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跡形もなく
砂上のきみは儚い
そっと触れた先から 崩れ去っていく
笑顔も靡く髪も
きれいなワンピースも
風に煽られて 波に侵されて
きみを奪って削っていく
その果てには空と海
夏景の躍動から逃げるように
きみは跡形もなく消えた
氷上のきみは美しい
繊細な彫刻は
髪の先 睫毛さえも再現している
今にも動きそうな生命感を宿し
鼓動さえも聞こえそうだ
されど 少しでも触れれば砕け散るだろう
山脈からの万雪風がきみを形成する
しかし どんなに保ちたいと思っても
春の熱が春の息吹が
きみを跡形もなく溶かすのだ




