時の糸車・時の糸車 神罰
【時の糸車】
くるくる からから
からから くるくる
回る回る 糸車
途切れることなく 紡ぐ糸
左に回れば 後戻り
右に回れば 最果てへ
糸車は 誰が回している?
糸の先は どこへ行くの?
糸車は自分で回り 止まることはない
糸の先を知るのは 神だけ
それが正しい糸車
それが正しい在り方
【時の糸車─神罰─】
ある場所では 誰にも知られることなく
精霊が 調子の悪い糸車を回している
その糸車に糸の先はないが
どうなっているのか 精霊でも分からない
くるくる ぐるん ぐる ん
ぐるん ぐる ん ぐる くるん
からん がら ん からから
からか ら からん……から ん
精霊は調子の悪い糸車を回す
どんなに止めたくても
どんなに苦しくても
手が止まることはない
そこから動くこともできない
その昔 この精霊は
糸車のある空間に入った
面白そうだからと
決して触れてはならない
時の糸車を触れて回した
多くの動植物の生命を弄び
狂わせて死なせた
精霊として最大の禁忌を犯した
故に神は神罰を下した
くるくる ぐるんぐるん
ぐるんぐるん くるくる
何も起きない時の糸
何も紡がない時の糸車
ただただ 回し続ける
自らが狂わせ死なせた 数多の生命が
新しい生命として 生まれ変わるまで
『その時』がいつ来るのかは
神でも精霊でもわからない




