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数字の刻印

作者: ののの

世界は、生まれた瞬間から終わりを知っている。


私の目の前に浮かぶ数字は、残り日数を示す。17,324日。まだ若い。だが、隣に立つ母は、3,812日と少ない。彼女はいつも、優しい笑顔で私を見つめていたが、その瞳には、影が宿っているように見えた。


この世界では、誰もが自分の寿命と、周りの人の寿命が見える。それは、喜びであり、悲しみである。


幼い頃に、友達と遊んでいた時、突然、彼の数字がゼロになった。目の前で、彼は消えていった。あの時の絶望は、今でも忘れられない。


大人になってからも、寿命は常に意識の中にあった。仕事を選ぶ時、結婚相手を選ぶ時、どんな選択も、寿命と向き合わなければならなかった。


ある日、私は、寿命の研究をしている研究所に勤めることになった。そこで出会った彼は、私の寿命と同じだった。私たちは、互いに惹かれ合い、結婚した。


しかし、彼の数字は、日に日に減っていく。私は、彼の側に寄り添い、彼の残り少ない時間を大切に過ごした。


そして、ついに、彼の数字はゼロになった。彼は、静かに息を引き取った。


私は、彼の死を悲しんだ。だが、同時に、彼の寿命を全うできたことを誇りに思った。


この世界では、死は避けられない。だが、私たちは、その限られた時間の中で、愛し、喜び、そして悲しみを経験する。


寿命が見える世界は、残酷だが、同時に美しい。私たちは、その儚さを知り、より一層、人生を大切にしようとする。

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