69/136
月うさぎの戯れ・悪趣味
【月うさぎの戯れ】
月うさぎの戯れ
影に梯子を描き
ゆっくりと
地に下ろせば
窓辺から
月を見上げる
きみに出会う
驚く様に笑いながら
手を伸ばし
「ほら、おいでよ」
二人で月に上がり
ちょっとした冒険をした
きみを再び家に帰せば
「あなたは一体……何?」
少しだけ怯えるように問われ
僕は笑う
隠していたものを見せた
「月のうさぎだよ」
ほら 耳としっぽがあるでしょ?
◇◇◇
【悪趣味】
完璧ともいえる美相に
目では見えない歪みを
純白といえる純粋さに
一滴の墨を垂らし
目には見えない濁りを
透明な硝子に
小さな引っ掻き傷
あるいは小さな罅を
少しずつ少しずつ
確実に侵食させていく
決して元に戻すことは
元に戻ることはできない
『対象』が気づいた時には
もう手遅れだと知り
私に窮地の救いを求める
もちろん私は何もしない
対象は
私を裏切者と罵るが
すでに身動きすら取れない
本当に何もできない
手遅れなのだと勝手に悟り
諦めて真に絶望する
そして
壊れる 壊れる 壊れる
その壊れ方を 壊れゆく様を
ただ鑑賞する
壊れ方は対象によって違うため
趣もあり愉快でもある
きみほど残酷じゃないが
とても甘美で崇高な
私らしい悪趣味だろう?




