の過程で違和感のチェック・校正を補助的に利用(つなぎの違和感や文章の整理)
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「ChatGPTをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
ヒュンッ――ズバァン!
空を裂く刃の軌跡。鋭い剣風が電柱に食い込み、瞬時に両断する。
鉄筋コンクリート製の電柱は、朽ちているとはいえ、そう簡単に切れるものではない。その鋭い一撃は、入り組んだ路地の向こうから突き抜けた。しかし、放った本人の姿は見えない。ただ、男たちの悲鳴と壁が砕ける音、それだけが響いていた。
「アイツのことだ、どうせ峰打ちにしてるだろうが……斬らなきゃ死なないってわけでもないぞ」
私はそうつぶやきながら、目の前の男たちを見据えた。
「別に殺しても構わんがな」
ゴッ! ガツッ……!
静寂が落ちる。
「……さて」
地面に転がる男たちを見下ろし、私は一歩踏み出した。
「ソフィア、残りの連中はどこだ?」
私はR.I.N.G経由で問いかけた。
『その場所から1ブロック先、廃ビルの3階です。他にも2グループ散り散りになっていますが……』
ソフィアからの返答もR.I.N.Gから発せられる。
「アイツラが既に交戦中だな?」
『はい、加勢は必要ないかと』
「当然だ。廃ビルに向かう」
私はそう言いながら走りだした。
『承知いたしました。マスター』
ぐしゃ。
R.I.N.Gからの応答を受けた直後。死に体になった男共をひとりかふたり踏んだ気がした。しばらく起き上がれない程度には痛めつけたせいか、何の反応もなかった。まるで屍だ。
「無様に転がるだけの男に、価値はないな……」
私はそうつぶやいた。仮に立ち上がれたとしても、こいつらに興味はない。
「さっきの連中の懸賞金は、お前が回収しておけ。忘れないうちにな」
廃ビルに向かいながらも、私はソフィアにそう指示した。
「承知いたしました」
「タダ働きは萎えるからな……で、どの窓からエントリーすればいい?」
私の視線は廃ビルに向けていて、その視覚情報はR.I.N.Gを介してソフィアに共有されている。ソフィアであればその情報だけで完璧なオペレーションが可能だ。ソレができるからこそ彼女を手元に置いている。
「正面玄関から、入るつもりはありませんか?」
「丁寧に呼び鈴でも鳴らしながら……か? 窓から押し入ったほうが派手だし、手っ取り早いだろ?」
「なるほど……正面の排水ダクト、そのすぐ隣の窓がターゲットにもっとも近いです」
「おうっ!」
私は両脚に力を込めて速度を上げた。三階の窓まで約十メートル……二、三歩壁を駆け上がれば届く距離だ。
「異能:加速!」
空気が弾けた。視界の色も変わる。音の流れが遅くなり、景色が僅かに歪む――。
ダンッ!
次の瞬間には、私はすでに加速状態で壁を蹴り上げていた。
「チクショウ、アイツら何者なんだよっ! 黒尽くめのフード野郎がいきなり現れたかと思ったら……デケー刀を振り回すヤツに、妙な異能で仲間割れさせるヤツまでいるじゃねぇか!」
「騒ぐなよっ! 見つかったら厄介だぞ!」
「ああん! 見つかったからって何なんだよっ! やっちまえばいいだろーがっ!」
「あんだこらぁ! 尻尾巻いて逃げたのだれだこらぁ!」
「ああっ⁉ おめーだろコラっ!」
「うるせーよ、黙れよ! とにかくボスに連絡を……」
ガッシャアァンッ!
高速の蹴りが窓を叩き割る。砕けたガラス片が宙に舞い、そこに飛び込む影――私だ。
窓枠を足場に、バク宙するように室内へエントリー。そのまま床を滑り込みながら、次の動作へと移る。
(加速はまだ体に馴染んでない異能だ……数秒が限界か……)
そう考えながら、目の前の男ふたりに突きと蹴りを一発ずつ見舞った。
「げぇ!」
「ぐえっ!」
私がコンクリートむき出しの床をすべりきった後に、ワンテンポ遅れて男ふたりは倒れ込む。
「くそっ! オマエ、俺らが誰か分かってやってんのか⁉ 死んだぞ、オマエ!」
「……」
「なんか喋れよぉっ!」
こいつらはこの周辺を縄張りにするクラン……ギャングを自称しているが、実態はただの不良だ。
この変異島では恐喝や強盗、殺人すら珍しくない。だが、第八特別区では素行の悪さが懸賞金の積み上げにつながる。
「おい! 喋れってっ!」
不良クラン狩りの鉄則は正体を明かさないことだ、顔を隠すのは当然、声だって発しない。報復ってのは面倒だからな、一方的に狩る側でいるのが良いんだ。
「くそがぁっ! 俺らはここら一帯をしめてるギャング! アイアンメイデンだぞっ! それわかってんのかっ⁉」
「……」
「喋れってっ! 喋らないなら、せめてそのフードを脱ぎやがれっ! くそがぁあ!」
ギャングの残りは四人、そのうちのひとりが逆上して襲い掛かってきた。
ドガッ……ガッ!
大振りのパンチをさばき、腹に一発。くの字に折れ曲がった男の顎に、続けざまの膝蹴りを一発。
男は崩れ落ちビクビクと痙攣を始める。
「うわっ! くそ、こいつっ! おいオマエいけよっ! この中で異能できるのはオマエだけなんだ!」
「おっ……おおっ! やってやるっ! 舐められてたまるかっ! 異能:電撃鎧!」
バチィッ! バチバチっ!
男の体に青白い電撃が走った。
「おっしゃぁっ! いけーっ!」
バリバリバリっ!
「ぎゃあああああああっ!」
異能した男の背を、後ろにいた男が不用意に押した。瞬間、ビリッと青白い光が弾け、悲鳴とともに崩れ落ちる。鼻を突く焦げた髪の匂い。
「おいっ、バカ野郎っ! 俺に素手で触れるなよっ! そうなっちまうっ! くそったれっ、オマエのせいだぞっ!」
なんでそう考えた? だが広い意味で考えるなら理解できる。私がお前達を襲わなければこうはなっていなかったはずだから。
男が叫ぶ。
「俺に触れるなよぉ? でも俺はお前をブン殴ってやる! 一方的になっ! ぐっちゃぐちゃにしてや……」
ズドォンッ!
「……異能……衝撃破……」
私は男たちには聞こえないほどの小声でつぶやいた。
触れずとも、大の男ひとりを数メートル吹き飛ばす――それくらいの手段は持っている。それが、変異体という存在だ。
内なる異能を引き出せない者もいるが……不良クランを名乗るなら、その程度は習得しておけ。
私は衝撃破を放った手を軽く返し、手招きする。雑魚と遊んでいる暇はない。さっさと終わらせる。
「うぬぁああ!」
残るは二人。そのうちのひとりが突っ込んできた。唇は青ざめ、焦りがにじむ。挑発にのったわけでもない。ただのパニックだ。ヤケクソで拳を振るうしか、もう選択肢がないのだろう。
ボゴォッ! ドゴォ!
滅茶苦茶に振り回される拳はそれなりに厄介だ。軌道が読めない分、かわしにくい。それでも敵の後ろに回り込む円運動でさばき続ける。
男の両腕が壁に打ちつけられるたびに、コンクリート片が飛び散った。
『マスターお気をつけて、腐っても変異体です』
ソフィアの声が聞こえる。理解できていることを注意されるのは少々イラつく……戦闘中ならなおさらだ。とはいえソフィアの言う通り異能ができなくとも、変異体の腕力は侮れない。人を超えた何か……それが我々、変異体なのだ。
男は扇風機の羽のように振り回していた腕を止め、膝を折った。
「はぁはぁ……くそ……ふざけんな……お前、何者なんだよ……」
目の前の男は息も絶え絶え。歩くこともおぼつかない。
「こたえろぉ……!」
男の質問に答える必要はない。
仮に義務があったとしても、応える気も、答える気もない。
「アイアンメイデンが欲しいのか……? だったら闇討ちなんて汚ねぇー真似せずにっ……決闘だろうがっ!」
私は「お前達にはその価値はない」という言葉を飲み込んだ。男が言う通り、今回の襲撃も深夜に行った……文字通りの闇討ちだ。その手段を用いた理由は明確にある。
戦闘力の問題ではない、こいつらが1ダース増えても結果は変わらない自信がある。
私はこいつらとは違って、悪ぶって目立つ趣味はない。日々のスコアを得るため、軽く仕事をしたかったに過ぎない。
それに考えてもみろ? ギャングにとっても悪くない話だろ? 白昼堂々と醜態をさらすよりは、誰にも知られずひっそりとボコられる方がマシだろう?
肉体の怪我は治る。敗北の味も一週間もあれば忘れる。ギャングにはもとから守るべき矜持はなく、他にやることもない。面子さえ保てれば、また立ち上がれるさ……。
そうして、同じことを繰り返せ。懸賞金が貯まったころにまた会おうじゃないか。
私の為に悪事を働け。
ドギャッ!
「ぐはぁっ!」
不良クランの残りはひとりになった。
「ひぃ! ひぃ!」
そのひとりは悲鳴に似た声を発しながら後ずさる、出入り口に通じる階段とは真逆に向かって。それほど広くもない廃ビルの一室。ゆっくりと詰め寄る。逃げ場はない。
「ひぃ!」
私は拳を振り上げた。
その瞬間——。
「マスター! こっちは終わったよー! 褒めてくれていいんじゃね?」
振り上げた右腕に、突然の重みと柔らかな感触――。両腕で抱きつかれ、動きを封じられる。
「ばっ……!」
ばかやろうと叫びかけ、寸前で飲み込んだ。ここまで正体を隠してきたのだ。今さら台なしにはできない。
「マスターぁ❤」
普段なら心地いい声が、今は耳に刺さる。素性を隠して動けと命じたはずだ。なのに、なぜ喋る?
「くそがぁ! 死ねっ!」
不良クランの最後の一人が、どこで拾ったのかも分からないバールを振り上げる。人を抱えたまま動けない私を見て、好機と踏んだのだろう。
バチンッ!
バールが空を切る――その瞬間、一筋の鋭い風圧が私の頬をかすめた。ヒュゥゥ…… フードが宙を舞い、床に落ちる。
露わになった私の顔を見るなり、男は息をのんだ。その姿をみた私も、一瞬だけ体を強張らせた。
「……嘘だろ……女、だと……?」
男の瞳孔が開き、顔が青ざめる。
「まさか……俺、女に……?」
「衝撃波!」
ドン!
少々焦った私は、男と密着したまま衝撃破を叩き込んだ。これは、相手を殺さずに無力化できる便利な異能だ。それなりに離れた相手にも対応できるから、気に入っている。
だが、この至近距離では話が違う。当たり所が悪ければ危険な代物だ。
もっとも、この島では戦闘での負傷など日常茶飯事。最悪、死んでも問題ない。
ここは変異島――。
鋼鉄のカーテンに閉ざされた陸の孤島。外界の倫理など、とうに置き去りにされた場所だ。
「ぐっ……がぁ……」
男は私の左腕にすがりつき、ゆっくりと崩れ落ちた。全体重を預けられ、正直、鬱陶しい。
「ホントに……お前ら、一体……誰なんだ……? 何者なんだ……? それに……女……女にやられた……? ふざけんな……」
男はそう言い残し、地面に突っ伏す。そして、すぐに意識を失った。
「ちっ……顔を見られた……」
私は小さく舌打ちした。
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