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二人して水底に
この『感情』が、愛情なのか執着なのかもうわからない。
だけどわかっていることは、私にはあなたが必要で、あなたにも私が必要だということだ。
お互いがいれば、何もいらない。
あなたはこの上もなく、幸せそうに愛おしそうに私を見る。
でも、瞳の奥にある昏さは消えない。
あなたの根底にある感情も、私と同じなんだろう。
きっといつか、私とあなたは憎しみあう。傷つけあう。
それでも、お互いが離れることはないだろう。
どちらかがいなくなったら、自然と自分を消す。だって、取り残されるのは耐えられない。
私たちの世界はとても狭くて、互いしか想えなくて、誰も代わりにはなれない。
深く深く、黒くて濁って汚くて、醜い。
そして二人して、依存の水底にいる。この上もなく居心地が良くて、気持ちいいから。




