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とこしえの乖離
薄紅の温もりに抱かれて
眠ろう とこしえに
目覚めはまどろみの夢
どこにもありはしない現実
あるのは果てなき春の理郷
梅の花と香り
桃の花と香り
桜の花と香り
揃いも揃って
紅に惑わし戯れて
香しい眠りに彷徨い
遊ばれて静寂に哭く
理郷に沈みゆくは
深海の水底より暗き闇
安らぎの眠りの箱庭
誰にも邪魔されない
されど方々を探し
数多の人々の夢に
尽くし尽くしても
会えぬ私の愛しき伴侶よ
見果てぬ夢を見ながら
薄紅の理郷に暮らしながら
人々の夢を叶えながら
私は──
永遠に愛する妻を探している




