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風に舞う花びらを追いかけ
風に舞う花びらを追いかけ
ふわりとただよう香り
ひらひらと
ふわりふわりと
落ちることはなく浮かび
そっと花びらが
落ちたそばに佇むは
見知らぬ若き女性
誰かと思えば 記憶が弾けた
脳裏を貴女が占める
前世の思い出 別れの泣き顔
途切れた熱情は 再び心炎となる
視線が合って
お互いの時が止まって
貴女が私の名を呼ぶ
私は貴女の名を呼ぶ
花が舞う 華が光る
貴女が私に飛びつく
抱きとめる先に
懐かしき貴女の匂い
あの時はどうしても
別れしかなくて
報われることがなかった恋心
でも今はもう
身分なんてない
立場なんてない
だから邪魔する者はいない
もう二度と貴女を離さない




