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深紅の魔女
東の砂漠に 水の賢者あり
紅き髪に 紅き衣を纏い
強靭なる肉体に柔軟な思考
平等なる配慮に深き慈心
民は尊敬し 女を深紅の魔女と呼ぶ
かつて起きた 渇きの争乱を
絶えることなき水を もたらし治めたる
亡くなりし人々を弔い 鎮魂の儀
始まりは一人
魔女のひた向きさに 人々は心を打たれ 毎年必ず参る
魔女は砂漠の民に寄り添い
生涯尽くすことを決意
しかし──
魔女には弟あり 姉として最愛なる者
彼を『絶対に守る』と 自らの掟に刻みたる
掟の前では すべてが無に覆す
弟を傷つける者 欲で近づく者を許さず
彼らを殺め 報復を果たし 血を流すこと厭わず
ただ冷酷非道に
その変貌を怖れ 人々は 女を深紅の魔女と呼ぶ
