身近にいる幸せ
私よりあなたの方が 早く生まれたけど
赤子の頃から一緒だね 私の大切な幼なじみ
でもね あなたのことは 異性として好きじゃない
だって私には もう一人の『私』がいるから
五歳で目覚めた 前世の『私』
『私』が求めるのは本筋
攻略対象と出会って 恋人になって 結婚して めでたしめでたし
『私』はこの世界から目覚めて 現実に戻るんだ
あなたと暮らす世界は仮想世界
だから認めたくないの 避けているの 怯えているの
あなたはそんな私を ずっと見守ってくれていたのにね
私たちの関係は変化する
そのきっかけはあなたからのお誘い
私はデートって思っていなかったけど
二人で願いの叶う泉に行ったのに 『私』は私から離れた
ここは確かにゲームの世界で すべてに見覚えがある
じゃあ『私』は? 『私』は一体何なのか?
今までにない不安と恐怖から 倒れかけた時
支えてくれるあなたを見て 心配する瞳を見て その温もりに触れて
ようやく気づいたの
私には誰よりも身近に あなたがいるってことに
だからかな あなたが女の人と歩いているのを見て
胸が張り裂けそうに痛かった
ズキズキと辛くて 思わず泣いてしまったけど
帰ってきたあなたは困惑しつつも 私の勘違いだとはっきり告げてくれた
でもね やっぱり胸が痛かった
私以外の人と歩いてほしくない
鈍い私はそこで気づいたの あなたのことが大好きだと
ようやく自覚した恋心を告げれば
本当に嬉しそうな顔 愛おしげな瞳のあなたを 初めて見た
翌日から始まった溺愛に 恥ずかしいけれど それ以上に嬉しくて幸せで
もう私と『私』は 二つになることも離れることもない
きみを愛しているよ
私も愛しているよ
この世界のヒロインや悪役令嬢じゃなくても
私には愛する人が 愛してくれる人がいる
そのかけがえのない幸せに 私は気づけて本当に良かった
だから──
私はあなたと結婚して ずっと幸せなんだ