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天の塔・罪の塔
【天の塔】
天よ 陽よ 母よ
女神様に祝福されし永遠の世界
どうか生きる苦痛と不幸から
我らを救いたまわれ
太陽は女神様の化身
空へ行けば 女神様がいる
天へ届けば 女神様が助けてくださる
空の上は 清光と幸福に満ちた世界
しかし人は天には行けない
空を飛ぶことはできない
天上には決して届かない
ならば──
そこまで辿り着くための塔を造ろう
塔を造れば 必ず女神様に会えるから
【罪の塔】
むかしむかし──
ある小国で天の塔の建設が行われた。
塔の建設は順調で、真っ白な石材を使った、美しい塔であったという。
しかし、落雷と大雨が降り続き 天の塔にも雷が落ちた。
小さな国は災害にあっけなく滅び、天の塔は崩壊した。
生き延びた人々は口を揃えて言った。
人の傲慢が女神の怒りに触れたのだと。
いつしか天の塔は、罪の塔と呼ばれるようになった。
不思議とそこには、誰も近づけないという。




