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真闇・箱庭世界の小さなあなた

【真闇】


闇は何もしない

何ものでもない

善でも悪でもない

恐怖でも安心でもない

世界にただ漂うのみ


されど夜の闇には光あり

やさしき光を燈し

静かなる光粒を散らし

巨大な真円を頂く


穢れし闇は世界を覆い

生き物は盲目となり

姿を歪ます


光ある者だけが

穢れし闇を(はら)わん


見えぬ者たちよ

歪んだ者たちよ


光ある者を

正しく(いざな)い正しく導け

()の者の清き心が

満月と星々の夜(真の闇)をもたらさん



【箱庭世界の小さなあなた】


その箱庭は どの箱庭よりも美しかった


そして見つけたのは 小さなあなた


一粒の雨のごとく 小さな生命(いのち)


でも宝石のように輝き 星のように煌めいていた


あなたと同じ人の姿を借りて 何度も会いに行った


会いに行くことを 他の(もの)に知られて注意された


仕方なく控えたら あなたに会えない苦痛が私を苛んだ


周りは私を愚か者と嘲り笑うが


会いたい衝動は止められなかった


神たる己を侵食する激しい情動に


存在が崩壊する前に 我が主が許された


私はすぐに神を捨て あなたと同じ人となった


しかし それは役目があってのこと


あなたがいる箱庭の崩壊を止める


神を捨てた時点で 私には滅びしかないのだ


それでも ようやくあなたに会えた


喜びが全身を支配した


私は真実を告げ あなたに告白した


この熱い衝動が 人の愛だと言うのなら


間違いなくそのとおりだろう


私は人として生まれた役目を果たした


箱庭は崩壊を免れ あなたが消滅することはなくなった


あなたは泣きながら 私を想い箱庭(世界)を憎みながら生きていく


その心と魂に 私が刻まれ残るというのなら


これほどの幸福はない

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