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ここは牢獄【六詩】

【自牢】


ここは牢獄

でも捕まったわけじゃない

逃げられないのでもなく

自ら閉じこもったのだ

もう何も感じたくないから




【水牢】


蒼く暗く水底に沈む

浮き上がる泡沫(ほうまつ)を持て遊び

水空を見上げ

中央の月の乱紋らんもんに手を伸ばす

決して届かないと分かっているのに

ここは孤独 ここは牢獄

水の重石に縛られ

逃げられはしない




【炎牢】


燃え盛る炎

炎乱 炎壁 炎雷

熱さは感じない

慣れてしまったのだ

だが慣れないこともある

ここはそれが狙いだ


何度も何度も燃え尽きて

何度も何度も灰から甦り

何度も何度も存在を焼かれ

また甦る その繰り返し


もういやだいやだいやだ

そのまま灰も残らず消滅させてくれ

だがここは牢獄

それが叶うことはない




【氷牢】


意識は保ったまま

氷の中で凍えている

ここは氷絶世界

人では決してたどり着けない

いかなる精霊たちも来ない

なぜなら ここは牢獄

あるのは隔絶ではなく断絶だ



【花牢】


どれだけ美しくても

どれだけ儚くても

どれだけ香しくても

ここは牢獄

忌まわしき囲いが

見えなくなることも

気にならなくなることもない

向うの花々の光景が

安らぎを与えることはない

私は幽閉された身

真に罪はなくても



【緑牢】 ※緑=植物


気づけばたたずんでいた

深緑に満ちた命の空間

草木 山々 青空

自然のままの空間があった


なぜここに来たのだろう?

どうやって来たのだろう?

疑問はあったものの

目の前に圧倒され巡りに巡った


だがだんだんと違和感が生じる

時間の経過を感じない

空は青いまま

雲がない

太陽が動かない

だから夕暮れにも

夜になることもない


木々は茂って草木も茂って

枯れることがない

花や実をつけることがない

そもそも水がない

生き物がいない


私はようやく気づく

ここは牢獄だ

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