93/130
泣き花
窓辺に飾った一輪の花
美しく咲いている 小さな輝きよ
私は幸せに満ちて あなたと微笑んでいたの
陽は静かに 日々は過ぎ去り
窓辺の輝きは いつしか薄れ みすぼらしい影があった
それはあなたを待つ 私を表しているようで
冷たい風が吹き 花の残り香が去った時
私はようやく悟ったの
愛しいあなたは 去ってしまったのだと
あなたとの微笑みの光は すでに遠く
枯れた花びらは 私の涙として ぽとりと落ちた
さようなら 穏やかな眼差しよ 腕に抱かれた温もりよ
あなたとの想い出 忘れることはできないけれど
あなたへの想いを 消すことならできるわ
窓辺に飾った大輪の花 あなたが嫌いな色とその香り
華やかではあるけれど そこに輝きはない
私は哀しみの中で ひとり微笑んだの
一度失くしたものは 二度と戻らない
一度消えたものは 二度と帰らない




